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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
第一回戦 虐殺愛好会ブルーローズ 掃討作戦 後編
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ブルーローズ掃討作戦 八王寺6

「……なんだ。八王寺ちゃん無傷で勝ったんだ。つまんないなっ」


 声に反応し振り向くと、十字さんがつまらなさそうに唇を尖らせていた。

「この程度の相手なら無傷で勝てますよ。もちろんあなたが相手でも」

「へえ。その自信はどこから出てくるのかな? まさか僕に無様に負けた日のこと忘れちゃったとか言わないよね?」


「覚えてますよ。あの日のことを忘れたことなんて一度もありませんからね」


「へー。じゃあ、安心した。明日も八王寺ちゃんに惨めな思いをさせてあげるから、この三年間の努力が無駄だったって思わせながら殺してあげることが出来るね」

 十字さんは歪んだ笑みを浮かべ言ってきました。


「では、私はあなたに、自分よりも下だと思っていたものに圧倒される悔しさを胸に抱かせ……殺してあげますわ」


「言うねー」


「これでも言い足りないくらいですよ」

 私は笑った。十字さんのように歪んだ笑みではなく、冷笑を浮かべ。殺意をはらんだ笑みを向ける。


「おい! お前ら止めろ!」

 叫びながら、百鬼先生が警棒片手に駆けてきた。


 私と十字さんが一触即発だと思ったのか、私達の間に割り込んだ。


「大丈夫だよ。今日は殺らないよ。だってほら。二ノ宮ちゃんの一位抜けが決ったから、僕と八王寺ちゃんの対戦も決定したしね」


 十字さんがチラリと視線を二ノ宮さんに移す。私も百鬼先生も釣られて見る。


 赤薔薇自慢の有刺鉄線の鞭は、バラバラに切断され、今では柄の部分しか残っていなかった。


 赤薔薇は二ノ宮さんに胸を足で押さえつけられ、仰向けの姿勢のまま体をがくがくと震わせていた。

「……ごめんなさい……ごめんなさい……ごめんなさい」

 呪詛の念の様に赤薔薇は耳を澄ませなければ聴こえないような声量で謝り続けていました。気の強そうだった赤薔薇に何をすればあんなにも怯えさせることが出来るというんでしょうか。戦いを見ていなかった私には予想も付きませんでした。


「助けて欲しいー?」

 鋏をくるくると回し弄びながら聞く。

「ああ……助け……て……ください……」


「うーん。あっ、ごめんごめん。これ試験だから、助けてあげられないんだったー」

 笑いながら答えると、鋏を赤薔薇の顔に突き立てた。いいえ……正確には、鋏を両の目に同時に突き立てたですね。

「……ほいっと。いっちょあがりー」


 赤薔薇の体は数度ビクンビクンと痙攣したかのように跳ね上がるが、鋏が抜き取られるとそのまま動かなくなった。

 これで虐殺愛好会ブルーローズ赤薔薇支部は壊滅した。パフォーマーも長も死にました。ショーを誰よりも楽しみ、命乞いさせた相手を見るのが好きだった女は、命乞いをし、その目を潰され殺されました。


「……終了だな。それじゃあ、バスに戻ろうか。奇数班の戦いを見ていたから分かるとは思うが、バスに戻ったら、タオルがあるので各々汚れた武器や体を拭いておいてください」


「はーい。ねえ百鬼ちゃん。学校に戻るの?」

 返り血を全く浴びていない十字さんが聞いた。

「僕、早くお風呂に入りたいんだけど」


「ああ。今日の試験はもう終わりだから、学校の宿舎に戻ります。ちなみにみんなの部屋にはシャワーもバスタブもあるから、血を洗い流していいぞ」


 百鬼先生が答えると、四家さんが先生のスーツをくいっと引っ張った。


 めちゃめちゃ可愛いです。迷子の子供みたいで思わず抱きしめたくなりました。


「……お腹すいた」

 百八十センチ近い百鬼先生を見上げながら、四家さんは言った。


「今はもう三時過ぎだし、朝から何も食べていないだろうからお腹空いたか。学校に戻ったらそれぞれの長から差し入れが届いているだろうから、安心していいぞ。明日、明後日は、朝も昼も夜も出るようになっているからな」


「……玉子焼きあるかな?」

 ああ、なんて可愛いんでしょう。本当に抱きしめて、山百合に連れて返りたいです。


「四家さん。もし、私のご飯に玉子焼きがあったらあげるから、是非私の部屋に来てください」


「ストップストップ」

 私が四家さんの頭を撫でながら話していると、百鬼先生が言ってきました。

「宿舎に戻ったら、部屋の出歩きはしないでくれ。中には他の候補者を闇討ちして数を減らそうと考えているやつもいるかもしれないからな。俺も見回りはするが、君達が出歩かないことが一番だ」


「……分かりましたわ」

 渋々答える。

「……玉子焼き……」

 残念そうに答えた。

 

 神様どうか四家さんのお弁当に玉子焼きが入っていますように。


 バスに戻ると、百鬼先生が武器に着いた血を拭いたらゴルフバックにしまうように言ってきました。


 指示に従い全員が武器をしまい終えると、バスがゆっくりと発進した。

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