決勝戦 一神対四家11
「When he nothing shines upon (輝くものは何もなくなったあと)」
映像が移り変わり、薄暗い牢屋のような場所に変わった。
『痛いよ。痛いよお父さん』
泣く僕の胸に鞭が振るわれていた。
『痛いなんて言うんじゃない! お前は死屍柴ヒルイを超える人間に……兵器になるんだ!』
鞭で何度も何度も叩かれると、お母さんが僕の足を掴んだ。
『あなたは最高の兵器になるの。痛みも苦痛も感じてはいけないのよ』
お母さんの手にはペンチが握られていて、それが僕の足の爪を鋏み、そして引き千切った。
『ああああああぁぁぁっ!』っと、絶叫が狭い牢屋の中、木魂する。
嫌だ。嫌だ。嫌だ。走馬燈よ早く消えてくれ。
お父さんもお母さんもそんな人じゃない! こんなの嘘だ、幻だ!
願っても走馬燈は続いた。
「 Then you show your little light (小さな光を放ちだす)」
『心を消せ。お前は兵器だ。感情なんていらない、全ては殺すために不執拗なもの。分かったな』
『やだよ……』
幼い僕は震えながらナイフを握っていた。
そんな僕の髪を掴み、顔を引き寄せお母さんが目を見つめ言ってきた。
『嫌と言うのは感情が残っているから言えるのよ。さあ、殺りなさい。ここにいる全員を殺し、日常と別れ、感情と決別しなさい』
その目はもう優しくはなく、立て付けの悪い机で字を書いた時のような、イラツキの表れた目をしていた。なぜ上手くいかないのか。私は頑張っているというのに、全てこの出来の悪い机のせいだ。そう目は語っていた。
『殺れなければ、お前は兵器として不完全だ……使えない兵器は処分するぞ。こんな風にに――』
お父さんは持っていたナイフで女性の首を引き裂いた。
「 Twinkle, twinkle, all the night (夜じゅうずっと、きらきら、きらきら)」
ああ、覚えている……この人は担任の先生だ。
血が吹きすさぶと叫び声と鳴き声が耳を劈くような大音量で鳴り響いた。
そうだった……思い出した。ここは……僕の通っていた小学校だ。
仲の良かった男友達、好きだった女の子を僕は……全員殺した。
クラスメイトも隣のクラスも上級生も、体育の先生も教頭先生も校長先生もみんな僕が殺して回った。
お父さんとお母さんと一緒にみんな僕が殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺して殺し回った。
十を超えたくらいか、百に近づいたくらいかは覚えていないが、僕の中から感情の大半が消えかけていた。
涙も消え、ただ無表情に殺し続けた。僕はあの時、父さんと母さんの傀儡になりかけていたんだ。
心があれば罪悪感で押しつぶされると脳が警告を発し、感情を次々と殺していった。
幻なんかじゃなかった。すべて事実だった。
もう止めてくれ。
「Twinkle, twinkle, little star (きらきら光る、小さなお星様)」




