ep1 王子
「はい、終了!テスト回収」
「はぁ…やっと終わったぁ」
「さくら、お疲れ様
大丈夫?」
「大丈夫、記憶力はいいから」
「でも、1日だけだけどね」
「ゆきの、それは言わないで」
「クスクス
あっ私このあと先生に呼ばれてるんだけど」
「じゃあ、あおいと待ってるよ」
「ううん、先帰っていいわよ
家行く時連絡するから」
「じゃあ多喜さん(専用シェフ)にランチ作ってもらうから真っ直ぐきてね」
「わかったわ、楽しみにしてるわ」
ゆきのは去って私は帰る準備して廊下に出る
「さくら」
「渉、どうしたの?」
「明日、母さんの誕生日なんだけど」
「あぁ、わかった!じゃあいつもの場所に予約入れておくね」
「助かったぁ~忘れたら父さんにキレられるからさぁ」
「はいはい、人数とかも同じでいいの?」
「うん、お願いしまぁす」
「あっ渉ぅ~」
「よう、あおい」
渉はお母さんの料亭の常連さん
あおいとも仲がいい
「渉」
「げっ神崎悠人」
「あおい、呼び捨てにしないの」
「垣里、いいよ」
さわやかな笑顔であおいの頭をなでなでする
「さわんなよ」
コソ「お前も勝手に呼び捨てにするんじゃあねぇよ」
「えっ」
「ねぇ、渉、あおい達っていつからあんな仲いいの?」
「なんか前部活見学にきた時、たまたま練習試合で悠人が助っ人に来てからあんな感じ」
「へぇ~あの子バスケ見に行ったんだ」
「うん、最初俺に食ってかかってきたんだけど」
「えっあおいなんかまた変なこと言ってなかった?」
「あぁまぁ…さくらのことをちょっとな」
「そうなんだ、ごめん…でも何で渉じゃなくて神崎君?」
「あおいのことだから気に入らない答えでも悠人から返ってきたんじゃない?」
「ふ~ん」
「おいっさくら!今こいつ…」
「何?」
「聞いてなかったのかよ!」
「それより私おなか空いた、早く帰ろっあおい」
「ちょっ…さくら」
「じゃあ明日ね、渉、神崎君」
「「バイバイ」」
「さくら~待ってってば~」
「垣里の弟ってすごいシスコンだな」
「さくらの周りにいる男は気に入らないみたいだょ」
「何で渉はいいわけ?」
「俺は白だって気付いたんじゃない?」
「へぇ~」
「で、何か用事じゃなかった?」
「いや、呼んだだけ」
「あのっ悠人先輩」
「ん?1年生?」
「じゃあ俺先帰るな」
「悪いな、渉」
「ごゆっくり」
「何?」
「あのっ先週助けて頂いた田中優花です…覚えてますか?」
「うん…もちろん」
『覚えてないけど』
「その時借りたハンカチ…洗濯したので」
「わざわざ良かったのに」
「いえっ……で、お礼にクッキー作ったので食べて下さい」
「ありがとう」
『げっ神崎悠人だ、また告白でもされてるのかしら』
先生のとこから戻ったゆきのが見ていた
「あっ…それじゃ…あの……また話しかけてもいいですか?」
「もちろん、優花ちゃんだね」
「ありがとうございます!それじゃ…さようなら」
「うん、バイバイ」
ぱたぱたと女の子が去って行ったと同時に神崎悠人は教室に入った
『ようやく終わったわ~教室入れなかったらどうしようかと思いましたわ』
ガサッ
教室に入ろうとしたゆきのは、神崎悠人の行動に驚いた
「ちょっと!何やってますの」
神崎悠人は慌てるわけでもなく、静かにゆきのを見た
「何?」
「それ、今の子がくれた物でしょう?」
「だから?」
「だからって何?」
「関係ないよ、よく知らない子にもらっても嬉しくないし」
「それがあなたの本音なんですね」
神崎悠人は冷たい目でゆきのに近付いてきた
ゆきのは少し怖くなって後退りしたが、すぐに壁にぶつかってしまった
「やっぱり偽者の王子でしたのね」
「やっぱりってひどいな」
神崎悠人はいつものさわやかな笑顔でなく、悪魔のように冷たく笑った
「宮島
誰にも言うなよ
例え垣里1人にでも言ったらどうなるかわからないよ」
ゆきのはゾクッとして、固まってしまった
そこに話し声が近付いてきた
神崎悠人はゆきのから離れた
「あっ王子~帰るの?」
「あぁ、2人は?」
ゆきのはその場を離れ、かばんを持って帰ろうとした
「じゃあね、宮島」
いつものさわやかな笑顔で神崎悠人は笑っていた