番外編怖い従兄弟のお兄ちゃん
私にはお母様の兄妹の子供の従兄弟がいます。言う事を聞かないとお仕置きされます。今日は、王子様のお嫁さんになる為に必要な事を教わりました。
「分かった?王子を褒めるんだよ」
お兄ちゃんが王子の扱い方を伝授してくれています。覚えないと大変な事になります。
「褒めるだけで良いの?」
そう聞いて首をかしげると、そのポーズは使えるな。といいもう少し角度を下げ可愛く見える様にしなさい。とチェックが入りました。お兄ちゃん!頭をぐきっとすると痛いです!
「単純だから、素敵とか凄いとか言えば良いよ」
笑いながら説明してくれました。唯、自分にはできないけどを付けて表現してね、と注意されました。
「それでいいのかな?」
「王子のプライドを大事にしてあげるんだよ。何時も弟と比べられていて可哀想だからね」
今度は真剣な表情で言ってきました。ちょっと怖いですその顔止めて!
「それって嫌だねお兄ちゃん、私もお姉ちゃんと比べられて嫌だもん!」
私も、何でも出来るお姉ちゃんと比べられているので気持ちは分かります。
「気持ちが分かるリリアンが、王子を助けてあげようね」
「うん!だからお仕置きは無しにしてね」
お仕置きは嫌なので、お願いしましたが失敗したら逃げられないみたいです。
「上手に王子を褒められたらなしだよ」
こうして、お嫁さんになる為色々教わってます。王子様は単純でも馬鹿ではない。唯、覚える速度が遅いだけで頭は悪くないので王様に成っても大丈夫だそうです。弟の第二王子は頭は良いが行動は馬鹿で、従兄弟が言うには王様になるのは向かない性格だと言ってました。
お兄ちゃんに関われば王子も、私のお姉ちゃんも、いいように動かされるようです。少し前お姉ちゃんが、王弟殿下のお嫁さんになる特訓をしていましたが、こっそり覗いてしまった私は驚きました。
「おほほほほーっ!これくらいがよろしくて」
お姉ちゃんの高笑いが聞こえます。こんなに笑い方、普通はしないのに変な感じ。よく見るとお姉ちゃんは、足で男の人の身体を踏んでいました。見るからに痛そうです。
「ぐっ!はっ……うっ」
「お嬢様、もう少し声を強めにして蔑む様に見てください」
「そうやって練習して、力加減を覚えてね」
「……お嬢様、た、大変…優秀で…ございます」
「殿下の為だよ、この病気は治らないからね助けてあげないと」
「分かってるわ……これが殿下に必要なら、誰にも言えなくて苦しいはずだわ」
「このマッサージは特殊だからね、人から理解して貰えないやり方だしね。マリリンの頑張りに殿下も喜んでくれるよ」
「お嬢様、私の夫も苦しんでましたが、私がマッサージをして病気を楽にしてあげているのです」
「私も妻が居なければ、苦しくて死んでいたかもしれません。出会えた私は幸運でした」
すごい会話です。病気の殿下の為に二人の先生に教わり、お姉ちゃんは毎日特訓を頑張ってます。でも、私には人を踏んだり叩いたりは無理です。変な病気になっている王弟殿下は可哀想ですね。お嫁さんになるのは大変なんだと改めて思いました。
「覗いていたねリリアン。悪い子はお仕置きするよ」
「ごめんなさい!内緒にするし誰にも言わないわ」
「ふふ、それは常識だよ。悪い覗き魔には王子の為のレッスンを増やさないといけないね」
「え!えーっ!これ以上は無理です!覚えきれないよ」
どうもお兄ちゃんを怒らせたみたいです。笑っているのに怖いなんてどうして?
「言っとくけど王子は、ああ見えても繊細だから扱いを間違えない様に頭に叩き込んでおいてね」
私もどうやら逃げられないみたいですが、お兄ちゃんの側より王子の方がましだとこの頃思うようになりました。誰か助けて下さい。




