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死屍柴ヒルイの後継者  作者: 也麻田麻也
第一回戦 虐殺愛好会ブルーローズ 掃討作戦 後編
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ブルーローズ掃討作戦 八王寺2

 私は物心付いた時には山百合学園の児童養護施設に入っていました。


 山百合学園は表の顔として教会と児童養護施設と、小中高一環の学園を持つ福祉法人です。

 しかし裏の顔は、児童養護施設で預かった子達を、山百合学園に送り、殺しの技術を身に付かせ、教会で殺しの依頼を受け、学園の生徒を送り出し経験を積ませる、暗殺者育成業者です。


 山百合の中でも成績上位者は上層組織の黒百合に送られ、中位者や下位のものは赤きガーベラはじめ、他の殺しの組織に送られます。


 私が小等部の五年生の時に、任務中に殉職した黒百合の殺し屋の子で、行き場を失い、仕方なく山百合が預かることになった転校生がいました。

 それが十字さんでした。

 その頃には私は才能を認められ、小等部ながら実践訓練にまで出るほどで、天才と呼ばれ、五年生の代表を務めておりました。それもあってか、十字さんに学園生活や暗殺のいろはを教える役目もおわされていました。


 裏の世界もろくに知らなかった十字さんに私は、懇切丁寧に手取り足取り教えました。すると、十字さんは血筋が良かったのか、本人の才能が優れていたのか、小等部を卒業する頃には、学年でも上位の腕を持ち、中等部に入ると、学年二位で、私に次ぐ腕を持つようになりました。


 そんな彼女の事を私は誇らしく思い、毎日のように一緒に訓練を行いました。


 十字さんも私に良くなつき、私のロングの髪形を真似したり、私が読んだ本を全部読んだり、一緒の布団で寝たりと、年の近い妹のようにくっついてきました。


 少し高い少女の声で、私にお姉ちゃんと笑いかけてくる十字さんは本当に可愛い子でした。


 私達が中等部の二年になると、十年に一人の天才と私は騒がれ、黒百合の視察陣が私を見に来ました。


 山百合では高等部の卒業を待たずに黒百合に入る者もいます。即実践で使える技術の持ち主や、才能を見込まれた者がそうです。

 中には中等部だというのに黒百合に入る者もいます。

 

 けれど、それは例外中の例外であり、数十年の歴史を持つ山百合でも過去に二人だけであり、一人は十八年前に中等部の三年で、一人は二年でスカウトされました。

 その一人と言うのは一学年上の男子の先輩であり、山百合学園史上最高の素材といわれ、小等部の三年生のときから実践訓練をメインで行い、プロ顔負けの活躍をしてきたようです。

 それもあってか、校舎にも寮にもほとんど現れなかったので、私は会った事も見たこともないのですが、今でも尊敬する一人として上げられます。彼の活躍に負けぬよう努力をしてきたからこそ、私はスカウトの目に留まるほどの強さをもてたんだと思います。


 シスターササカワの指示で私は視察陣の前で実践式の訓練を行いました。

 中等部の三年にも私の相手が出来る実力者がいなかったので、唯一私に近い力を持つ十字さんが相手に選ばれました。当時の私も十字さんも獲物はナイフの二刀流だったのでそれで斬りあいました。

 もちろん命を奪うような攻撃はなしと言うルールで。

 

 これで私が実力を見せられれば黒百合に入れる。そう思い嬉しさ半分緊張半分と言う気持ちで十字さんと戦い……私は圧倒されました。


 すべての攻撃を軽々と避けられ、山百合の黒いセーラー服がぼろきれとしか思えないほどずたずたに蹴り刻まれ、両肩を外され、地面に顔を押し付けられ私は惨敗した。


 しかし、それでも私の腕のよさは伝わったようで、逆にそんな私を歯牙にもかけず圧倒した十字さんにスカウトが殺到しました。

 是非、黒百合に来てくれと。

 その時私は見てしまった。スカウトに囲まれ、もてはやされる中、わたしを見た十字さんの顔が厭らしく笑っている様を。


 私はとっくの昔に十字さんに越えられたのだとその時気づきました。そんな私を、十字さんは絶望の渦に突き落とす最高のタイミングを待っていたのです。彼女にとってそれが一番楽しいことだから。


 十字さんはその場で黒百合のスカウトを断わりました。自分はまだまだ弱いので、黒百合で働くのはまだ早いと言って。


 わたしのプライドはボロボロと崩れ去りました。悔しくて歯を食い縛り泣きました。


 スカウトに囲まれる十字の前で膝を着き。


 その日の夜、十字さんは私に『さようなら、お姉ちゃん』と笑みを送り、刑務所以上の厳重な警備が張り巡らされた山百合学園から抜け出した。そして十字さんは数十年の歴史を誇る山百合学園で初の黒百合のスカウトを断わった生徒であり、初の学園から抜け出した退学者となりました。

 死亡退学は年に何十人も出るが、生きたまま退学する者は初の事でした。


 今でも忘れません。あの時の事は。その後、私は今まで以上に自分の身を鍛え続けました。

 高等部に入る頃には、学園の全生徒で最も強いものと呼ばれるようになり、黒百合のスカウトがまたやって来ましたが、私はそれを断わりました。

 断わり学園に残り、一年で生徒会長になり、教師であるシスター達に次ぐ権力を持つようになりました。


 それもこれも全てはたった一つの目標の為に。


 十字さんを見つけ出し、きちんと退学させるため……殺し、死亡退学させるためにです。


 そして今、私は学園長に実力を見込まれ、十八年前に中等部の三年で黒百合にスカウトされた先輩の武器と異名を授かるほどになりました。


 山百合の死神と呼ばれた橘先輩の武器、仕込み大鎌と死神の異名を。

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