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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
三回戦 零対八王寺
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第三回戦 零 対 対戦者死亡

「あぁん? 計画的ってどういう事だよ?」

 五朗丸が腕を組み聞いてくる。腕組しているところを見ると、こいつなりに多少は考えているようだが答えには至っていないようだな。


 一神と四家はどうだろうかと思いチラリと視線を移すが、一神は無表情で何を考えているかは分かんなねえし、四家はまたは目を閉じ、頭をこくりこくりと揺らしている。

 まだ、考えようとしている五朗丸のほうがマシだな。


「二ノ宮は入り口から出ていったって事は鍵を開けて行ったんだろうな。そして昨日の二ノ宮は四家と戦うために教室に入ってきた時、靴を血で汚していた。血の足跡が残っていたからそれは間違いねえ。じゃあ、なぜ靴を汚していたのか、それは八王寺と十字が殺しあった教室に入ったからだろ」

 俺が五朗丸に向かい話すと、教師も首を縦に振った。どうやら俺と同じ考えなんだろうな。


 だが、五朗丸は組んだ腕に力を込め考え出す。

「……いや、他の教室に入った事と鍵を開けたのがどう繋がるんだよ」


「一昨日の手錠を出したとき二ノ宮が言ってただろうが。ヘアピンとかないから抜けさせてもらったって。だからあいつはヘアピン代わりの物を探しにいったんだよ」


「八王寺と十字って……ヘアピン付けていたっけ?」


「付けていねえし、ヘアピンじゃなくて、ヘアピン代わりの物だよ。つまり八王寺が噴出した針だ」


 俺の言った事の意味が分かり、五朗丸が手を叩いた。

「なるほどな」


「二ノ宮は今日抜け出すつもりで針を手に入れていたって事だな。じゃあ、なぜ抜け出すつもりだったのか? それは八王寺を殺すつもりだったからだ」


 俺が五朗丸に向かい答えると、「ああ」と教師が答えた。


「朝起こすつもりで二ノ宮の部屋を訪ねると、あいつはいなかった。俺は嫌な予感がして、他の部屋も全て訪ねて回って、八王寺の部屋を開けた時あいつが殺人鬼だと気づいたよ」


「部屋を尋ねると?」

 その言葉が引っ掛かり俺は聞き返した。


「ああ」

 返事をすると、教師は八王寺の部屋のロックを解除した。


 扉を開くと血の臭いが鼻腔に届いてきた。中に入ると、キングスサイズのベットの上で八王寺が鎌を握ったまま眠るように倒れていた。目から血の涙を流しながら。


 近づき顔を覗き込むと、目は横に引き裂かれていて、そこから血の涙だけじゃなく、ピンク色の涙も流していた。脳ミソだろうな。

 傷が目だけでは留まらずに脳みそまで達したって事か。


 どれだけ恨みがあればこんなに深く突き刺すっていうんだか。


「なるほどな」


 教師が二ノ宮が殺人鬼だと判断した証拠も八王寺の死体には残っていた。

 目と目の間の眉間には切り傷が残っていた。

 両目を交差させるように突き刺されたから出来た傷だろうな。

 つまり、鋏のような武器で殺したって事か。


「三月がベルトを外して死んでいたことから犯人が女だって考えられ、八王寺の傷から鋏のような武器で殺されたとも分かった。そして二ノ宮は逃げ出した。決まりだな」


「……そうだな」

 俺が八王寺の瞼を閉じながら答えると、教師がポツリと呟いた。


「それでどうするんだ? 八王寺は俺の相手だったが、死んだから戦う事は出来ねえ。不戦勝なのか?」


「狩谷さんに聞いてみたんだが、ヒルイさんの判断を仰ぐそうだ」

 俺に答えると、今度は一神達候補者にそれぞれ視線を移した。

「とりあえず俺達は十大組織長の待つ会場に移る事になった。そこでこの後の戦いをどうするか、ヒルイさんに指示をしてもらう」


「俺も行って良いのか?」

 五朗丸が質問をする。

「ああ。五朗丸も二ノ宮も候補者が生まれる場に立ち会ってもらう手筈になっている。まあ、二ノ宮はもういないんだがな。とりあえず五朗丸含めて全員校門のところに向ってくれ。豊太さんが待っているから」


「じゃあ、準備でもするか。武器は持って行って良いのか?」


「それは確認していなかったな。今から狩谷さんに確認するから、一応バスにまではもって行ってくれ」

 教師は内ポケットに手を入れスマホを取り出す。電話をするんだろう。


「了解。零、先に行ってるわ」

 五朗丸は軽く手を上げ部屋を後にした。足の甲に皹が入っているせいか、少し引きずる様な感じだった。

 あの様子じゃ、もし三回戦に敗者として出れることになっても戦うのは無理だろうな。


「あっ、百鬼です。すいません、確認したい事と報告がありまして――」

 教師は受話口を手で押さえながら部屋を出て行った。


 すると、それを確認してかのように、一神が八王寺の死体をまじまじと観察しだした。昨日は九門が三月の死体に近寄り過ぎたせいで注意を受けたが、教師は電話をするために部屋を出て行ったので注意する人物は居なかった。

 俺は注意する気などサラサラないし、四家はまた目を半分閉じ頭を揺らしていた。


「何か気になるのか?」


 俺が聞くと、一神はチラリと無感情な視線を送って来た。

 嫌な目付きだ。

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