守るべき家族
今日も変な夢だった・・・
自分の妹そっくりなアイドルと恋人になって自分がマネージャーをやっている夢・・・
そんな事あるわけがない・・・
あんなのただの夢だ・・・
兄「水でも飲もうかな・・・」
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少女「お兄ちゃん!いい加減朝からフラフラしてるのやめてっていってるでしょ!」
妹は朝からご立腹だ。
兄「ん~あ~・・・・」
我が妹ながら見た目は中の上どころか上の上行くんじゃないだろうか。
兄「そのうちがんばるよ・・・」
夢の中では恋人同士だった事を思い出して恥ずかしくなる。
兄「「俺はシスコンじゃない!」」
やることも無い為ベッドに横になる。
いくら寝ても眠くなる・・・人間とは不思議だ・・・
ウトウトしだすと視界がぼやけてくる・・・
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そこは真っ白な部屋だった。
周りには何もない。
自分の体も半透明だ。
兄「「一体ここは・・・?」」
部屋に誰か入ってきた。
少女「あー、お腹一杯。」
少女「食べる必要がないって言っても食べたくなるよぉ♪」
妹?いや雰囲気も口調も違う。
何が起きている?
わけがわからないまま後ろに引っ張られる感覚。
白い部屋が消えていく。
少女も見えなくなっていく・・・
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目が覚めると朝だった。
いつもと変わりない朝。
妹に起こされて食卓へ。
[食事は家族みんなで]
それが家の家訓。
2人「いただきまーす」
もくもくと食事を済ませる。
なんだか妹の様子がおかしい。
調子が悪いのだろうか・・・
兄「お前今日は早く帰ってくるだろ?」
少女「え?なんで?」
兄「・・・・・なんとなく?」
兄「「だって今日はお前の誕生日だし・・・」」
心の中でそう言いながら計画を立てる。
少女「部活終わったらすぐ帰ってくるよ。」
兄「・・・そうか。」
少女「いってきまーす♪」
元気になった妹を見て小さく返す
兄「いってらっしゃい。」
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滅多に外に出ないが妹のプレゼントを買う為に出かける。
ついでにケーキとかも買わないと。
妹が喜びそうなアクセサリーを見つけ包んでもらう。
兄「喜んでくれるかな・・・」
慣れない買い物を済ませるともうお昼過ぎている。
急いで帰って準備をしないと・・・
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毎年、妹の誕生日に料理を作ってやるのが楽しみだった。
絶対わかっててわざと知らなかったフリをしてくれる妹が愛しかった。
兄「あれ?材料が足りない・・・」
兄「しょうがない・・・買ってくるか。」
二度手間になってしまったががっかりする妹は見たくない。
兄「こんなところだけ兄らしくしてもダメだろうなぁ」
材料を買うついでに妹が好きなBIGプリンがあったのでデザートにと2つ買った。
兄「「こりゃ・・・シスコンって言われても言い返せないかも・・・」」
そんな事を考えながら家に向かう。
坂の上に人影が見える。
あの後ろ姿、妹かも。
兄「「後ろからこっそり近寄って脅かすか。」」
ワクワクしながら近寄って行く。
近くの建築現場のトラックが妹の横を通り過ぎる。
兄「え?」
トラックの荷台に誰か乗っている?
金色の髪、巫女装束、頭には動物の耳、お尻には尻尾。
コスプレ?でもなんであんなところに?
ギ・・・・ベキン!!!!
???「・・・その力、・・・もらうぞ。♪」
少女「え?」
ガランガラン・・・・!!!
ぐしゃ!・・・・・
兄「!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!」
俺が声を出すよりも早く・・・妹は。
落ちてきた荷物の下敷きになった・・・
兄「なんで・・・」
???「おやおや、みられてしまったか。」
???「まぁもらうものもらったしこの[世界]にもう用はないのでな。」
???「次の[世界]で会おうぞ。♪」
そう言うと彼女は影に消えた・・・
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放心状態で警察の話を聞く。
原因はロープの老朽化で事故と判断された。
その夜、俺は妹に渡す予定だったプレゼントのネックレスをそっと妹の部屋に置いて。
家を出た・・・
最愛の守るべき家族を守れなかった罪悪感から逃げるように。