第二回戦 二ノ宮対四家5
何か手はないのかな?
私がそう思いながら目に迫ってきた鋏をかわした瞬間、またニノちゃんが視界から消えた。けれど、今度は何とかニノちゃんの動きを追えた。さっきよりも距離が離れていたからだ。
ニノちゃんは突然消えたんじゃなく、私の視線を上に誘導した瞬間にしゃがみ込んでいたんだ。
気づいたはいいけれど、私はニノチャンの動きに反応できなかった。ニノちゃんは気づいた時にはもう水面蹴りを放っていた。
足を払われ、私の足は床から離れていた。
「あっ……」
体が後ろに倒れていき、短くなった髪がふわりと揺れた。
ニノちゃんはそんな私に高速の突きを何発も放った。
ジャキンジャキンジャキンジャキンジャキンジャキンジャキンジャキンジャキン。
背中が地面に付くまでの間に数えるのも面倒なくらい、ニノちゃんは突きを放った。うー。受身を取ったけど、背中が痛いな。起き上がろうと動こうとすると、私に無数の髪の毛が降りかかってきた。
私の周りには髪の毛が散らばっていた。凄い量だな。お姉ちゃんに髪を切ってもらうときの何倍もの量が落ちてる。
「……完璧だねー。初めて人の髪を切ったけれど、うちカリスマ美容師になれるかも」
また鋏をくるくると回しながら、ニノちゃんは嬉しそうに笑った。
「……どんな髪形になったの?」
「それ聞いちゃう四家ちゃんはやっぱり凄いねー。ここはなんで殺さないのって聞くところじゃないのかなー?」
「……当たったら痛そうな攻撃は払ったから、死なないと思う」
ニノちゃんのほうがスピードも技術も上だけど、危ない攻撃は何とか防げたから、そんなに怖くはなかった。
「なるほどー。確かに十五発くらいは殺してもしょうがないと思いつつチョッキンちゃん繰り出したけど、それはしっかりガードしていたもんね。やっぱり四家ちゃんは強いねー。生き残っている生徒の中でなら、四番目の実力はあるね」
濡れたワンちゃん見たいに体をブルブルッと振り、肩や頭に乗った髪の毛を振り落とす。うー。服の中に入ったのか、首筋から背中までがチクチクする。
ニノちゃんはホントに強かった。
うーん。どうやったら勝てるかな?
やっぱり攻めないと勝機は無さそうだな。
私は攻めるために腕を交差させる構えを取り、ニノちゃんを見据えようとしたときーーナイフの刃に映った私が見えた。
「あっ」
毛先を整えるだけで伸ばしっぱなしだった髪は短く切りそろえられたショートカットになっていた。横につけたヘアピンは残ったままで、可愛い髪形にアクセントを付けていた。
「可愛い……けど……」
その先の言葉をなかなか言えないでいると、ニノちゃんが口を開いた。
「やっぱり四家ちゃんは、お母さんそっくりだねー」
「お母さんだ」
呟くと、ブレードの中に映ったお母さんが笑ったように見えた。




