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inevitability  作者: fairy
23/23

another ep 待ってる

渉×ゆきのの幼少時代のお話

先日更新したのを本編にいれただけですので見た方はご注意下さい(_ _*)_ _*)

宮島ゆきの

大手アパレル会社 『MIYA』の社長令嬢

黒く長い髪に白い肌が映え、くりっと丸い瞳で可愛げのある顔立ちに似合わず性格は冷たく色気がある

頭も良く、学年1・2を争うほどだ


彼女はめったに笑わない

1人の親友垣里さくらの前以外は・・・・

2人は環境も一緒で小さいころから側にいて2人の間には誰にも入れない空間がたまにある


それを破ったのが神崎悠人

さくらの憧れの人であり、彼女のライバルでもある

悠人は表向きは見た目もかっこよく頭も運動神経も性格もいい女子の王子的存在だった

だが、本当は学校受けがいいようにしているだけで興味のない女の子からのプレゼントは捨てるような最低な男だった

その現場を彼女がみてしまったことからさくら達の物語は始まった

でもその前からさくら達の物語は始まっていた

そして俺たちもまた・・・






白河渉 小学1年

父親は地域でも名門校、瀬田川高等学校と教育大学の学長を務めている

母親もまた教師だったが、僕達の教育に専念するため辞めた

そんな家庭に生まれたためか、僕は賢くならなくてはならなかった

それが当たり前だと思っていたんだ

妹もいたし、しっかりしないといけなかった

彼女に出会うまでは・・・



僕は月・水・金・土曜と習い事をしていた

月曜はピアノ、水・土曜は塾、金曜は英会話

彼女は水・土曜の週2日塾で出会うようになっていた



「え~、今日からこのクラスに入った宮島ゆきのさんです。皆仲良くね~」


そう、塾の先生は言うが皆仲良くは無い

皆もまた、ライバルが増えたと思ってるに違いなかった


「じゃぁ宮島さん、席は自由だから好きなところに座って」

「・・・・」


無言で彼女は空いていた僕の後ろの席に座った


「宮島さん、僕白河渉、よろしくね~」

「・・・・」


彼女の第一印象は人形みたい

とにかくしゃべらないし、喜怒哀楽がまったくない

せっかく振りまいた愛想は一気に彼女をすり抜けていった




「渉さん、今日塾に新しい子が入ったそうね?」

「はい」

「でも渉さんは気にせず自分のペースでやるのよ」

「はい」


お母様は厳しかったが、元は教師だったためか無理はさせないでくれた

一番じゃなくてもいいと言われてるが僕は自然と塾でも学校でも一番だった

それが嬉しかったのに、彼女はいとも簡単に僕を追い越した



「それではこの前のテスト返します」



「白河君」

「はい」

「98点よさすがね、初歩的なミスが一つあったけどそれはすぐに直せるわ」

「気をつけます」


「さすが白河君ね」

「すげぇ~」


「宮島さん」

「・・・はい」

「パーフェクトよ」


クラスがざわめきだした

僕も一瞬固まった

今まで、誰にも負けなかった僕が初めて負けた時だった



「すごいねぇ~、宮島さん」

「・・・」

「僕なんてこんあ初歩的なミスするなんてバカだよね」

「・・・別に」

「ん?」

「私はただ勉強が好きなだけですから・・・」

「そう・・なんだ」


初めて彼女の言葉を聞いた

それから少しずつ彼女と話すようになった



「ねぇねぇ宮島さん、この問題ってこれ以外に簡単に解けるやり方ないかなぁ?」

「それですと・・・」


もちろん話す内容は勉強のことだけ

だってそれ以外共通の話題がないから

学校も違うし、送り迎えも車で来てる

どんだけお嬢様だよって突っ込みたくなるけど

僕もそれなりのぼっちゃんだし?・・・そんなことは置いといて


でも彼女との別れは突然だった

塾の実力テストの結果が発表された日


「うわぁ~宮島さんまた一番だね!すっげぇ」

「・・・」

「僕も今回張り切ったんだけど満点には敵わないな」

「・・・白河君」

「次は頑張んないとなぁ~」

「白河君・・・」

「何?」

「あの・・・今日家まで送ります」

「え?いいの?」

「はい・・・」


彼女は静かに帰り支度をする

僕もあわてて準備する

車に乗せてもらうまで彼女は無言だった

無言なのはいつものことなんだけどなんだか僕まで話せないでいた



「白河君の家って瀬田川高校の学長さんのお宅でいいのよね?」

「え?あ・・あぁ」

「牧村、お願いします」

「かしこまりました」



顔に似合わず命令口調で運転手にさえ敬語を使う

どんだけのお嬢様なのか・・・

僕は隣に見あうのか・・・

そんな風に考えていると話しかけられてることに気づかなかった




「・・・ちょ・・・聞いてますの?」

「え?」

「だから、私今日で最後なんですの」

「・・・・何が?」

「・・・・塾」

「え?」


頭が真っ白になり、彼女の言葉が響く

仲良くなったばかりなのにすごく胸が苦しくて声が出なくなった


「私、勉強が大好きなの・・・ちなみに負けず嫌いらしいわ」


何を言い出すんだ?


「常に一番でありたいの・・・そのためか今までいろんな塾いったけどずっと一番」


だから?


「張り合い無いのよね~だからお母様と約束したの」


何を?


「3回・・・3回連続塾のテスト一番だったらもっとレベルが高いとこ行くって」


彼女はそう言って僕を見つめる

夕暮れの日差しで彼女の顔はよく見えなかった

でも彼女のことだからいつものように凛としているんだろう

そう思うようにした



「・・・・そっか・・寂しくなるね」



やっと出てきた言葉

彼女は少しうつむく



「せっかく友達になれたと思ったのになぁ」

「・・・友達?」

「うん!あれ?違うの?僕だけ勘違い?」

「・・・・・・・ううん、友達」


彼女は笑った

初めて見た笑顔だった

それも夕焼けのせいでちゃんと見ることはできなかったけど確かに彼女は笑ったんだ






そして彼女と別れて数年が経った

高校1年の時、お嬢様だけど気さくな垣里さくらと仲良くなった

そしていつも一緒にいる彼女を見つけた

噂で彼女は人気ブランド「MIYA」の令嬢だと知った

・・・納得

だけど話すきかっけもなくてそのまま話せないでいた

彼女は俺を忘れてしまったんだろうか?


高校2年、彼女と同じクラスになった

さくらと仲良くしているうちに自然と話せるようになった

だけどいつからだろうか

悠人と二人でいることが多くなった

それをさくらは切なそうに見ている



「最近あの二人仲良いよな」

「え?」


ついさくらに話しかけてしまった

そしてその日の放課後部活に行く途中彼女を見かけた


「・・・悠人のこと好きなの?」


我ながら直球に聞いてしまった

だけど彼女はいつも通りでそんなわけないとはっきり言った

このとき彼女が悠人の本性を知ったのだと理解した

でももうひとつ変わらないものがあった

夕暮れをみる彼女

そして


「親友の好きな人の悪口は言いたくないでしょう?」



あのときの笑顔だった

その一瞬で俺の中のもやもやとした気持ちは一掃された


それから彼女にどんどんはまっていった

バレンタイン当日は彼女を泣かせてしまったけど

彼女の本当の顔が見られたからよかったんだ


「本当におせっかいでムードメーカーで・・・だけどしっかりするときはちゃんとする」

「え?」

「昔からぜんぜん変わってませんわ」

「昔って・・・覚えてるの?」

「当たり前ですわ、さくら達以外で友達って言われたの・・・あなただけですから」



泣き顔は可愛いのにお嬢様口調でそっけない

だけどそんなとこもまた可愛いと思ってしまうのは俺だけかな

おもわずぎゅっと抱きしめてしまった


「ちょっと!何するんですの!?」


そういいながらも俺の制服をしっかりと掴んでる

いわゆるツンデレ?



「俺・・・宮島のこと好き」

「・・・・」

「嫌い?」

「・・・・いいえ」

「なら付き合おう?」

「嫌ですわ」


即効振られた


でも彼女は俺の嫌なとこを口々に言いつつも顔は赤らんでる

まったく・・・

俺は君と別れたあの日から君を待っていたというのに

君はいつの間にか人形ではなくなっていた


「・・・ちょ・・聞いてますの?」

「ん?」

「だから、軽いですし色んな女の子と毎日デートしてますし・・・それからそれから」

「直したら付き合ってくれる?」

「~~~~知りませんっ」



君が素直になるまでいつまでだって俺は告白をし続けるよ

俺のお姫様だから


END





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