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戦国都道府県  作者: 傘音 ツヅル
第一部〜始まりの英雄 黒雷編〜
45/55

Record No.045 淡路三つ巴の戦い(4)

「間もなく四神軍の軍艦に到着します」


 グラナで海図を確認した新橋が守に報告する。


「わかった。お前達、戦い方には注意しろよ」

「わかっていますって。遠距離ではなく、近距離攻撃ですよね?」


 上野が余裕な口ぶりで答えた。


「というか、俺達は近距離でしか戦えないですけど」


 ハハハと笑いながら早稲田が言った。


「お前達に器用なことを要求した俺が馬鹿だったよ」


 守は二人を見て、軽く溜息をつく。


「それにしても、その刀渋いですよね」


 早稲田は守の反応を気にせず、話を変えた。


「摂津管理官自慢の業物らしい」

「あの人、意外に趣味いいんだよな」

「隊長、間もなく戦闘区域に入ります」

「お前ら、気合い入れていけ」

『了解』




「くそ、読みが甘かったかな」

「九竜軍がここまで出張ってくるとは予想外でしたね」


 陸地に本軍を誘い込んでいる内に軍艦を奪取しようとサウス達は乗り込んでいたが、九竜軍の援軍が来たせいで予想以上の兵士が残っていた。


「船上の戦いは精鋭で攻め落とせという教えは覚えていたんだな」


 龍河が腕を組んだ態勢でサウスへ言った。


「良き師に恵まれたので」


 サウスは余裕の笑みを浮かべて龍河に言い返す。


「お前のそういう掴み所が無い所が苦手だったのを思い出したよ」

「僕も、龍河教官の隙の無い所が苦手だったのを思い出しましたよ」

「隊長、雑兵は私達で抑えます。遠慮なく集中してください」

「ありがとう、交野ちゃん」


 サウスは交野に微笑んで礼を言ってから、龍河に向かい合った。


「今日こそ、決着をつけましょう」

「望むところだ」


 互いに言葉を交わした瞬間、超速での銃撃合戦が始まった。


 ギュン、ドン、ギュン、ドン、と凄まじい速度でレーザーのぶつかり合う音が響く。


「ならば、これはどうだ」


 龍河は船の手すりや壁などを使って、空中のあらゆる角度からサウスへ銃撃を放った。


「さすがですね」


 サウスも負けじと曲芸師のように体を動かしながら応戦する。


四武しぶ(四神武闘術)、かみなみだ


 反撃を後方に避けつつ、龍河は空中でシールドを張ったガッド目掛けて銃撃を放ち、まるで豪雨が降り注ぐようにサウスへ無数の銃弾を浴びせた。


「特式、千手観音せんじゅかんのん


 サウスは腕に超速の限界ギリギリの出力を集中させ、目にも留まらぬ速さで銃弾を相殺した。


「しっ、しっ、しっ」


 駆け寄って来た龍河は空中に飛び、三回連続で膝蹴りを繰り出した。


「ぐっ」


 ガードしきれず、一発まともに膝蹴りをくらったサウスは顔を歪ませる。


「どうしてお前が日本の為に戦う?」


 一瞬怯んだのを見逃さず、距離を詰めた龍河が銃口をサウスの額に当てつつ訊いた。


「確かに日本人じゃない僕が戦う必要はないかもしれないけれど、親友が戦っているのに自分だけ何もしないなんて出来ませんから」


 サウスは穏やかな笑みを浮かべて龍河に答える。


「そうか、なら俺が終わらせてやる」


 冷静に引き金を引こうとした瞬間、危険を察知した龍河は距離を取った。


「来たか、大牟田」

「お久しぶりです。龍河教官」


 高速で飛び乗って来た守は、刀を構えた状態で龍河と向かい合う。


「どうした、そんな所に座って。ギックリ腰にでもなったか」

「こんなダサい姿を見られるなんて、最悪だね」

「そんな軽口を叩けるなら心配ないな」

「もういいか?」


 余裕の態度で聞いていた龍河が会話に入ってきた。


「相変わらず落ち着いていますね」

「そういうふうにいろと教えたはずだが」

「そうでした」


 一転して空気がピリッとなり、その場に緊張感が漂う。


『はぁああああああああああ』


 ブザーが鳴ったように一斉に動き出した守と龍河は超速で駆け出した。


「しゅっ、しゅっ、しゅっ、せいっ」


 左右のステップを織り交ぜながら龍河が放つ銃撃を守はボクサーのような反応で避け、鋭い片手突きを放った。


「四武、神の涙」

「特式、千手観音」


 守を襲った無数の銃弾を態勢を立て直したサウスが全て撃ち落した。


「サポートする。全速力で突っ込め」

「任せた」


 サウスを信じ、守は攻撃に集中して次々に龍河に刀を振っていく。


「ならば、武器を変えるだけだ」


 龍河は素早く銃をしまい、背中に差していた二つの小刀を手に応戦しだした。


「四武、針剣山はりけんざん


 龍河は技の名前の如く、避ける隙間無く両手で突きを放つ。


 守は細かい刀捌きと流れるような動きで攻撃を避けきった。


「ふーーーーー」


 長く息を吐き、守は距離を取り直した。


「まだまだ」


 龍河は全く疲れる素振りを見せず、蹴りと剣術を合わせた攻撃で守に襲い掛かる。


「俺もまだまだいけますよ」


 守はいつにも増して無駄の無い動きで対応していく。


「僕を忘れてませんか、教官」


 銃を合体させ、ライフル型にしたサウスが守の動きに合わせて龍河に銃撃を放った。


「小賢しい」


 紙一重でかわし、右手の刀を銃に持ち替えてサウスに撃ち返した。


「ひゅ~~~」


 サウスは楽しむように笑い、すぐに撃ち返した。


「サウス、長引くほど相手の思う壺だ。速さを上げるぞ」


 一旦後ろに下がった守が早口でサウスに伝える。


「了解」


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