洞窟探索
2日後…あれから数人希望者は来たが、条件が合わず結局3人で洞窟に向かう事になった。
港町で簡単な準備をした後、町を出た。
港町から近場の森を抜けると小さな泉があり、その側に洞窟の入り口が見えた。
《アルバ、フォルスあれが目的の洞窟です。俺の目的は最下層に居るモンスターのドロップアイテムです。その他のアイテムは見つけた物が獲得するという事で、お願いします》
《おぅ!分かったぜ。任せな‼︎》
《微力ながらお手伝いさせて頂きます》
洞窟の中を進んで行くと、中から大きな音と悲鳴が聞こえた。子供の声だ‼︎
一瞬3人で顔を見合わせたが、直ぐに俺は声がする方へ走り出した。2人も俺の後を追って来た。
洞窟を走り突き当たりを曲がると、大きな空洞に出た。
正面には巨大なモンスターが居て、女の子に襲いかかろうとしていた。
慌てて俺はタクトディアを構え、モンスターを突き刺した。
モンスターが怯んだ隙に、後方から駆け付けたフォルスが、魔法でモンスターの目を攻撃した。
【我誓う風の神よ、疾風の刃をおこしたまえ】
モンスターは堪らず目を押さえて居るが、大きな身体を空洞にぶつかりながら此方に近づいて来る。
そこでアルバが背後からモンスターによじ登り、頭から斧を振り下ろした。
モンスターは雄叫びを上げながら、木っ端微塵に砕け散った。
初めて彼らの戦闘を見たが、思った以上に2人共戦い慣れている感じだった。
此れなら最下層のモンスターも討伐出来そうだ。
先程声がした方を見ると、小さな子供が怯えてうずくまっていた。
俺は近づいて声を掛けた。
《大丈夫かい?安心して。モンスターは倒したよ》
すると女の子は俺の方を振り返った。
その子供は、明らかに人間とは異なる耳がついていた。
おそらくこの子は異種族の女の子なのだろう。
言葉は通じるのだろうか?
《危ない所を助けてくれてありがとう。私はエルフ族のフラル》
彼女は黄色の髪に緑の目をした、とても美しい少女だった。
言葉は通じるようだ。
《エルフ族がこの大陸に?しかも洞窟探索等珍しいですね。他に仲間は居るの?》
フォルスがフラルの前に屈んで尋ねた。
フラルは首を横に振り、ぎゅっと俺の服を握り締めた。何か理由がありそうだ。
《フラル、俺達は冒険者だ。今から最下層のモンスターの討伐に向かうつもりだ。もし君の目的が私達と同じなら、一緒に来るかい?》
手を差し出すと、フラルは小さな頭をコクンと動かし、俺の手をぎゅっと掴んだ。
《良し、じゃあ自己紹介だ。俺はアルバでそこの兄ちゃんがフォルス。そして、お前が握ってる其奴が俺達の雇い主でクロウだ。宜しくなお嬢ちゃん》
アルバはフラルににっこり笑顔で話し掛けた。
フラルはアルバの笑い方が可笑しかったのか、安心したのか笑顔を見せた。
暫く道なりに進むと、結構大きな場所に出たので、今夜はここで野営する事にした。