前編
勢いで書いた物です。
痛みで目を覚ますと前世の記憶が流れこんできました。
今の自分の立場を思い出すと絶叫しそうでした。
まさか自分が意地悪伯爵夫人になってるなんて!
何してるの!私!
ああ、私旦那様に愛されてないのですね。
前は事故で死んだのですが、二十九歳主婦でした。
自分より、十歳年上の従兄弟にアタックしまくり嫁の座を確保しました。
母の教えに従い料理(胃袋で男を虜に)、掃除(綺麗な空間は心を和ませる。)
一般教養(さり気なく旦那様のサポート)、雑学(知らないと恥をかく)、死ぬまで始めの気持ちを忘れない(初恋は永遠に)!を掲げ幼稚園児からの思いを貫きました。
母の厳しい指導と従兄弟の母親協力の元、あんなに頑張ったのに〜。
結婚十一年で死ぬとは残念です。
旦那様も、子供達も幸せになってくれることを祈るだけです。
「奥様!大丈夫ですか!」
どうして体が痛いのかしら?変ね。
「ええ、痛いわ?ザイ教えてくれないかしら?」
執事のザイが心配そうに私の方を見ていました。
優秀な執事なのね。今まで蔑ろにしてたわ。
記憶が戻ると、今まで生きてきた自分の生活が損をした気分になるわ。
昔の私のバカと言いたくなるわね。
「奥様は、荷物の下敷きになったのです。治癒術者を呼んでおります。」
「よく覚えてないわ」
霞がかかった見たいに覚えてないのよ。仕様がないわ。
「もう少しお待ちください」
侍女長の、マーサが優しく言ってくれる。
私恵まれてるわね。旦那様以外は。
相手にしてもらえないから、旦那様の愛人の方々に意地悪してました。
今考えると虚しいだけだった。
やった事は取り消せないわ!
意地悪は卒業よ!これからは、真面目に生きるわ!
「喉が渇いたわ、お水貰えるかしら?」
「奥様、治癒術師がまいりました」
「入って貰ってちょうだい」
「奥様、治癒させて頂きます。よろしいですか?」
「ええ、お願いします」
この世界は、魔法が使えるから記憶が戻った時驚いたわ。
切ったり縫ったりの、医者がいないから不思議よね。
「治療は終わりましたが、安静になさってください」
「ありがとうございました」
「奥様、休まれた方がよろしいと思います」
記憶が混ざって、少し変だから頭を休ませないと駄目ね。
「そうね、そうするわ」
「お休みなさいませ、奥様」
眠れない!色々思い出すとやばいわね!
えーと、旦那様の愛人に意地悪していたら亡くなった。
地味に嫌な女だったのね。今生の私!
前世の努力家だった部分はどこに消えたの?
今の旦那様と……関係回復?無理ね。愛してないわ。
そもそも、今の旦那様に執着してたのは、ちょこっと似てたのよね。
記憶が戻った今は、劣化版の旦那様を好きだとは思えないもの。
前世の、旦那様を好きな気持ちが強すぎて未練ないわ。
でも、亡くなった原因の一つが、私の意地悪だったのは間違いないわ。
産後の調子が悪かった人に、色々して精神的に追い詰めたから…男の子が生まれたらしいけど。
旦那様どうするつもりかしら?
侍女達の噂を影で聞いてたら、屋敷に連れてくると言っていたわ。
本当かしら?どちらにしても旦那様の好きにしたらいいとおもうわ。