作られた死
注・「世界の交差点」のシリーズは投稿作品「神様の遊び」を読んでからをお勧めします
少女はテニス部に所属していた。
見た目も人形の様でかわいらしく、
成績も優秀、スポーツ万能、
完璧だった。
ただ一つ、兄がいることを徹底して周りに隠していた。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少女の家
少女「お兄ちゃん!いい加減朝からフラフラしてるのやめてっていってるでしょ!」
兄「ん~あ~・・・・」
いい年した家族が働いていないなんて恥ずかしくってしょうがなかった。
少女は兄を嫌っていた。
兄「そのうちがんばるよ・・・」
少女は確信した。
この返事は絶対守らない、と。
部屋に戻り友達から借りたCDを聞きながら簡単な宿題を済ませていく。
・・・・・・・クラッ・・・
突然の眩暈。
こんなことは初めてだった。
頭がフラフラする・・・
耐え難い頭痛がする・・・
頭がどうにかなってしまいそうだった。
やがてそれは治まる、何事もなかったかのようにCDプレイヤーから音楽が流れている。
少女「疲れてるのかなぁ・・・」
宿題を早々に終わらせ少女は眠りにつく、それが最後の夜だとも知らずに・・・
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少女の家を遠巻きに見つめる影が一つ。
髪は月の光を反射して金色に輝いている、
服はいわゆる巫女装束、
目は獲物を見据えるかのような鋭い目
だが人ではない、
そう特徴付けているのがお尻の少し上から伸びる髪と同じく金色に輝く尻尾、
???「・・・みつけた・・・・」
その目が妖しく光り、突風が吹く。
風が収まるとそこにもう姿はなかった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~
朝は忙しい。
兄を起こして朝食を食べさせる。
[食事は家族みんなで]
それが家の家訓だ。
2人「いただきまーす」
もくもくと食事を済ませる。
昨夜、頭痛がしてから調子が悪いようだ。
兄「お前今日は早く帰ってくるだろ?」
少女「え?なんで?」
兄「・・・・・なんとなく?」
兄は笑っている・・・。
少女「部活終わったらすぐ帰ってくるよ。」
兄「・・・そうか。」
少女は知っている兄の質問の答えを。
毎年、毎年、兄が絶対守ってくれる約束事。
少女「「今日は私の誕生日だもん♪」」
ワクワクしながら家を出る。
少女「いってきまーす♪」
少女は上機嫌に家を出た。
夜が楽しみでしょうがない。
ふと坂道の一番上に誰か立っているのが見えた。
金色の髪に巫女装束。
頭に・・・動物の耳?
???「み~つけた・・・」
そんな声が聞こえたかと思うと瞬きの間に消えてしまった。
少女「・・・・・・」
学校は何事もなく進んでいく。
下駄箱にラブレターが・・・・なんて展開もなく。
楽しい時間はあっという間に過ぎていった。
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
少女達「今日も部活大変だったね~」
中学生くらいの少女達が部活が終わり帰路についている。
背中にはテニス部だからだろうラケットのケースが見える。
少女「じゃぁわたしこっちだから、また明日ねー」
少女が友達と別れ、トボトボと歩いていく。
少女「明日は借りてたCD返さなきゃなぁ。」
ゆっくりと明日の予定や今日中にやらなければいけない宿題の事なんかを考えながら・・・・
正面からトラックが走ってくる・・・
近くの工事現場のかな、こんな細い道通らなくてもいいと思うのに。
そういえば・・・朝この辺に誰か立ってたような・・・。
トラックが横を通り過ぎようとしていた。
ギ・・・・ベキン!!!!
???「・・・その力、・・・もらうぞ。♪」
ロープや鎖がきれて荷物が落ちてくる音に混じってそんな声が聞こえた気がした・・・
少女「え?」
ガランガラン・・・・!!!
ぐしゃ!・・・・・
少女「「ええと・・・・いったい何が・・・?」」
少女「「確か・・・トラックの荷台から・・・物が落ちてきて・・・」」
少女「「あぁ・・・そっか・・・潰されちゃったんだ・・・私・・・」」
少女「「あぁ・・・私・・・しんじゃうんだ・・・・こんなところで・・・・」」
少女「「まだ・・・なにもやってないのになぁ・・・・・・・」」
少女「「・・・・・・・・・・」」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
???「逢う魔が時と言ってな。」
???「この世のものじゃない我らが干渉するには準備がいるんじゃよ・・・」
???「確かに力いただいたぞ、[神]さまとやら。♪」
そう言うとくるりと回り陽炎のように影に消え去った・・・