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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
第一回戦 虐殺愛好会ブルーローズ 掃討作戦 後編
33/153

ブルーローズ掃討作戦 八王寺3

「どんな風に戦うのか、あなたのその目で追えますか?」

 微笑を十字を送る。


「簡単に追えると思うな。だって八王寺ちゃん程度の腕で振るう武器でしょ? 寝ぼけ眼でもしっかり追えるよ。あはっ」

 十字さんがおもちゃで遊ぶ子供のように楽しそうに笑った。服装や髪形が変わってもこの目は変わらないようですね。


「うへー。女の争いは怖いねー。ねえ、四家ちゃん」


「……お腹すいた」

 四家さんはお腹を押さえながら呟いた。会話のキャッチボールが難しそうな子ですけど、可愛らしい子で私は思わず笑っちゃいそうになりました。


 二回戦で十字さんを倒せば、四回戦くらいで、四家さんか二ノ宮さんに当たるでしょう。


 もし相手が四家さんなら私は辞退しよう。


 こんな可愛い子を殺すことなんて私には出来ませんね。私は死屍柴ヒルイになる気はないのですから。


 この裏の世界をより良いものにしてくれるのならば誰だっていいんです。私の家である山百合学園を守ってくれる人がいれば。


 私は後一年で学園を卒業しますが、卒業しても黒百合に行く気はありません。このまま山百合学園に残り、学園のシスター兼暗殺者としてこの鎌を振るおう。


 私は学園の秩序を守る死神になれればそれでいいんですから。


「それじゃあ、異論がないようなので、私と二ノ宮さんで相手をさせていただきます」


 私がそう言うと、耳ざわりな絶叫が耳に飛び込んできた。

「うああああああああああああぁ!」


「ああ、いいわ。素晴らしい声。でも残念ね。本当ならここから手足を捥いであげるのに、あなたたったこれっぽっちの痛みでもうショック死しにそうになっているんだもん。ジェイソンちゃんうつぶせに寝かせてあげて」

 どうやら六波羅君の肩をチェーンソーが削ったために悲鳴が上がったようです。

「ほうら、痛くても目を開けて御覧なさい。味方があなたを見ているわ。何か言うことがあるでしょう?」


「あっ……あっ……僕を……たすけろおぉ!」


「……」

 助けろって何様のつもりなんでしょうか。助けてくださいと言われれば多少は考えてあげてもよかったが、こんな上からの命令をされて助けるはずがありませんね。


「二ノ宮ぁ! さっさと僕を助けろ!」


「えっ? 何言ってるのー? まだ軽症じゃん。いけるいけるー」

 親指を突き出し笑みを送った。まあ、片腕がやられてももう片方が残っていれば、いくらでも戦えますね。


「なっ! 四家! お前でいい。早く助けろよ! 金ならいくらでも払ってやるからさぁ!」


「むり。めんどい」

 四家さんは本当にめんどくさそうに、答えた。


 さっきお腹が減ったと言っていたので、動くのが億劫なのかもしれませんね。この候補者の中で一番四家さん……いえ、幼く見えるので四家ちゃんと呼ぶことにしましょう。

 一番、四家ちゃんが可愛いですね。

 もし生き残ったら、山百合につれて返りたいくらい可愛いです。抱きしめて、一緒に寝たい。そう思わせるほどの小動物的な可愛さを四家ちゃんは持っていました。


「ふざけるなっ! 八王寺! お前だ。お前なら助けてくれるだろ!」


「ルールを聞いていなかったんですか? 敵の横取りはしてはいけないんですよ」

 微笑を浮かべ私は答えました。本当は蔑む目を送ってやりたかったんですが、死ぬ行く人にそれは可哀想すぎるでしょう。


「十字! お前なら助けてくれるだろ! 金なら払ってやるからよぉ!」


「幾らくれるの?」

 十字さんは顔を覗き込むようにしゃがみこみ言った。ああ、この人は変りませんね。希望を持たせ……。


「五……五百万ならどうだ! 今僕を助ければ五百万を必ずくれてやる!」


「五百万ってマジで! うわー……僕も安く見られたな。僕の手が借りたいなら、その十倍の五千万は積んでよねっ。あはっ」

 十字さんは楽しそうに笑った。


 希望を持たせ落とす。幸福から地獄に突き落とすのが好きなのは変わらないようですね。

 それでこそ、十字さん。躊躇わずに鎌を振るえそうです。思わず私は微笑んでしまった。


 嬉しさのあまり、自然と。


「ぐうぅ……そうだ、百鬼ぃ! いるんだろ! 僕は降りる! だからさっさと助けろよぉ!」


「……無理だな。俺の位置から助けに行っても、その前にジェイソンに首を切り落とされる。それから……赤薔薇が六波羅に言った言葉覚えているか?」


 あら、百鬼先生は優しい教師かと思っていましたが、意外と冷徹な部分もあるようですね。ここでその事を思い出させるなんて。


「助けてよぉ。なぁ。赤薔薇。父様に言って、おまえが死なないように組織長に進言してもらうからさぁ。だから……殺さないでくれよぉ」


 私達を見下していた六波羅さんが命乞いを始めた。どうやら、あまり賢くはないタイプのようね。勉強は出来ても常識がないタイプの人なんでしょうか?


「あぁ。いい、命乞いだわ」

 体を震わせ恍惚の笑みを浮かべた。ボンテージに赤い蝶のマスクを付けた赤薔薇に、その笑みは似合っていました。

 人生経験の少ない私ではあんな笑みを浮かべるのはまだ無理でしょう。房中術の講習受けるべきでしょうか……ダメですね。想像するだけで赤くなりそう。


「あっ……」


「ジェイソンちゃんフィナーレよ」


 ドゥルンドゥルン。エンジン音がまた鳴ると、六波羅さんの首にチェーンソーが近づいていく。


「やめっあがあああああああぁ――――――」


 フィナーレ。人生が終わりを迎えました。

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