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戦国都道府県  作者: 傘音 ツヅル
第一部〜始まりの英雄 黒雷編〜
25/55

Record No.025 天神暗殺任務(3)

「情報が漏れていたということですか?」


 車を運転する秋葉原が訊いた。


「だろうな」


 新橋に手当てされながら守が返事する。


「痛っ。ちゃんとやってください」

「ごめん、ごめん」


 神楽坂からのひどい言われようになぜか渋谷は嬉しそうに笑う。


「では、作戦は中止ですね」


 グラナを操作しながら神田が言った。


「とりあえず、支部に戻ってからだ」


 珍しく暗い顔の守に隊員達は口を閉ざした。


「どうしたんだよ」


 急に車を停めた秋葉原に渋谷が文句を言った。


「何かおかしい」


 ライトを消し、秋葉原は周囲に視線を走らせる。


人気(ひとけ)が無さ過ぎる」

「ジャミングされて正確ではないですけど、支部以外に熱反応がありません」


 秋葉原の言葉を聞き確認した新橋が言った。


「支部が落ちたということですか?」


 守に神楽坂が訊く。


「その可能性が高いな」

「とりあえずガッドで探ってみます」


 新橋はグラナのモニターで内部を確認した。


「どうだ?」

「太宰府さん達だけです」


 新橋の言葉を聞き、守は考え込む。


「武装はしているか?」

「完全武装しています」


 疑問に感じながら新橋が報告する。


「秋葉原、支部に連絡はしたか?」

「いえ、支部を探知される可能性があったので」


 守に訊かれた秋葉原が答えた。


「支部を制圧する」


 隊員達は守の指示に戸惑う。


「太宰府さんたちが裏切っていると?」


 秋葉原が守に確認する。


「情報漏れと、過度な武装でほぼ間違いないだろう」

「どう攻めます?」

「攻めるんですか?」


 渋谷に新橋が驚いて訊く。


「だって、ゲートを取り返さないと帰れないでしょ」

「それはそうですけど、用心で武装してたらどうするんですか?」

「そのときは謝ればいいでしょ」


 渋谷の楽観的な物言いに新橋は呆れる。


「そんな優しいと死ぬよ」


 ボソッと言いながら渋谷は新橋の肩を叩いた。


「・・・・・・はい」


 新橋は唾を飲んで返事した。


「太宰府支部長、大牟田達が動かなくなりました」


 守達の車につけた発信機を見ていた隊員が太宰府に報告した。


「まずいな。勘付かれたか」


 チッと太宰府は舌打ちをする。


「どうしますか?」

「お前、四人連れて車を見てこい」

「わかりました」


 太宰府の指示を受け、部下達が出て行った。


 次の指示を太宰府が出そうとした瞬間、電気が落ち、部屋が真っ暗になった。


「ぐはっ」

「全員、暗視モードに切り替えろ」


 部下の呻き声を聞き、太宰府が叫ぶ。


「うおぉぉぉぉぉー」


 混乱した隊員が乱射し、割れた照明のガラスが天井から降り注がれる。


「うっ」

「がはっ」


 呻き声と共に支部の隊員達は次々に倒れていった。


「神田、いいぞ」


 そう守が言うと、残った照明に光が戻る。


「くそ、いつの間に」


 上野に押さえ込まれた太宰府が守を睨んで言った。


「何で裏切った?」


 守は冷静な口調で問いただす。


「それはこっちの台詞だ」


 必死にもがきつつ、太宰府が吐き捨てるように言った。


「裏切ったのはお前だろうが」


 上野は苛立って力を強める。


「こいつは同郷の人間を何人も殺した」

「それで、どうしてだ?」


 何も反論せず、守はもう一度訊く。


「九竜軍に勝利を」


 太宰府は守を一瞥して、高らかに叫んだ。


「まずい、こいつらの口に何か突っ込め」


 異変を察知した守が上野達に指示する。


「隊長、駄目です」


 上野達が止めようとしたが、一歩遅かった。


「隊長、確保した奴らが死にました」


 守達が生存確認していたら、車で待ち伏せしていた秋葉原から通信が入った。


「そっちもか」


 守達は何とも言いようのない感情が胸に広がる。


「神田、新橋、ゲートの状態を確認しろ」


 気を取り直して守は指示を始めた。


「上野、ビニールが何か被せる物を頼む」

「了解」

「隊長、ゲートが使えなくなっています」


 光速道のシステムを確認した神田が言った。


「復旧出来そうか?」

「厳しいです」


 隊員達は静かに守の指示を待った。


「上野、神楽坂、新橋は食糧を、秋葉原、渋谷は俺と武器で使える物を探せ」

「隊長、自分と新橋は何を?」

「お前達は本部の座標データをコピーしてくれ」

「了解」

「時間がない、急げ」


 守に言われ、隊員達は一斉に動き出した。


「準備はいいな」


 倉庫に集合した隊員達に守が確認する。


「手当たり次第って感じですが」

 

 秋葉原が一息つきながら言った。


「使えれば問題ない」


 守は腕時計で時刻を確認しながら答える。


「それで、どうします?」


 あえて軽い口調で渋谷が訊く。


「小倉に向う」

「何かツテがあるんですか?」


 秋葉原が守に確認する。


「ちょっとな」


 守は歯切れの悪い感じを残して歩き出した。

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