番外編怖い子供に出会った。
私はこの国の宰相の地位にいる。しかしこれ程恐ろしい目に遭うとは思っていなかった。執務室に突然来た子供は私の秘密を暴き、言う事聞かないと酷い目をみるだろうと言ってきたのだ。
「宰相様、僕のお願いを聞いてください」
「私は、子供と言えど不審な行動をする者の戯言を聞くつもりはない出て行きたまえ」
「分かりました、でも後悔しても知りませんよ」
そう言って出て行ったので、子供の言う事だと気にしなかったが酷い夢を見るようになった。
「貴方のような人の妻に成らなければよかった!私と別れて下さい」
「何を言うのだ!君がそんな事を言う何て信じられない!」
「地位以外取り柄がないのに面白味がないわ、ザザーランド様の方が素敵よ!」
私を、今は愛してくれる妻がそんな台詞を言う分けがない!悪夢だこんな夢を見るなんて酷いものだ。疲れていたのだろう。
「旦那様?どうなさったのですか?」
「いや、何でもない夢見が悪かっただけだ」
「大変ですわ、お疲れなのでしょう大事にして下さい」
夢の中とは違い現実の妻は優しく愛しい人だ。私が惚れて少々強引に妻にしたのだ、婚約していた人を押し退けて私が奪ったのだ。
偶然だと思っていたが、次の日もその又次の日も夢を見る。今日のは一番酷い物だ。初めは信じていなかったが毎日続く酷い夢に死にそうになった。
「早く私と別れて下さい」
「未練がましい!私の方が彼女を幸せに出来る。早く別れたまえ!」
「ザザーランド様、愛してますわ」
「私もだよ。君を無理矢理傷付けた男の事など忘れて二人で幸せになろう」
「ええ、嬉しいですわ」
私の目の前で抱き合い愛を語り合う妻に夢とは言えどあまりに酷いので、宮廷魔法使いに相談すると驚く事を言われた。
「宰相閣下悪い事は言いません!あの子供に詫びをそれが一番早い」
宮廷魔法使いの中でも一番の力を持つ男も何かされたのか?
「しかし、言う事を聞けと言うのか!」
「この悪夢の魔法は解けません。私が最初の実験台にされ酷い目にあいました」
悲壮な顔をした魔法使いがそう答えた。
「何だと!本当か!」
「はい、自分の大切な人を守る為に味方を簡単に作れる方法だと彼は言っています」
話を聞くと、この魔法はかけられた本人の一番嫌がる事を魔法が解けるまで繰り返し夢見るそうだ。そして日にちが経つ度に酷くなっていくらしい。長くなると発狂する可能性があると言われた。
「仕方ない、君でも駄目だと言うなら彼を連れて来てくれ」
「かしこまりました宰相閣下」
宮廷魔法使いの彼に連れてもらうことにした。呼ばれて魔法使いとともに来た時に、もの凄く笑顔だったのは忘れられない二度目の出会いだった。
「だから言ったでしょう。僕の味方になってくださいね」
「分かったからこの魔法を解いてくれないか?」
「いいですよ。それから良いこと教えてあげますよ」
笑いながら妻の願い事を教えてくれた。実は妻との間に子供がまだ出来てなかったが欲しかったらしい。子供が授かる簡単な方法を教えてくれた。そのお陰で三ヶ月後に授かった時は驚きと嬉しさで一杯だ。味方になると約束したが、案外良かったのかもしれないと思った。気になった事を聞いてみたのだが笑って否定された。
「王に成りたいのか?」
そう聞くと困った顔をされた。食えない笑顔で笑ってた顔が曇ったからだ。
「まさか、そんな地位など要らないよ。僕の欲しい物は一つだけだから面倒臭い物は邪魔だよ」
だが欲しい物の内容が、義理の母親だと聞いた時には驚いた。吃驚した顔をすると、宰相様と同じだね欲しい物は諦めないよ、と言う子供は怖かったが味方でいるうちは害はないだろう。