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inevitability  作者: fairy
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ep4 さくら

スクエアタワーのショッピングエリアで服を買うことになった

ここにはゆきのの家のお店もある



「お嬢様、いらっしゃいませ」


店員が深々とお辞儀をした



「急にごめんなさいね、3人分借りてよろしいかしら?」

「もちろんです」

「ありがとう」




「さくら、選んでやろうか?」

「は?いいわよ」


渉は視線を感じた


「そう?じゃあ…宮島のとこでもみてくるかな、アハハ」

「変なの」

「こっちの色のほうが似合うんじゃない?」


神崎君が近付いてきた


「え?そうかな…」

「ちょっと着てみよう?」



私の手を掴んで神崎君はフィッティングルームに連れて行く

私はドキドキして無言になってしまった




「どう?」

「あっ……うん」

「開けていい?」

「ちょっと待って…まだチャックが」


その時カーテンが開いた


「きゃっ」

「後ろ向いて」

「えっ…」


神崎君が背中のチャックを閉めてくれた

神崎君は普通だった

私ばかりがドキドキして顔が熱くなっていた



「垣里、やっぱ似合うね」

「そう?ありがとう」


神崎君が耳元に近付いて囁いた


「垣里…可愛い」

「えっ…神崎君?」




「おいっお前何やってんだよ!」


あおいがやってきた


「似合うねって話してただけだよ」

「どうだか…さくら?大丈夫か?」

「えっ…うん、大丈夫よ」


いつもと違う笑顔を見せた神崎君に少し見惚れてしまった



「あおい、もう着替えたの?」

「似合うだろっ」

「うん、私は?」

「えっ…可愛いよ」

「ありがと、ゆきのも着替え終わったんだ」



神崎君の視線に気付きながらもその場を離れようとした


「垣里」

「え?」

「靴選んどいたんだ…履いて」

「神崎君ありがとう」


また顔が赤くなってるのがわかった

あおいは気に食わない感じでそれをみていた


『神崎君はゆきのが好きなんだよね…?』


私は神崎君の行動で頭はぐちゃぐちゃだった



「さくら、似合いますわ」

「名前と同じ桜色だな」


神崎君が選んでくれた桜色のワンピース…ドキッとした



「そろそろ時間だから行こうか」

「そうね」



いつもなら渉が隣にいてくれるのに今日に限って神崎君がいる

あおいがいるからまだ普通でいられるけど


「もしかして、映画?」

「さっき試写会のポスター貼ってあったもんね」

「あったり~」


前にいた渉が振り向いて言った


「俺が大好きな監督がくるんだよ」

「面白くなかったら寝ますわよ」

「そんなこと言うなって」


すぐに渉は前を向いてしまった



映画館に入る

神崎君が隣の席に座った


「おいっさくらの隣は俺が座る!」

「そんな決まりあるの?」

「…ないけど」

「あおい、始まるから静かにしなさい」

「さくらぁ」

「…ごめんね、神崎君」

「俺こそ隣座ってよかったかな?」


いつもの優しい神崎君だったことに少し安心した


コソ「弟君には悪いんだけど、前の人でかくて見づらそうなんだよね」

「くすっ神崎君ったら」




『でも…そんな笑顔を向けられたら私の気持ちは膨れ上がるばかりだよ』



神崎君が隣にいると思うと体温が上がっていった





帰り道

「あの席めっちゃ見づらかったぁ」



私は家の者を呼んで自分家の車であおいと帰った

最後に話した神崎君の言葉が気になっていた





「楽しかったね、映画」

「うん」

「渉も異常に興奮してたし」

「……神崎君」

「どうしたの?」

「……どうしてこの色選んだの?」

「…服?垣里に似合うと思ったからだよ、それに」

「それに?」

「さくら、好きなんだ」

「え?」

「桜の木、小さい時にちょっとした思い出があるんだ」




神崎君は切なくそして嬉しそうに遠くを見つめて話した


思い出かぁ…

私も毎日見る夢のことを思い出してしまった

男の子用のキャップをかぶった可愛い女の子

それから一度も会ったことのない





不思議な思い出


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