番外編騎士団長の英雄談
私には愛している人がいる。もう、触れる事が叶わなくなった幼馴染で今は王妃になった人だ。私達は愛し合っていたが、王妃になれる力のある貴族の娘である彼女が選ばれてしまった。もう少しで婚約が成立する所だったが、沢山の人達の思惑の所為で叶わなくなってしまった。幼い頃の思い出が胸の中に蘇る。
「リー!大きくなったらお嫁さんにしてね!約束よ!」
「約束は守る!ミリーは僕のお嫁さんだよ」
「うん!」
ミリーが5歳で僕が7歳の時、屋敷の庭園の花の前でキスをして誓った。ミリーの為に私なりに頑張って来た。二人を引き裂く出来事が待っているとも知らず。
「リアルディー、私は貴方と一緒にずっと居たかった」
「ミリオディール愛している、私は誰とも永遠に結婚はしない」
「…リアルディー」
「騎士なって君を一生守るよ。例え二度と触れる事が出来なくても」
「例えこの身が汚されようと心は一生貴方の物だわ」
最後のキスをして君と別れた。君は王妃に、私は短期間で騎士団長まで上り詰めた。君が王妃に成っても幸せではない事は一目瞭然だった。そんな月日が過ぎたある日、王子の御学友である子供が話しかけて来た。
「騎士団長、僕の味方になりませんか?」
変な提案をしておかしそうに笑っていた。
「何を言っている?目的は何だ!」
変な子供だ軽く話しているが油断の出来ない雰囲気がある。
「団長、王妃様を妻にしたくありませんか?」
心の中で何時も考えていた事を言い当てられたみたいで気分が悪い。
「そんな事出来るはずがない!冗談は止めろ!不愉快だ!」
出来るのならとっくに実行している!彼女を今も愛してるんだ!
「出来ますよ、欲しくないんですか?」
簡単に出来ると目の前の子供は言い切った。本当に彼女を私の物にに出来るのか?
「…本当か…本当に出来るのか?」
それが叶うと言うなら何でもする。
「僕の味方になるのが条件ですよ」
私は条件をのんだ、彼女を手に入れて幸せに出来るなら何でもする。
「どんな事をすればいい?」
「貴方なら出来ますよ、英雄に成ればいい。色々道具も貸してあげますから頑張って下さい」
この国に攻めて来ていた隣国の軍隊を一網打尽にした。貸してもらった道具は恐ろしく凄いものだった。一撃で一万にも及ぶ兵を一瞬で灰にしてしまった。私は国を守った英雄になった。
「王に話して有りますから、褒美を聞かれたら王妃様を欲しいと言ってくださいね」
「望んでもいいのだろうか?」
「団長はバカですね。王妃様の視線はいつも貴方の物ですよ」
褒美を取らせると王に言われた私は王妃であるミリオディールを望んだ。あっさり私は彼女を妻にする事が出来た。反対する者が出るかと思っていたが誰もが祝福してくれた。
「ミリオディール今度こそ君を幸せにするよ」
「リアルディーありがとう愛してますわ」
王妃を望んだ事で色々言われることを覚悟していたが、何もないので不審に思っていたら宰相閣下がこっそり教えてくれた。あの子供に逆らって酷い目にあいたくない者が抑えているのだとその筆頭が王だと言われた。恐ろしいと皆が言うが、私には神に思える。不可能だと思っていた彼女と未来を歩めるのだから。