装着
デスヴィアス山脈麓のスプリング村は、人口100人弱のこぢんまりした村だった。
流石に強いモンスターが近場に出る為、村人達も強者揃いの強者だった。
俺はまず麓に自分の家を建てる為、村長の家を訪れた。
話を聞くと、この村は山に入る冒険者に武具を売り、その金で生計を立てている為、村人の殆どは職人だった。
村長に腕の良い職人を紹介して貰い、麓に家を建てる許可を貰った。
かなりもの珍しい顔はされたが…。
冒険者で修行の為と納得させた。
紹介して貰った職人と交渉したら、家は3ヶ月ぐらいで出来上がるようなので、俺はデスヴィアス山脈を探索する事にした。
地底にモンスターの育成場所を作るには、おそらく数千匹はモンスターが必要になるはずだ。
今までの経験上、最下層のモンスターが一番強いので、最下層のモンスターを服従させれば、弱いモンスターも追従するだろう。
但し、今の俺の強さではここのモンスターすらどうやっても歯がたたない。どうするか…
《あの…マスター。僕の力を使って見て下さい》
俺の考えを読み取ったのか、クロウが手の中から話しかけて来た。
《僕は物質変換能力があるので、武器や防具に変化する事が可能です。僕を【装着】すればマスターは飛躍的に強くなれます。但し、この方法はマスターの気力を多量に使う為、1日2回が限界ですが…》
《そんな事が出来るのか…。どうやったら出来るんだ。教えてくれ》
《手をかざして光ったら僕の名前を言って下さい。それで、【装着】する事が出来ます。気力を使い過ぎると、マスター自身の精神にも危険を及ぼしてしまいます。くれぐれも気をつけて使って下さい。装着を解除する時も同じ方法で、解除出来ます》
《どれくらいの気力を使うか、一回試して見るか…》
俺は手をかざし【装着】を行う為、クロウの名前を唱えた。