マネージャー
俺には妹がいた。
正確には[いるらしい]。
腹違いの外人とのハーフらしいが、会ったこともなかったし、会う気もなかった。
親とはもう縁を切っている。
正直会いたくもない。
今は隠しているけど駆け出しの制服アイドルの恋人だっている。
充実した毎日だ。
今日もレッスンがあるから彼女を迎えにいく
校門前で電話をかけるとすぐに出てくる。
少女「マネージャーさん、おねがいしまーす。♪」
車を走らせスタジオに届けたらスケジュールの確認。
最近ちゃんと寝れてないけどまだ大丈夫、彼女といっしょにメジャーデビューまで頑張るんだ。
彼女を家に送ると自宅に直行する。
マネージャー「・・ただいま~っと・・・」
マネージャー「ご飯とか作らなきゃ・・・」
フッと急に視界が真っ暗になり意識がなくなる。
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???「アイドルって難しいー」
真っ白な部屋で彼女そっくりな少女が叫ぶ。
少女「さてと~♪」
少女はクルリと振り返る。
少女「ようこそ、マネージャーさん♪」
マネージャー「・・・・・・」
声が出ない?
少女「何も言わなくていいよ♪どうせ声でないでしょ?」
少女「あなたの言いたいことはわかるよ~ここがどこなのか知りたいんでしょ?」
うなずくマネージャー。
少女「説明するためにここに呼んだんだもの、ちゃんと聞いててね。♪」
少女「ここは[神]である私のため、退屈を持て余す神々のための遊び道具[ガジェット]の部屋」
マネージャー「・!?・・・!!!!・・・!」
[神]だなんているはずがないそう思った。
少女「馬鹿な話だと思う?でもこれが真実。」
少女「[ガジェット]とは1つ1つが無限に広がる[世界]を閉じ込めたもの。」
少女「暇を持て余した[神]は[ガジェット]を一つ選んでその世界の人形になりきるのよ。」
少女「すると[ガジェット]に中の[世界]に他人と言う人形が生み出されそこで人生を体験することができる。」
少女「驚いた?つまり貴方達が生活する[ガジェット]の[世界]には、いわゆる人間は1人もいないの。」
少女「人形か[神]そのどちらかしかいない。」
少女「勿論、あなたも例外ではないのですよ。」
マネージャー「・・・!・・・・・・・!!?」
人の命を何だと思っているんだ[神]とか言う奴らは!
そんな怒りが沸き上がる。
少女「え?[神]が[ガジェット]に飽きたらどうなるかって?」
少女「そんなの決まっていますよ。」
少女「飽きれば捨てるだけですから。」
少女はニッコリとほほ笑む。
少女「[神]が入っていない[ガジェット]は中の時が永遠に止まるんですよ。」
少女「時間が止まれば思考も止まる」
少女「だから人形の誰もが気がつかない、自分が与えられた役者を演じていることに!」
少女「人形は私たち[神]の暇つぶしの道具なんですよ♪」
少女「どうやら思い出せないみたいだし残念。」
少女「それじゃそろそろ、アイドルの仕事やってみましょうか。」
少女「どうせ起きたら夢で忘れてしまうのだろうから。」
少女「1つ、質問に答えてあげますね。」
少女「何がいいですか?」
聞きたいこと、今の話で疑問になったこと・・・
マネージャー「・・、・・・・・・・、・・・、・・・・・・・・?」
少女「?そんなことを知ってどうするつもりです?」
少女「まぁ約束です答えてあげますよ~♪」
少女「答・は簡・なん・す。」
少女の声が遠ざかって行く・・・
少女「[・]が・全に・きた・。人・は、」
少女「誰・・気が・か・、死・。」
そして眠りの中に落ちていく感覚だけがあった・・・・
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携帯の鳴る音で目が覚めると彼女の声が聞こえる
少女の声「マネージャーさん?車来てないけど寝坊ですか?」
遅刻ギリギリ!
すぐに行くと返事をし急いで着替える。
うっすらと覚えている昨夜の夢を思い出しながら・・・
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車を運転しながら思い出す。
マネージャー「「昨日の夢はなんだったんだろう・・・」」
彼女と話をしたりふざけたり・・・
少女「「悩んだって運命は変わらないのにさ・・・」」
じゃれてくる彼女が何かを言ったような・・・・
マネージャー「何か言った?」
少女「何もいってないよー何もいってないのですー♪」
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ステージは順調だった。
1曲2曲、と続ける毎に会場の声援が大きくなっていく。
これならメジャーデビューだって夢じゃ・・・
ステージの端から1人の男が走ってくる。
男A「君の事が大好きなんだー一緒になろう!!あの世で一緒になろう!!」
マネージャー「警備は何を!!まずい!!」
少女「え?」
全力で走るも男の持つ刃物は・・・
無慈悲にも、彼女の腹部に沈んで行った・・・
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すぐに病院に連絡を入れ救急車で搬送する。
少女「結構・・・楽しかったね・・・・」
マネージャー「大丈夫だって、手術すれば・・・きっと・・・」
少女「ううん・・・もういいよ・・・・」
彼女がどんどん冷たくなっていく・・・・
少女「だって・・・もう[ガジェット]終わりだもん。」
え?
[ガジェット]?
なんで彼女がその単語を?
少女「メジャーデビューまでいけなかったか―」
もう死ぬというのに彼女は明るくしゃべっている。
マネージャー「なんで?どうして?何がおきて?」
少女「ほ~ら、マネージャーは今、人形でしょ?悲しそうに演技して最後を飾ってよ♪」
なに?
人形?
演技?
最後って?
いろんな謎が次々出てくる中彼女は言い放った。
少女「あ~あ、ほら、もたもたしてるから時間が来ちゃったよ。」
少女「ありがとマネージャーさん♪結構楽しめたよ」
少女「じゃぁ次の[ガジェット]の世界でも会えたら仲よくしてね♪」
ピー・・・・・
機械は正確に彼女が息絶えたことを示した・・・
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病院につき救急車から降りると放心状態だった。
マネージャー「・・・いったい、これからどうしたら・・・」
???「ならば、我の為に死ね。♪」
病院の屋上から声が聞こえた。
きれいな金色の髪が夕焼け色に染まっている。
マネージャーは心から感じた、美しい。と・・・
???「ちょうど逢う魔が時、貴様の力ももらうぞ。♪」
マネージャー「え?」
何が?っと思う間もなく体が影に沈み、意識が途絶えた。
???「これでまた一つ。」
彼女がニヤリと笑うと飛び降り影に消えていった。・・・