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第3話 「ボクと組もう」

午後。気まずさマックスの中、訓練場での実践授業が始まった。


標高の高いロスミネラはまだ肌寒い。寒空の下、教師が声を張り上げる。


「よーし、お前たち。適当な奴と組んでくれ」


はい、出ました。ボッチを断罪する悪魔の言葉。


だが……僕には心が通じ合った(?)人が居る。隣の席、隣の部屋、そして僕の芸術のモデル。運命で惹かれあっているヴェナという最高のパートナーが!


僕は期待に胸を膨らませて、彼女に声をかけようと一歩踏み出した。


「ボクと組もう」


ヴェナの透き通るような声が響いた。

だが、彼女の視線は、隣にいた淡い紫髪の少女、キノルに向けられている。


「うん」


「……え?」


天才同士のペア成立。


僕の妄想の絆は、脆くもあっさりと崩れ去った。


「ん……?あぁすまない、アストンが余ったか。じゃあ……おい、メイルザー、ルズガーナ。お前たちのチームに入れてやれ」


(うそぉ!!?)


「余りモノは教師と組む」定石の予想の斜め下をいく、最低最悪な選択肢、「いじめっ子チームに入れられる」。


メイルザーは露骨に顔を歪め、ルズガーナは「視界に入らないでくれる?」と冷たい視線を投げてくる。


こうして、僕が彼らのサンドバッグ(魔法の的)になるという、非常に気まずい午後の授業が始まった。


午後からの授業。


それは、自分の特性に合った魔術を唱え、相手がそれを自分の魔術で防ぐというものだ。


「いいか、これは第44代首席卒業生、『鉄花てっかのダイアナ』が開発した防御壁魔術だ」


教師が胸を張って説明する。


「防御魔術とは、適応属性の魔力を帯びた防御壁を全面に展開する魔法で、それまで魔術師の弱点だった防御力の低さを克服した画期的な魔術だ。『ダイアナ前、ダイアナ後』と語られるほど、彼女は歴史を変えた。心してかかれよ!」


偉大なダイアナ様には申し訳ないが、僕には防御壁など唱えられるはずも無い。


僕はブツブツと発動しない呪文を唱え続けながら、メイルザーとルズガーナの魔術の的となり続けている。


熱かったり寒かったり、散々な目に遭いながら時間が過ぎるのを待っていた、その時。

少し離れた場所から、ゴォォォ!!という轟音が響き渡った。


「なんだ!?」


見ると、訓練場の一角で、凄まじい業火が燃え上がっていた。


キノルとヴェナだ。


キノルの放つ業火を、ヴェナがそれを上回る風凪魔法で全て上空へといなしている。


「お前達!!防御魔法の訓練だぞ!!実戦演習じゃない!」


教師が叫ぶが、二人の耳には届いていない。

キノルは無表情のまま、ヴェナに向けてではなく、お互いが向かい合う地面へと炎を放ち始めた。


「何しているんだ?手元が狂った?」


周りの生徒達は首を傾げるが、僕にはなんとなく分かった。彼女たちは実験しているんだ。魔法の干渉と、その限界を。


キノルの炎が地面を焼き、上昇気流を生む。


ヴェナが放った真空の刃は、その気流に乱され、軌道を逸らして上空へと消えていく。


「流石だ……上昇気流で風の軌道をズラしたのか」


教師まで感心してどうする。

二人の間で魔力が飽和し、スパークする。


次の瞬間、上空へと逸れた魔法が、運悪く雲の上を飛んでいた「何か」を撃ち落としてしまった。


バサッ!バサッ!


ギュュュュアァァァ!!


巨大な影が落ちてくる。


それは、この領の守り神ともされる巨大怪鳥、ガルーダだった。


片翼を焦がし、激怒したガルーダが、訓練場に舞い降りて暴れまわる。


「ぎゃあぁぁぁぁ!!」


「ガルーダだぁっ!!逃げろぉ!!」


阿鼻叫喚のパニック。


そんな中、原因を作ったキノルとヴェナは、顔を見合わせると、サッと踵を返して学舎の方へ逃げていったのを、僕は見逃さなかった。

結局、逃げ遅れた僕がガルーダの囮になり、散々な目に遭ったことは言うまでもない。

最後までお読み頂き、ありがとうございました。読者様の貴重なお時間をいただき、感謝感激でございます。(よろしければ★やリアクションをいただけますと、執筆の励みになります!!)

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