ホルスバーサ
翌日俺達は階下に降り、宝箱のアイテムを取りながら、ホルスバーサを探しに洞窟の奥に進んだ。
宝箱の中身は良いアイテムのようで、アルバやフォルスは宝箱をあける度に歓声をあげていた。
フラルは簡単な治癒魔法と召喚魔法が使えるようで、俺達は難なく数日で洞窟の最下層まで降りる事が出来た。
すると通路の奥に小さな横穴があり、ホルスバーサと思われるモンスターがいた。
《あいつがホルスバーサだ。鎌を使うから間合いに気をつけろよ》
《フラル、ホルスバーサだ。君は危ないから後方で支援してくれ。あいつが近づいたら逃げるんだよ》
俺はフラルの頭を撫でながら話しかけた。
《はい…》
フラルが心配そうに俺を見て返事をした。
《フォルスはまず始めにあいつに魔法で攻撃してくれ、ひるんだ隙に俺とアルバが左右から攻撃、後は随時各々の判断に任せます》
《分かりました。お二人共気をつけて》
フォルスが魔法詠唱の準備に入った。
《俺はいつでもいいぜ》
アルバは斧を片手でぶんぶんと振り回して敵を威嚇している。
《では、行きます。フォルスお願いします!》
俺はフォルスに声をかけると、アルバと左右別れてホルスバーサに周りこんだ。
《来たれ風の刃疾風》
フォルスが魔法詠唱を始めてすぐ、風の魔法がホルスバーサにまとわりつき、ホルスバーサの巨体が大きく傾いた。
《いまだ!!》
俺はアルバとタイミングを合わせて、ホルスバーサに切りかかった。
俺とアルバが左右攻撃を繰り返していると、ホルスバーサの目が赤く光り出し、大きな鎌を振り回して攻撃して来た。
俺は少量のダメージを食らいつつ、ホルスバーサの前方に歩み寄った。
アルバがホルスバーサの攻撃をよけながら、隙を作ってくれた。
俺はタクトディアを槍に変化させ、ホホルスバーサの眉間に向けて槍を構えた。
《いっけぇぇぇ……!》
俺は力を振り絞って槍を投げた。
槍はホルスバーサの眉間に刺さり、ホルスバーサの雄叫びをあげながら粉々に砕け散った。
その足元には輪っかの重なった、光り輝く首輪が落ちていた。
俺はそれを拾い上げて、座り込んでいるアルバに手を貸した。
《お疲れ様アルバ、ありがとう。おかげで倒せたよ》
《あぁ、お前も中々凄かったぜ》
そういうとアルバはゆっくりと立ち上がった。
後方からフォルスとフラルが近づいて来た。
フラルは俺の方にかけ寄って、俺に回復魔法をかけながらお礼を言った。
《ありがとう、クロウ。これでエルフ村に帰れます、みんなもありがとう》
フラルは涙を浮かべながら丁寧なお辞儀をした。
俺は、フラルに近づいて頭を撫でた。
《こちらこそフラル。アルバとフォルスもありがとう、おかげでこちらも助かった》
《私もとてもいい経験になりました。これからの旅に役立つ事ばかりでした》
《俺も楽しかったぜ。洞窟のモンスター退治は一人じゃあ難しいが、仲間となら行ける所があるって分かったしな》
それから数時間かけ入り口に戻り、旅のメンバーは解散する事にした。
もちろんアルバとフォルスには、たっぷりと報酬とアイテムを渡して別れた。
フラルは先程着いた定期船に乗り、エルフ村に旅立って行った。
酒場のマスターに貼り紙を回収して話をすると、貼り紙で【手伝い冒険】をする冒険者達が増えていて、これからも貼り紙を貼る場所を提供してくれる事になった。
これで下層のモンスターを倒せるパーティーが増えて、ある程度人口も調整される事だろう。
そうなると後必要なのは…モンスターだ。
早くスプリント村に行かないとな…。
俺は港街で馬売りから馬を二頭買い、馬車を作ってスプリント村に急ぐ事にした。