番外編私の変わった妻
私には変わった妻が居る。昔は、結婚を迫りベタベタ纏わり付き鬱陶しく思っていた。私のする事なす事に口を出し、浮気するとその相手に意地悪三昧だった。だが、ある日突全私のする事に文句を言わなくなった。
軍を動かし国境での戦闘が私に任された。屋敷に戻れない日が続く為、私が付き合った一人が妊娠したが産んで暫くして亡くなった。気に入っていた女性の子供なので、跡取りにする為連れて帰った。
「カリナいたのか」
「はい、旦那様何か御用ですか?」
すっかりなりを潜めた妻がいた。子供の事を頼むと、分かりました。と素直に答えた妻に驚いた。だが、時間のない私は頼むしかない、有無を言わさず子供の事と領地の事を頼み急いで仕事に戻った。王都に戻ったのは五年後だった。
「お帰りなさい兄さん」
帰ると弟が出迎えてくれた。今は、王都の屋敷の管理と貴族の付き合いを妻から任されていた。弟と妻は、昔は仲が良くなかったが今は仲良くしている。私が、帰って来たら全てが変わっていた。
「世話になったな、これからも頼む」
私は忙しい、このまま弟に管理してもらった方が私には助かる。自由にしたいからな。
「はい、兄さん。頑張ります」
素直な弟に任せて、私は自由にさせてもらおう。王都で、仕事をしながら懇意にしていた女性の元に行き、久し振りに楽しませてもらった。
「クスクス、奥様の所に行かなくてもよろしいのですか?」
美しく私好みの女性で、最近付き合いを始めた。妻が居ることは知ってるが余計な事を言わないので、気楽に付き合えるいい女でもある。
「構わない、妻は煩い女で興味がない」
何倍もましだと思える女性が居るのに、わざわざ領地に戻って顔を見る気も起きないな。そんな風な生活を続けていたら、あっと言う間に時が立った。息子が王都の学校に通う様になっていた。学校で人脈を伸ばし、優秀なので味方を増やして俺は隠居させられた。
「父上、貴方には隠居してもらいます。お母様は僕の妻にしますから邪魔しないでくださいね」
「何を言ってる!そんな事できるはず無いだろう!」
「陛下の許可も王妃様も認めてくれています。反対するのは父上だけですよ」
「あれは、私の妻だぞ。母親と結婚できるはずがない」
「もう僕の妻です。父上は別宅で新しい妻でも迎えてください」
いつの間にか、息子の妻になってる元妻を遠くで見た。私の側にいた時よりも、優しい笑顔で息子と話している。あんなに綺麗だったか?こっちを見た息子の目が冷たく刺さる。瞬間ゾクッと、悪寒がした。関わらない方が私の為だと今感じた。
どちらにしても、自由にできるのなら、昔と変わった元妻には近付かない方が良さそうだ。私も気ままで気楽な生活ができる。




