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inevitability  作者: fairy
17/23

ep16 バレンタイン

私はキッチンでパティシエを呼んで作り方を教わっていた

それをつまんなそうにあおいは見ていた

そこにゆきのもやってくる




「あら、さくら何やってますの?」

「何ってもうすぐバレンタインだろ?」

「バレンタインね」



「ゆきの!いらっしゃい……あっ一緒に作る?」

「誰に作りますの?」

「誰って渉に決まってるじゃない」

「…そんな決まりいつできたのかしら」

「まぁ…渉ならいっぱいもらうだろうしな」

「じゃあいらないんじゃないかしら」

「ゆきのはあげたいとか思わないの?」

「思いませんわ……もらうならいいですけど」

「ゆきのって典型的なお嬢様だよな」

「うるさいですわ」




チン


「あっ焼けた」

「さくらお嬢様、いい出来ですよ…もう完璧ですね」

「本当?でも味はどうかな……あおいとゆきの、食べてみて」




私はいい焼き具合のチョコケーキを持って2人の前に持ってきた

パティシエのダンテが切って分けてくれた




「うん、美味しいですわ」

「本当?やったぁ」

「悠人じゃなくて俺にちょうだいよ」

「もちろんあげるよ♪お父様と食べてね」

「そこはエコしなくていいから」

「くすっ残念」






もうすぐバレンタイン

悠人の為に練習しただけあって美味しそうな出来になった

学校内も皆浮き足だっていた

2年生は受験があるからか最後の追い込みのように真剣だった

といってもほとんど相手は王子だけど





修旅以来、ゆきのと渉は特に進展はしてないみたいだけどよく2人でいるのをみかける


2人というよりゆきののところへ渉が行ってる感じ






「いやぁ~もうすぐバレンタインだねぇ」

「そのようですわね」

「宮島は誰かにあげるの?」

「なんでそんなことしなくてはなりませんの?」


「好きなやつとか……いないか」

「えぇ、関係ないですもの」

「せっかく女の子に生まれたのに勿体ないね」

「………」



「俺に作ってよ」

「え?」

「ちょうだい?チョコ」

「いつも沢山もらってるんでしょう?そんなに欲しいんですの?」

「俺、チョコ大好きだもん」

「……考えておきますわ」

「サンキュ」







バレンタイン前日


私は一生懸命悠人の分と家族の分のチョコケーキを作っていた




「さくら」

「あれ……ゆきの?」

「ダンテさん借りていいかしら?」

「いいけど…作るの?」

「なわけないでしょう?作ってもらうの」

「えぇ~どうせなら作ろうよ」

「嫌ですわ」

「ゆきのお嬢様、でしたら作るのをお手伝いして頂けませんか?」

「あっそうしなよ!私のはもう焼けるの待つだけだからここ使っていいし」

「…どうしてもって言うんでしたら」





照れながらもゆきのは作るを手伝っていた

私はその様子を微笑ましく思った






バレンタイン当日



「白河先輩、受け取って下さい」

「ありがと♪」

「あっ私のも!」

「いやぁ~嬉しいな」


渉は案の定廊下で女の子に囲まれていた




「やっぱり持ってこなきゃ良かったかしら」

「渉が欲しいって言ったんだから気にする事ないよ」





私達が教室に入るのを渉は見ていたらしく、すぐに私達のとこにやってきた




「おはよっさくら、宮島」

「おはよぉ」

「宮島」

「何かしら?」

「持ってきてくれた?」

「何をですの?」

「えぇ~チョコだよぉないの?」

「………ありませんわ」

「え?ゆきの?」

「ちぇっなんだよぉ」


「白河せんぱぁい」

「ん?なぁに♪」



また呼び出されて渉は行ってしまった






「ゆきの……どうしたの?」

「何だかバカらしくなってしまって」

「せっかく持ってきたのに」

「お父様にでもあげますわ」

「そんなぁ」



「それよりさくらはどうしたんですの」

「私のことより!」

「はぁ……気にしないでくださる?」




そのままゆきのは黙って外を見た

私はお節介だと思いながらも渉のとこへ行った





「渉」

「あっじゃあありがとうね~どうした?」

「…本当はゆきの持ってきてるの」

「え?」

「だから…皆いるとことかじゃなくて」

「なんだよ、それ」

「え?ちょ…」



渉は教室に入って真っ直ぐゆきののとこへ向かい、大きな声で言った



「持ってきてるならちょうだいよ」

「何言ってますの」

「チョコ!持ってきてくれたんでしょ?」




教室内がザワザワしだした

ゆきのは怒ってかばんからチョコの箱を取り出して渉に投げつけた



「そんなに欲しかったらあげますっ」




そう言ってそのまま教室を飛び出していった




「ゆきの!」




その瞬間勢いよく出て行ったのは渉だった




「え?渉?」




2人は授業が始まっても帰って来なかった









渉はゆきのの腕を掴んだ




「何で付いてきますの?」

「はぁはぁ……」

「離して下さい」

「やだ」

「意味がわかりませんわ」




渉はふらついてゆきのの腕を掴みながら廊下に座りこんだ




「お腹すいた…」

「え?」





そのまま渉はゆきのに投げつけられた箱の包みを開けてチョコを口に放り込んだ




「あの……」



「これの為に朝ご飯抜いてきたんだ」

「………」

「あっ…引いた?」




ゆきのの目から涙が出てきた

渉はそれに驚きわたわたとしていた








私はというと…

実は前日にメールがきていた




『明日の放課後、俺が行くまでずっと図書室にいて』






バレンタインはいつも追いかけられてるのは知っていた

去年だって渉に義理をあげる理由に悠人と一緒にいるのを狙ってあげたし



だから実際あげれるかどうか心配だったけど

悠人からメールがきてちょっと嬉しかった







放課後

私は待ちくたびれて寝てしまっていた

どの位経ったのだろうか

ふと目を開けると外は暗くなっていた




「おはよ」



横には悠人が座っていた




「起こしてくれれば良かったのに」

「だって寝言で俺の名前呼んでたから」

「嘘!なおさら起こしてよ」

「やだ、何してるか気になるじゃん」

「覚えてないわよ」

「なんだ」




私はかばんからチョコケーキを取り出して渡した



「めっちゃうまそう!」

「ウチのパティシエのお墨付き」

「マヂ!?」




悠人は美味しそうに食べてくれた

私も一口もらおうと見つめる




「欲しい?」

「ちょうだい」

「はい、あ~ん」




口を開けると一口サイズのケーキを入れられたと同時に悠人に口付けられた




「んっ」





「やっぱりあげない」



口の中のケーキは悠人により取られてしまった



「でも甘かったでしょ?」

「……うん」




甘い甘いバレンタインを過ごす2組


だがもうすぐ訪れる裏で起こってることが明らかになる


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