第三回戦 零 対 対戦者未定
「三月をやった手口と同じですが、犯人も同じか確認しただけです」
「同じだろ。眼球の切れ目が同じ武器で刺したのを物語っているだろ」
「はい。同じと確認できました」
無感情な声が俺に降りかかる。
ああ、こいつはマジでイライラするな。声の響から、顔のパーツの変化まで全てがロボットのように一定だった。どんな生き方をしたらこんな人間が出来上がるんだ?
「それでは失礼します」
俺の横を音もなく通り過ぎていく。
いや、初めて喋り、横を通り過ぎていき気づいたが、一神にないのは音だけじゃなく、気配すらもなかった。
目で追っていたから俺は辛うじて気づくことが出来たんだろう。
誰かとは違い恐ろしいほど存在感がなかった。
まるで、そういう風に作られたかのように。
さて、一神も五朗丸も教師も出て行ったし、そろそろ俺も出ようかと思ったとき、部屋の壁にもたれかかるようにして頭を揺らしている四家が目に留まった。
このまま放置したら眠り続けそうだな。
「……おい。起きろ」
声に反応し四家はゆっくりと眼を開けていったが、まだ半分寝ているのか、瞼は半開きで止まった。
「……眠い」
「……だろうな」
俺は四家の頭を掴み、乱雑に振るう。
「バスで移動するから起きて動け」
「……うー。頭揺れて気持ち悪い」
やっと起きたのか、目を開けブラウンの瞳を向けてきた。
「……零ちゃんおはようございます」
「おはようって今起きたのかよ……」
「今日は百鬼先生のノックでちゃんと起きれたよ。トイレ行きたくて起きたら丁度ドアがドンドンされたの」
「トイレに起きていなかったらノックじゃ起きれねえのかよ……」
「ううん」
と言うと、四家は八王子を指差した。
あんまり死体を指差すんじゃねえよと思いながら俺は視線を八王寺に向けた。
「八王寺ちゃんが昨日、ドアを五十回以上叩いてくれたから起きれたよ」
五十回叩くまでは起きてドアを開けなかったのかよと俺が思っていると、四家は「あっ」と声をあげた。
「どうした?」
「……トイレ行ってなかった」
「……行ってこいよ」
四家は急いでいるんだか、急いでいないんだか分からないような早歩きで部屋を出て行った。
「……さて俺も行くか」
呟き俺はまた八王寺をチラッと見る。
「あの世で十字に会ったら今度は仲良くしろよな」




