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戦国都道府県  作者: 傘音 ツヅル
第一部〜始まりの英雄 黒雷編〜
28/55

Record No.028 淡路合戦(2)

「龍河将軍、黒帝軍が進軍してきました」


 伝令が駆け足で報告してきた。


「作戦通り適当に引き付けながら誘い込め」


 立体地図を確かめた龍河は兵士に命じた。


「了解」

「やっぱり黒帝の奴ら、大したことないですよ」


 安芸は余裕の笑みを見せる。


「俺の考え過ぎならいいが」


 龍河は落ち着いた口調で言った。




「敵さんも用心深いな」


 天王寺が腕組みして唸る。


「情報では四神の中でも知略に長けた男らしい」


 堺がうっとうしそうに言った。


「お前も負けてないだろ」

「まあな」


 天王寺に褒められ、堺は満更でもない顔になる。


「じゃあ、俺も出るか」


 そう言って天王寺はテントを出て行こうと歩き出した。


「気を付けろよ」


 同期を案じ、堺が声を掛ける。


「上手く攻め過ぎて作戦がいらなくなっても文句は言うな」

「心配した俺が馬鹿だったよ」

「ハハハ」


 天王寺は機嫌良くテントを出て行った。




「天王寺一級兵、進軍開始しました」


 伝令が摂津に報告する。


「よし、第一班と第二班を海沿いに進軍させろ」

「了解」

「サウスの軍はどうなっている?」

「陸上での戦闘を継続しつつ、西淡へ海上から進軍中とのこと」

「ここまでは堺の思惑通りだな」


 摂津は立体地図をじっとにらんだ。


「向日にサウスの応援に回るよう伝えろ」

「了解」




「天王寺隊長、敵兵が退いていきます」

「おし、このまま追撃だ」


 天王寺は兵士達に声高らかと叫んだ。


『オオゥオーーーーー』


 兵士達の怒号が大地を震わせる。


 天王寺を先頭に千の兵が一気に駆け出した。


「ぐはっ」

「ぎゃーーー」


 黒帝軍が四神軍に詰め寄ろうとしたとき、黒帝軍に無数の銃弾が浴びせられる。


「シールドガッド展開」


 号令と同時に機士部隊が守りを固めた。


「狙撃準備、各隊分散して攻撃」


 天王寺が言い終わるやいなや、各隊の銃士と機士が組んで距離を詰めて行く。


「行けーーーーー」


 号令と共に一斉射撃が四神軍へ放たれる。


「このまま進め」


 反撃の手を緩めず、黒帝軍は進んで行った。




「安芸司令、あと五分程で黒帝軍が所定の位置に到達します」

「作戦通りに実行しろ」


 伝令の報告を聞き、安芸は次の命令を出す。


「黒帝め、数で物言わしてきたな」


 苛立ちながら安芸が呟く。


「技術班、撤収作業を始めろ」


 指示され、技術兵達は作業を始めた。


 兵士達がテントや機材にあるボタンを押すと、一瞬でミニチュアサイズに縮んだ。


「ウォーターチェアを持って来い」


 言われた兵士が宙に二、三十センチ浮かぶ椅子を押して来た。


「進軍開始」


 安芸を挟む形で四神軍は歩み出した。




「サウス隊長、敵船は?」


 向日は船に設置されている光速道で移動して来ていた。


「まだ動く気配はないね」

「作戦通りいくでしょうか?」

「僕が知っている敵さんなら、十中八九で読まれているだろうね」

「では、何か対策を」

「ここは堺君の作戦に任せよう」


 心配する向日に余裕の笑みでサウスは答えた。


「それでは敵の思うツボでは?」

「僕達が海上で足止めしないと余計に被害が出ちゃうからね」

「あえて正面から挑むわけですか」

「ごめんね。損な役割りで」

「いえ、サウスさんとまた戦えて嬉しいです」


 サウスの笑顔にドキッとした向日は赤面した顔を隠すように視線をそらした。




「天王寺隊長、敵が港の陣に入りました」


 機士の兵士長が報告した。


「バリケードの進捗状況は?」

「まもなく完了します」

「急げ」

「了解」


 天王寺は港から数キロ離れた場所に陣を敷いていた。


「後続部隊が到着次第、作戦を開始するぞ」


 天王寺が兵士達を急かしていると、爆発音が響いた。


「何事だ」


 天王寺が機士長に叫ぶ。


「海上から砲撃されています」

「バリケードを起動しろ」

「まだ八割しか準備出来ていません」

「かまわん。今すぐ起動しろ」

「了解」


 兵士長は部下に指示しながらバリケードを起動し、海岸沿いにバリアを展開した。


泉佐野(いずみさの)、後の指揮は任せた」

「任せてください」


 天王寺は長身の男に後を任せ、数百名の兵士と四神軍目掛けて駆け出した。




宇和島(うわじま)司令、龍河将軍の読み通りに黒帝軍が動きました」


 兵士は、髭を伸ばした小柄で強面の男に報告した。


「わかった」


 報告を聞いた宇和島は壇上形に変形したウォーターチェアに立ち乗った。


 十メートル程上昇してから、宇和島はマイクを手に話し始めた。


「これより、我ら第二師団は南淡基地に総攻撃を掛ける」

『ウォォォーーーーー』


 黒帝軍への怒りが溜まっている四神軍の兵は鼓膜が破れる程の叫び声を上げた。


「出撃」


 宇和島も兵士に負けない叫び声で命令した。

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