第二回戦 二ノ宮対四家9
「When the blazing sun is gone,When he nothing shines upon, Then you show your little light,Twinkle, twinkle, all the night.(燃える太陽が沈んで。輝くものは何者なの。小さな光を放ちだす。夜じゅうずっときらきら、きらきら)」
切り上げる勢いを利用し、私はその場で縦方向に一回転し、着地と同時に両刀をニノちゃんのように交差するように放つ。
ニノちゃんはガードすると、ナイフを弾き反撃に出る。体中に傷跡を付けようと、連続で素早い攻撃を放ってくる。
その速度はナイフで弾くのがやっとでなかなか反撃に出れなかった。
いや、持っていたのがただのファイティングナイフだったら斬られていたかもしれないな。私はナイフのブレードだけではなく、ナックルガードのグリップも使い攻撃を防いだ。
そして、ニノちゃんの顔に焦りの色が浮かんだ。
ナックルガードで殴り付けるように防ぐとニノちゃんのナイフが手から離れ、宙を舞った。金属同士が何十回もぶつかり合ったんだ、とっくに手が痺れていたんだろうな。それは私も同じだったが、形状が特殊なニノちゃんのナイフと私のナックルガード付のナイフでは握りやすさが違う。
私はナイフをグッと握りこむ。そして子守唄を歌った。もうニノちゃんの目は閉じかけているんだから。
優しく歌おう。
「Twinkle, twinkle, little star(きらきら光る、小さなお星様)」
回転し、私はニノちゃんの残ったナイフも弾き飛ばし、勢いを増し左のナイフを一閃する。
ニノちゃんが避けようと後ろに飛ぶが、逃げ切るよりも早く、私の刃がニノちゃんのお腹を捉えた。刃先が柔らかなお腹を切り裂く。
パシャッと、血飛沫が飛ぶ。
手に残る感触はお腹を切り裂いたが……絶命させるような深手ではなく、浅い傷を付けた感触だった。肉は裂いたけど、内臓までは達していないだろうな。けど……勝負は付いた。ニノちゃんはお腹を押さえ、顔に笑みを浮かべたまま仰向けに倒れていった。
私はそんなニノちゃんに最後のフレーズを送る。
「How I wonder what you are!Good night(あなたはいったい、何者なのかしら……お休み)」
なんだかまた目が重くなってきたな。
凄く眠いな。私はゆっくり目を閉じる。
「やっぱり四家ちゃんは強かったかー。真っ暗な穴をつついたら蛇が出てきちゃったって感じだねー」
声に反応し目を開けると、ニノちゃんは平然と立ち上がった。
「いたたたた。思ったよりも深く切られちゃったよ」
ブレザーを脱ぐと、止血代わりなんだろうか、お腹の傷口に強く押し当てた。
「こりゃ、縫わないとダメかなー」
私は傷をじっくり見るニノちゃんに今の気持ちをボソッと呟いた。
「……眠い」
「えー。傷の心配じゃなくて、眠いって元に戻っちゃったかな?」
「……元に?」
「そうそう。さっきまでの四家ちゃんは殺気バリバリの暗殺者って感じだったけど、今の四家ちゃんは普通の可愛い女の子って感じだねー」
「おじいちゃんもお姉ちゃんも私が変わるって言ったけど……そんなに違うのかな? ちょっと怒っただけだよ」
何が違うのかいまいち分からないから、私は小首を傾げた。
「アハハハハ。そっかそっか、無自覚だったんだ。あっ、そうだ四家ちゃん、うちリタイアするけど、どうする? 四家ちゃんの悪口言ったから殺しちゃってもいいよー」
これ以上戦う気はないみたいだった。ぴんぴんしているように見えるんだけどな。
「やだ、面倒くさいもん」
私が答えると、ニノちゃんはまたアハハハハと笑った。
「それじゃあ、どのカメラにしようかなー」
設置されたカメラをキョロキョロ見ると、一つを指差す。
「あっ、ブレザー落ちないように持っててもらってもいいー?」
「うん」
返事をしブレザーを押さえると、ズシッと重かった。思ったよりも出血が激しそうだな。それなのにニノちゃんはぴんぴんしているって凄いな。
ニノちゃんがカメラに向かいばってんを作る。
『二ノ宮、リタイアで良いのか? もしいいなら、今から三数えるから、その体勢を維持してくれ。一、二、三……二ノ宮をリタイアとします。勝者、四家!』




