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inevitability  作者: fairy
19/23

ep18 春

高校生になってあなたに出会った

最初は皆のアイドルで話すこともないと思っていた人

1年の冬、初めて話して気になり始めた

2年になり、同じクラスで少し舞い上がったこともあった

友達の渉を通してあなたを知って益々気になった

でもこれが恋だと自覚したのはあなたの本当の笑顔を見たとき

私の心はあなた一色




そして

あなたと付き合うようになった

学校のアイドルと付き合えるなんて思っても見なかった

でもすごく大事にしてくれてるのは感じる

だからあなたの事を信じることができた







春になって3年生

悠人とはクラスが離れてしまった

私とゆきの、渉は同じクラスで悠人だけが二つ先のクラスになってしまった

受験があるし、どっちにしろ遊ぶことはできないと思っていたけど





「さくら、ちょっと来なさい」

「お父様、おかえりなさい」



私は父の部屋に呼ばれた



「お前、大学はどこに行くんだ?」

「え?栄林大学のつもりだけど」

「そうか…お前大学行きながら、母さんのとこ手伝うだろう?」

「もちろん、そのつもりだけど?」

「ならいいんだ」

「…失礼しまぁす」



「あっさくら」

「なぁに?」

「今恋人はいるのか?」

「…いるけど?」

「学長の息子さんか?」

「渉?違うわよ」

「そうか…じゃあ卒業したら別れなさい」



「……なにそれ?」

「どうせ大した家柄の人じゃないんだろう?」

「そりゃ普通の人だけど…」

「大学生になったら恋はさせない」

「そんな急に……」

「来月にでもお見合いをしようと思う」

「聞いてないわよ!」

「言ってないからな」

「やだ」

「さくら」

「絶対やだ」





私はそのまま部屋を出た

突然の父の話

もちろん…悠人と結婚できるとは思ってないけど

あと1年以内で別れるなんて考えられない









「しょうがないんじゃないかしら」

「ゆきのまで」

「だってわかっていたことでしょう?」

「そうだけど…こんなすぐだなんて」

「まぁ付き合いだしたばかりですもの」

「どうしたらいいんだろう」

「まだ話してないの?神崎君に」

「もちろん……言えないよ」





「だからやめろって言っただろ?」

「またあおいどこからともなく……」

「元々そういう理由じゃないでしょう?あおい君」

「そうだけど…結果的に同じだろっ」

「こんなに早いとは思わなかったなぁ」




もちろん、いつかは別れなきゃいけないのはわかっていた

だけど早すぎる…お父様がもうそんなこと考えてるなんて思わなかった





「…くら……さくら?」

「え?」

「どうした?勉強のし過ぎ?」



帰り道

3年生になってから私は悠人と一緒に帰るようになった



「大丈夫」

「そう?」




考え事をしていた私を気遣ってくれる悠人

いつも変わりなく笑顔で接してくれる




「悠人は藤徳医大だよね」

「うん、医者になりたいからね」

「かっこいいよなぁ~大変だろうけど」

「まぁね…さくらも継ぐんでしょう?」

「大学行きながらお母様の店で働くの」

「着物だよな…見たいかも」

「あははっ似合わないよ?」

「似合うよ」

「それなら悠人の白衣姿のほうがやばいって」

「なんで?」

「絶対悠人目当てで病人増えるって」

「ははっそれは困るな」




あなたはどう思うかな

もうすぐ私たち一緒にいられなくなるんだよ


あなた以外の人と一緒にならなくてはならない私を恨むかな






「どっか遠くに行きたいなぁ」

「え?」

「なぁんにも考えなくていいとこないかなぁ」

「そんなに勉強大変?」

「ううん……ずっと一緒にいられたらいいのにね」

「さくら」

「やばい……五月病かも」




へらっと笑う事しかできなかった

無言となった私達の横に一台の車が止まった


「さくら」

「お父様!?」

「今日は久々に早く終わったんだ…そちらがこの前話していた人かい?」

「え?……うん」

「あっこんにちは、神崎悠人です」

「こんにちは、さくら良かったらウチに寄ってもらいなさい」

「え?大丈夫?」

「はい、塾までまだ時間ありますから」

「そうか…先に家で待ってるよ」




父は先に車で行ってしまった

悠人を呼んで何を話す気なんだろう




「俺の話したの?」

「うん……聞かれたから」

「そっか、大丈夫かな…俺」

「もしかしたら失礼なこと言うかもしれないけど…」

「ん?別にいいよ」




父の誘いにより急遽悠人はウチに来ることになった




「おかえり~♪さくら」

「ただいま」

「お邪魔します」

「って何で悠人までいんだよ!」

「あおい、お客様の前で何騒いでいる」

「あっ…お父様が?」

「さくら、リビングにお通しして」

「はい…悠人こっち」

「失礼します」



リビングのソファに座る

メイドがお茶を運んでくる

あおいは出窓に座り、その様子をみていた





「よく来てくれたね…神崎君だったか」

「はい、初めまして」

「さくらとはいつから?」

「冬休みからです」

「ほぉ…まだそんな経ってないのか」

「はい」

「じゃあ話は早いな」

「え?」

「お父様」

「ウチのさくらには本気にならなくていいからな」

「何言ってんの?」

「さくらは垣里グループにとって大事な存在だ、普通の人間と一緒になられては困るんだよ」

「やめてよ」

「さくらは静かにしなさい…神崎君わかるよね?」

「ごめん悠人…行こ」



悠人の腕を掴み、私は立ち上がらせた



「僕は本気です」

「悠人」



「申し訳ありませんが、僕にはさくらさんしかいません」

「………」

「もし何か地位がなければならないのなら僕は自分で築きあげます」

「………」

「……すいません、塾がありますので失礼します」




一礼して悠人は家を出て行った

私は追いかけた

嬉しかった

あんなにはっきり言ってくれると思わなかった




「悠人」

「ごめん…勝手に」

「ううん、お父様のほうが失礼だったから」



「俺、頑張るよ」

「…ありがとう」



私は彼の背中に抱き付いた

その様子を父はみていた




「私に意見するとはなかなか面白いやつだ……だが、思い通りにはさせないよ」


「お父様」





ふっと巧みに笑う父にあおいはゾッとした

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