フラル
中央にテントを張り、近場に座れる場所を作ってフラルの話を聞いた。
彼女はエルフの村で暮らしていたが、ある日エルフ族の祭壇で遊んでいたら、祭壇にある祭具を壊してしまったので、その材料を探す旅をしていると話してくれた。
祭具はエルフ族にとってとても大切な物で、祭具を壊したと知れるとエルフ族から追放されてしまうので、材料を探しにこの大陸に来たそうだ。
エルフ族は単独か少人数でしか行動しない種族で、しかもめったに旅に出ない為、この大陸に来る事は保々無いらしい。
《フラル。その材料はこの洞窟にあるのかい?》
《うん。街の人に聞いたの。牛のモンスターが持ってて、こんな形の鈴なの》
フラルは手で輪っかのような型を作って見せてくれた。
《きっとそりゃあ。ホルスバーサだ。俺も違う洞窟で戦ってみたけど、結構強めのモンスターだったぜ》
《本当かアルバ?》
俺はアルバを振り返って尋ねた。
《あぁ。あの時はぎりぎりで勝てたけど、まぁこの人数なら余裕だろ。強さはこの洞窟では一番だと思うぜ》
アルバはホルスバーサの特徴を詳しく説明してくれた。
ホルスバーサは顔は牛で身体は馬の、ケンタウロスのようなモンスターだった。属性は火なので、俺達の中では弱点属性は居なかった。
《では、そのホルスバーサ討伐を終えたらこの冒険は終了とします》
《良かったですね、フラル。このお兄さんが頑張ってくれますよ》
フォルスがフラルを撫でながらアルバを指差した。
《おっ、おぅ!!任せとけっ。ハッハッハッ…さぁ明日の為に俺は先に寝るぜ》
顔をひきつらせながら、アルバはテントに入って行った。
アルバのあきらかに動揺してる様子をみんなで笑い、この日は交代で眠りについた。