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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
第二回戦 第一試合
43/153

第二回戦 一神対九門4

 教室の扉が開かれた。

「よし、全員いるな。九時になったので、第二回戦を始めたいと思う。昨日も説明したが、一回戦は一神対九門。二回戦は八王寺対十字。三回戦は五朗丸対零。四回戦は二ノ宮対四家だ。戦いのルールはいたって簡単。相手を殺すか、ギブアップさせれば勝ちだ。ちなみに殺し合いを行う場所は、校舎の二階を使って戦ってもらう。二階には何もない部屋が六部屋用意されていて、それぞれ一部屋ずつ使って戦ってもらう。ここまで質問はあるか?」


「はーい」

 二ノ宮さんが発言した。

「相手がギブアップしたら殺しちゃダメなのー?」


「出来れば殺さないで欲しいな。もちろん刀を振り下ろしている最中にギブアップされ、止められなかったならしょうがないが、これはあくまでヒルイさんの候補者を決める戦いであり、殺し合をさせることが目的ではないからな」


「りょうかーい。あっ、ちなみにギブアップした人がいたら、その人は今後はどうするのー?」


「……」

 この質問に百鬼先生は固まった。

「それは決めていなかったな。こっちの予想ではいないと思っていたから、何も決まっていないな。まあ、もしギブアップ者がいた場合は、試合が終るまで、見学していてもらおうかな。他には質問はあるか?」


「……」

 今度は誰も質問をしなかった。


「では、今から二回戦に移ろうと思う。まず、一神から武器を取り出して二階に行ってくれ。部屋は一番奥の一と書かれた札が吊るされた部屋だ。一神が入ったのを確認したら、次は九門が行ってくれ。その後に俺がマイクで開始と言うので、スピーカーからそれが聴こえたら、戦ってくれ」


「了解しました」


 一神君が答えたので、僕も答える。

「分かりました」


「よし、それじゃあ一神行ってくれ」


 ゴルフバックから直刀を取り出すと、すっと音もなく席を立ち、一神君は教室を後にした。


「画面を点けるぞ」

 教卓の中から、テレビのリモコンを取り出しつける。黒板代わりの大型ディスプレイに無人の教室の映像が映し出される。教室を斜め上から映し出した映像が画面の半分を締め、残り半分が四分割され、四方から部屋を映し出していた。

「三回戦のためにも、残った候補者はしっかり見ておくように」


 そう百鬼先生が言うと、教室に一神君が入ってきた。


 百鬼先生はまた教卓の中に手をいれ、マイクを取り出す。


「一神、そのまま待っていてくれ、今から九門が教室に向う」

 マイクに向かい喋ると、画面の中の一神君の口が動いた。しかし、その声は画面越しに見ている僕の耳には届かなかった。どうやら、音は拾ってはいないようだな。


「それじゃあ、九門向ってくれ」


「はい」


 教室を出て僕は階段を上がる。


 一段一段上るごとに胸が高鳴っていくのが分かる。ああ、一神君はどんな動きを見せ、どんな芸術品に仕上げるために僕に挑んでくるんだろうか。

 そして……そんな一神君を僕はどんな芸術品に仕上げてあげようか。貫いて胸から血を流す作品かな? それとも三月君のように首を裂いて血を噴出す躍動感溢れる作品にするべきか。


 ああ、迷う。


 両腕を叩き潰し、刀を握れなくして、首を撥ねるのもいいな。いや、待てよ。落ちた首にバスタードソードを突き立てて作品を完成させるのも悪くない。

 頭の中には幾つもの作品のデッサンが上がってくる。

 どれに色付けするのが最高の作品になるだろうか。僕は決めかねた。ああ、どれも素晴らしい作品になるだろう。あの無表情な顔がどう変化し、作品に味を出してくれるんだろうか。楽しみで楽しみで、笑みが零れ落ちてしまう。


 僕は笑いながら階段を上りきり、一神君の待つ教室の扉を開けた。


 一神君は今から殺しあうにもかかわらず、殺気を微塵も出さずに、存在感を消したかのように教室の中心に佇んでいた。

 教室と言ったが、その部屋は二枚の窓があるだけで、机も黒板もロッカーもない殺風景な部屋だった。


『二人とも揃ったな』

 教室の端に置かれたスピーカーから百鬼先生の声がした。

『それでは第二回戦第一試合目ーー開始』

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