第二回戦 二ノ宮対四家10
勝った。これでヒルイちゃんの後継者まで後ちょっとだな。お姉ちゃん褒めてくれるかな?
「いやー。負けた負けた。さっき四家ちゃんを四番目に強いって言ったけど、訂正だね。四家ちゃんは……二番目に強そうだねー」
「二番目? 一番は?」
「それは内緒だよー。だって、明日になればきっと分かるからねー」
明日は三回戦と決勝戦があるからそこで分かるんだろうな。うー。後二回も戦いがあるのか……面倒くさい。
「さて、さて、早く教室に帰って明日の対戦カードを聞きたいね。明日が楽しみだねー」
「お腹大丈夫なの?」お腹の傷は深そうだし、病院行かなくて良いのかな?
「大丈夫だよー。このくらいの傷なら、もう一仕事くらい問題ないよー」ニノちゃんはそう言うと、「あっ!」っと叫んだ。「チョッキンちゃん拾ってかないとー」
「……あそこにあるよ」鋏だったナイフを指差す。
ニノちゃんはブレザーを押さえながら、飛ばされた鋏を拾った。
「やっぱり四家ちゃんの相手をするのに、チョッキンちゃんじゃダメだったかー。いけると思ったんだけどなー。ちゃんと忠告を聞いて、武器を選べばよかったなー」
ナイフ二本を組み合わせると、落ちていた留め金をはめ込み、鋏を作り直した。思ったより簡単に直せるんだな。「さてと教室戻ろうかー」
「……お腹すいた」いっぱい動いたから、お腹がすいてぐーってなりそうだった。
私はニノちゃんと一緒に教室に向った。疲れた私よりも、大怪我しているニノちゃんの足取りのほうがずっと軽かった。教室に戻ると、八王寺ちゃんがハンカチで涙を拭っていた。なんだろう? 花粉症かな?
「戻ったな。二ノ宮は外に医者を待たせているから、直ぐに向っていいぞ」
「えー。大丈夫だよ。あと一時間は死んだりしないから、明日の対戦カードだけでも教えてもらいたいな」そう言ったニノちゃんのブレザーは血で赤黒く染まっていた。痛そうだな。
「……分かった。じゃあ、席に戻ってくれ」
「はーい」
ニノちゃんが席に戻ったので、私も自分の席に戻ると、先生が教室に残ったメンバーを一人一人観ていく。
「最初は十一人いた人間も今では六人になり、更に勝ち残ったのは四人になったな。それじゃ、三回戦の試合内容を発表する。三回戦は……奇数班と偶数班に争ってもらう。場所は今は言えませんが、別会場に移動させていただきます。まず一試合目は八王寺と零、二試合目は一神と四谷の試合だ。三回戦で勝利したもの同士で決勝を戦ってもらう。ちなみに明日の試合からは十大組織の組織長とその護衛が見に来るので粗相のないようにな」
「百鬼ちゃんちょっといいー?」
ニノちゃんが手を上げた。
「なんだ?」
「うちと五朗丸ちゃんはその会場に行けるのー?」
「あー。それはこの後、狩谷さんに確認を取る予定だが多分大丈夫だろうな」
「りょうかーい。いやー、みんなの試合が楽しみだなー。楽しみすぎてうずうずしちゃうな」
そういったニノちゃんに先生は少し警戒したような目を向けた。
「……それじゃあ、これで二日目は終了とします。この後は各自部屋に戻って、武器の手入れをするなり、食事を取るなり、睡眠をとるなりしてください。明日は九時に起こしにいきますので、それまでは部屋を出歩かないようにお願いします」
「殺人鬼がまだ生き残っているかもしれないからねー」
ニノちゃんが楽しそうに言うと、少しだけ教室の空気が重くなった。
そっか。三月君を殺した人が生きているかもしれないんだった。
「そうだ。だからなるべく部屋の出入りはしないように。ああ、それから大事な報告をするのを忘れていたな」
そう言うと、先生は一度ゴホンと咳払いした。
「三月含めた死亡者三名と脱落者二名の所属を発表させてもらう。まず死亡者から三月、彼は水仙連合会の推薦者だ。次に九門。彼は紅花商会の推薦者だ。そして十字。彼女はマーダエージェンシーの推薦者だ。よって推薦者死亡により、水仙連合会、紅花商会、マーダエージェンシーは脱落になります。次に敗北者。五朗丸。五朗丸は三叉のスコーピオンの推薦者だ。次に二ノ宮」
「はーい」
ニノちゃんは返事をしたが、先生は返事はいらないって顔でぎろりと一睨みした。
「二ノ宮は、快楽殺人者の会彼岸花の推薦者だ。よって、推薦者脱落により、三叉のスコーピオンと快楽殺人者の会彼岸花を脱落とします」
と言う事は……私の赤きガーベラと、黒百合と……山百合と、狩谷さん推薦が残っているんだ。なるほど、明日も大変そうだな。
でも……頑張んないとな。
今回のお姉ちゃんから出された指令は……死屍柴ヒルイの名を継ぐことだから。
めんどくさいけど、お姉ちゃんのごつんは嫌だから頑張ろう。
私があくびを噛み締めながらそう思っていると、百鬼先生の「それでは解散!」と号令が掛かった。
解散か。よし、明日の為に……まずはご飯を食べて寝よう。
お昼を食べた後私はお布団に飛び込んだ。
ふかふかの布団に包まれると、頭の中できらきら星の歌が流れた。
すーっと意識が遠のいていくような眠気が私を襲ってきた。




