プロローグ
五月の空、まだ寒くて半袖では過ごせない。ジンは青々と繁る踏まれても踏まれても、起き上がってくるブタクサのような明るい緑色のカーディガンを羽織って体をちいさくまるめながら、手をこすり続けた。『さむい・・・これで見えなかったら最悪。』ジンはリザに微笑みかけた。「あんたが見たいって言ったんじゃない、だいたい家でも星なんか見えるのに、ホントガキね。」う・・・んきつい、八方美人の癖におれにはあたりがきつい、もっと女らしく・・無理だなとジンは思った。子供の時、ジンがいじめられていたときも男でも関係なく守ってくれた。いじめられてたから今の自分がいるといっても過言じゃない、いやきっとそうだ先生に武術を習うことのきっかけにもなったし、フィズやリザにあうことができたし、ある意味良かったのかもしれない、繋がりというものはふとしたことから起きる奇跡かも知れない。ジンはそう感じていた。「ほら けんかするな、缶コーヒーとコーンスープ買ってきたぞ。」フィズが小走りで買ってきてくれた。コイツも被害者だ、だけどなんだろう上手くかわせているというか、大人だ。もうこの三人とは5年の付き合いになるかな、腐れ縁てやつ、「わたし悪くないもん、そこのツンツンマゾ男がムカつくことを言うから、」『誰がマゾ男だこのドS変態女が。』そう言って二人はにらみ合った、こういう時に間に入ってくれるのはフィズしかいない。まぁまぁとどちらも傷つかないように二人を慰めた。明日は先生の一回忌、先生が死んでから一年あっという間だった。「もう一年だな、先生がいなくても特に変わらなくなった というか当たり前になった」とフィズが星を見上げながら言った。この場所はいつも修行を終えて先生と四人で来ていた場所、辺りは草が人を阻むようにように生えていて、ここだけ、トンボで整地したみたいに平らな地面しかない、ここで毎日のように、星を見上げていた。「昔よく来てたよね、四人で、いつもジンは寝てたけどね。」リザがいった。迅は聞き流した、というかジンの頭の中では過去を旅をしていた、少し笑ってから、『せんせは生きてるって、だって誰も死んだところ見てないじゃん、きっと・・』「先生は死んだんだ、諦めろ帰ってこないんだから、それが答えさ。」フィズが言って、ジンとはリザはうつむいた、先生は一年前、王国の新大陸派遣隊と同行していったまま未だ連絡がない、王国側もそれ以来、派遣隊送ることをやめてしまったせいで真相は迷宮入りしてしまった。王宮には三人でなんどもどうゆうことかと説明を求め、どこに向かってたのかも開示して欲しいとたのんだ、王国にとっては最重要機密らしく、答えは帰ってこなかった。リザもフィズも諦めていることもジンは知っていた、それでもジンは諦めきれなかった。『ファジーにいるんだ、そうに違いない、先生はそこから帰る方法を探ってるんだって。』二人はバカを見るように不満そうにして、フィズが「帰るわ、明日は王国兵団の試験だからな、ジンは・・おつかれ」と振り返らずにを家がある街の方に帰っていった。ジンは少し怒りを覚えた、子供がおやつを兄弟に取られた時のように、「フィズはああやって言ってるけどね、ほんとは先生のことまだ生きてるとおもっているにちがいないわ、だって一番に王国に怒っていたのフィズじゃない。」ジンはリザの言葉に驚きを隠せなかった。「フィズは兵団に入ることによって、王国が隠している秘密と先生のこと探ろうとしているのよ絶対、だからその怒りしまいなさい。」リザはジンの心が簡単に読めた。ジンは少しの怒りを自分に対する嫌悪感にすり替えた。「わたしも帰るわ・・・先生はきっと帰ってくる、あんなに強い人が死ぬわけないもん。」そう言ってリザも街に帰っていってしまった。リザの言葉で人の心は嫌悪感から解放された。三人とも孤児だった。ネーブルといゆう世界である国はフェイカリス公国とエステル王国のみだけ、この二国間で戦争が起こった、五年前のことで、その時ジンは両親を亡くしてしまって、先生が拾って育ててくれた。ほかの二人も時期ずれるが、同じく先生には恩義がある。ジンは地面に寝そべって星を見続けていた。アークトゥルスがジンの心を熱くさせる、その時先生の言葉がフラッシュバックした、「ジン・・・どんな時でも星は僕達を照らしてくれる、ジン・・お前もあの星のように正しく光り続けろ、そして・・・死ぬなよ。」___『待っているだけじゃダメだ、俺がせんせを見つけ出す、そしてあの頃見たいにみんなでこの星を見るんだ。』そうジンが大声で星に誓い家に向かい走り出した時、流れ星が彼の後ろ通りすぎていった。