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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
第一回戦 虐殺愛好会ブルーローズ 掃討作戦 後編
34/153

ブルーローズ掃討作戦 八王寺4

「あああああぁ、いい声。いい声。いい声。ジェイソンちゃん凄く良かったわ。赤薔薇解体ショーの歴史でも最高の声だったわ」

 血と肉片で汚れたジェイソンの顔にほお擦りした。

「さあ、これでもう思い残すことはないわね」


「あう?」

 ジェイソンは小首を傾げました。


「残りのお譲ちゃんと、あのイケメンちゃんは解体ショーをしながら戦える相手じゃあないでしょうし、もしここで全員倒しても……青薔薇に殺される未来は決っているもの」


 赤薔薇は青薔薇に切り捨てられた以上生き残ることができない事を察しているようでした。そして、ピエロと殺しあう私達を見てその強さも理解したんでしょう。


「それじゃあ二ノ宮さん行きましょうか」


「オッケー。でも八王寺ちゃんはどっちの相手をしたいー?」

 くるくると鋏を回しながら言ってくる。


 手元が狂い飛んでこないか注意しながら私は答える。

「二ノ宮さんが今十二点で、私が三点です。そして現在二位の八王寺さんが九点なので、私は相手がどちらでも倒せば二位になります。二ノ宮さんが好きなほうを選んでいいですよ」


「じゃあねー。うん。決めた。赤薔薇がいいなー」


「分かりました。私はジェイソンの相手をさせてもらいます。チェーンソー対大鎌の対決なんて、まるでB級ホラーのようですね」


「いいねー。ポップコーン片手に八王寺ちゃんの戦いを見学したいねー」

 屈託の無い顔で笑うと、二ノ宮さんは赤薔薇に鋏を向ける。

「と言うわけで、赤薔薇ちゃんの相手はうちがするよー。この場所で殺りあったら、他に怪我人も出るだろうから、離れようかー」


「あら、金髪のお嬢ちゃんが私の相手なのね。ジェイソンちゃん。あなたの相手はあの髪の長い子よ。勝ったらママがいっぱいいい子いい子してあげるから、頑張るのよ」

 優しく語り掛けると、愛情表現の一種なのか、鞭で背中を叩いた。


 ジェイソンは痛みなのか快感か分かりませんが、体をビクンと震わせました。


「さあ、金髪のお嬢ちゃん、こっちに来なさい」

 赤薔薇はピンヒールで駆け出した。走るのも一苦労な靴だというのに、その動きは素早かった。もしかしたら走力では私と互角くらいかもしれないですね。


 ドルゥンドルゥンと言うエンジン音が赤薔薇を眺めていた私の耳に飛び込んできた。


 さて、ここからは私も二ノ宮さん達の戦いを見ている余裕はなさそうですね。赤薔薇支部の怪物ジェイソンを死神が屠ってあげましょう。


「おおおおおぅっ!」

 叫び声のような大声をあげジェイソンが駆け出しチェーンソーを振り下ろした。


 速いですね。見た目とは裏腹にスピードがあった。しかしこれは予想の範囲内です。

 ジェイソンは二メートル近い身長に百五十キロはありそうな巨体でした。もし、これが太っているだけならば素早さはまずないでしょう。けれど、この巨体が脂肪ではなく筋肉であった場合、相当な速度があるだろうと、この会場に入ったときから私は考えていました。

 このスピードは想定した最速よりもやや遅いものでした。


 私は振り下ろす前に後ろに跳ぶ。空振りし無防備になったジェイソンのわき腹に鎌の切っ先を突き刺そうと振るった――その時、切り裂かれたオーバーオールの中の、銀色の物体がチラリとみえた。

 銀色?


「……ッ!」

 突き刺そうとした手を止め、距離をとるために後ろに飛びのいた。そうか。そういう事でしたか。だから六波羅さんの刀が折れていたんですね。


 これは厄介なことになりましたね。相手の首はタートルネックで隠れているうえ、高い位置にあり、尚且つ太く逞しい。無防備な胴体を攻撃しようにも、何かしらの鉄製の装甲を身に纏っている。最低でも刀よりも強度が上の物体をです。

 

 六波羅さんは人を蔑むだけの力のない役立たずだと思っていましたが、まさか私を助けてくれるとは、嬉しいやら、虚しいやら。

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