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ファジーネーブル  作者: 紅月 光流
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始まりのはじまり

 ジンは目覚めた、少し暑い昨日の夜は、肌寒かったのに、ベットから降りて窓を開けたら雲ひとつもない快晴だった。それが普段なら清々しく思えたのに、怖く思えた、嵐の前の静けさ、ジンの心には嫌なことしか思わなかった。『フィズが気になる・・・』ジンは家を飛び出して、駆け抜けていった。城下町の中は人で溢れている、かつての戦争はどこえやら、平和と言えるのは中心街だけ、スラム街ではその日を生きることにでさえ、裏と表が見え隠れしている、こんなことになったのも先代の王が死んでから・・7年前第二王子のモウラ王子がこの国の王子になり、武力を強めることに重き置いてきた、この国はもともと資源少なく、公国との貿易によって賄われていた事が大半を占めていた、公国の方が立場が上だった、モウラにとってはそこが気になかったのだろう、だが先代の王は、たとえ立場が低い立場であろうが民が生き続けることができるのならと、無理はしなかった勿論国政としてはどうだろう、常に対等であることは必要だ、でも国民には関係がない、生きることでそれだけでいい、死は何も生まない、戦争によってたくさんの命が奪われた、結局得たものは何もなかった、公国は軍備が優れていた、魔法砲という技術でたくさんの兵が亡くなった、負けるのは誰もがわかっていた、なのに戦争を仕掛けた、ジンの先生は気づいていた、うらがあるとがあると、彼の名は、クロノ、ネーブルを救ったと言われる、勇者の末裔だと言うことなのだが実際ははっきりしていない、クロノ自体が、家族からその話を受け継いだだけだからだ、クロノはモウラには裏があると、ジンたちに話していた。ジンもむずかしく考えることは、苦手だが、先生の言ったことを気にしてはいた。『閉まってるな、フィズが気になる・・』ジンは周りを見渡して、王宮の中にどうにかして入ろうとしていた。奇遇にもそこに公国からの貿易品を運ぶ、荷車が入ってきた、ジンは後ろから回り込んで飛び乗り隠れた、そこには剣や鎧や兜があった。ジンはふとわれにかえった、『なんで、公国から密輸・・』ジンは知っていた、フェイカリス公国とエステル王国は一時休戦中、五年前の戦争がおわった訳ではない、水面下ではまだ戦いが続いている、いわば冷戦だ。もちろん今は公国との貿易も止まったままのはず・・ジンは考えれば考えるほど、深みにはまっていった。荷車が止まることを感じたジンはとっさに飛び降り、何百年という寿命な大木のような石の柱の後ろに隠れていた。一人の兵長らしきものと密輸商人が話している声が聞こえてきた・・「無事に成功です、モウラ王が探しておられた、魔法剣を運びを終わりました。」「よくやった、王も喜びになるだろう、誰もこのことを知っているものはおらぬな?」「はっ、もちろんでございます。・・自分の口から言うのはたいへんおこがましのですが・・」と商人が兵士に言った。ジンが地面の小石に足が当たり、軽い音が響いた、『まずい・・』ジンは背筋を引き伸ばし柱にへばりついた。兵長は気づいていたが、ジンのことは気にせず、商人と話し続けた、「そうだな、褒美をやらねばならんな」と言うと鞘から何十年と戦ってきただろう、鉄でできた剣を構えた。商人は自分が殺されることが分かってしまったのか、足をつまずきながら後ろを振り向いて逃げようとした。だが、まるで手を紙で切ったのかのような疾さで地面叩き伏せられ赤黒い液体がその体の大きさよりも広がっていった。兵長はお前もこうなるぞとジンに警告しているようだった。ジンは怯えた、かつてない恐怖に、クロノ先生に鍛えられていたとわいえ、お互いの殺意をぶつけ合ったことはまだなかった。「ザスティン兵長、王がお呼びです、すぐに魔法剣をもって闘技場へ来いと・・」一人の若い兵が膝まずきながら言った。「わかった、すぐ行こう」そう言うとその兵長は荷車から、赤黒くたくさんの人間の命を奪ってきたような、剣を取り出して、闘技場に向かっていった。ジンは腰が抜けて、そこに座り込んでしまった、百メートルを駆け抜けた時のような、荒い息をしていた。息は少しづつ間隔が空いてく、聞こえなくなった瞬間に、ジンは兵長が向かった、闘技場に足を進めだした。宮殿はかなり広く、ジンはまるで巨人の家に迷い込んだ、小人になってしまった、あるけどもあるけども、人の気配がしない少しまばらな小さな石レンガが続く廊下を警戒しながらから歩き続けると、ひとつの小部屋に行き着いた。ジンの心は恐怖から、希望へ変わりつつあった、子供が初めて一人で冒険しているような、でも少し大人の気分の優越感に浸っているジンだった。ドアはボロボロ強く押すと取れてしまいそうな、年季が入っていた。ジンはドアに耳を当てて、誰もいないことを確認して頭を隠しながら、右目で中を確認しながら入った。歪だ、部屋の中がぐじゃぐじゃ、あべこべすべてが裏むきになっている。『あれ・・・』それ以上に、ジンはそれよりも光るものが目に入っていた。本棚の中に光り輝く本が見えた、分厚く過去から引き継がれたきたような歴史を感じるほど寂れた本だ。しかしジンにはそう見えなかった、光り輝く紋章が本から浮き上がっていた、その本を手に取り、ページを開いた・・『何も書いていない、白紙だ・・』捲っても捲っても、開けども開けども、何も書かれていなかった。最後のページに何か書かれている、ジンは覗き込むように凝視した。見開きの左には文字が、右には絵が書かれている、『なんの絵だろう・文字は読めないし・・うっっ、』絵のような紋章、見たとき左手に痛みが走った。左手には紋章が浮かび上がっていた。

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