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inevitability  作者: fairy
14/23

ep13 Christmas

修学旅行から帰ってきて1週間ほど経った

もうすぐ冬休み

修学旅行でよく呼び出していた女子達の噂により私と悠人は付き合ってないことが学校に行き渡った

そしてクリスマスも近い為か告白ラッシュが続いていた







「好きです……友達からでもいいので付き合ってもらえませんか?」

「好きでもないのに付き合うなんて失礼だから…」

「少しでも付き合える可能性があるなら私はいいんです」

「……もっと自分の体を優しくしたほうがいいよ」

「どうしてもダメですか?」

「僕は君に相応しくない……もっといい人がいると思う」





「最近こうゆう光景よくみますわね」

「もうすぐクリスマスだもん」

「私達には関係ないことですわ」

「…まぁね」




私とゆきのはクリスマスは必ず家でパーティ

パーティと言っても普通の家庭でするような家族パーティではなく政治家や芸能人、会社のお得意様だったりを呼ぶ西洋的なパーティ

ゆきのんちと1年毎に交代して家でやっているのだ


今年は私の家

長女である私達は必ず参加が必須である

もちろん友達を呼ぶこともできるが、そんな堅苦しいのに来る人なんていない

私達も誘う気などない





「そんなとこで見るなんて趣味悪いね、2人とも」

「あんなの見て下さいって言われてるようなものじゃないかしら」

「ゆきの、言い過ぎ」

「さくらと宮島はクリスマスどうするの?」

「私達は家の用事があるから」

「そうなんだ」

「あっ俺も呼ばれてんだよね」

「渉が?」

「うん、さくらの父さんに招待状もらってて…いつの間にそんなに仲良くなったのか」

「本当…」

「俺も来いって命令されちゃった」

「ふ~ん」

「なぁ…それって招待状ないと行けないの?」

「え?まぁ…」

「俺、今年も皆で騒ごうと思ってたんだけど渉来ないならなぁ」

「そうなんだよ、悠人いっっつも面倒な女子を俺に押しつけて来るんだよ」

「でも渉いないなら暇だし…それ行っちゃダメ?」

「いいけど…つまんないよ?」

「渉とさくら達もいるんだろ?」

「でも大人ばっかだし…」

「いいんじゃない?行きたいって言ってるんですし」

「俺も退屈しなくて済むよ♪」

「…わかった、明日持ってきてあげる」

「やった!やっぱタキシードとか?」

「どこの貴族だよ、別に普通のスーツとかで大丈夫だよ…な?」

「うん…タキシードの人もいるけどね」



悠人は告白を断り続け、クリスマスはウチで過ごすこととなった

あの先輩も断られたらしい

たまぁに私に愚痴ってくる





「ねぇ~あなた達本当に付き合ってないわけ?」

「先輩、受験勉強しなくていいんですか?」

「あんなの楽勝よ、私A判定だし」

「頭良かったんですね」

「ねぇ~それよりどうなのよ」

「だから何度も言ってるじゃないですか」

「だって沖縄から帰ってきてからあなたたち名前で呼び合ってるし」

「そりゃあんだけずっといたんですから」

「ふ~ん」

「そろそろ休み時間終わるんで行きますね」



「クリスマスは誰と過ごすのかしら?」

「……さぁ?」






クリスマス当日



「今年もお呼び頂きましてありがとうございます」

「いらっしゃいませ、ゆっくりしてくださいね」



母が玄関先でお客様全員に挨拶してる

私とあおいは部屋で準備中



「さくら~今日渉来るんだろ?」

「らしいよ~」

「もしかしてさ…あの……えっと」

「実央ちゃん?わかんないって言ってたよ」

「誰もあいつなんて言ってないだろ」

「強制参加は渉だけらしいし」

「だから…」

「さくら、あおい、ゆきのちゃんとお友達いらしたみたいよ」

「はぁ~い」

「ほらいこっ」

「なぁ友達って誰くんの?」

「え?…あぁ……悠人」

「え~あいつくんの?」

「こらあおい、皆さんの前では口を慎むのよ」

「はい…(コソ)さくらが呼んだの?」

「暇だって言うから」

「けっ」






「お邪魔しております」

「ゆきのさんいらっしゃい、まぁまぁ素敵な方…ゆきのさんったらいつの間に」

「おばさま違いますわ、ただのクラスメイトです」

「こんばんは、初めまして神崎悠人です」

「こんばんは、ゆっくりしてらしてね」

「ありがとうございます」




私達はそのまま広間へ行った


「ホントすごいな」

「飾りはね…料理口に合うといいけど」

「大丈夫だよ、たまに渉んちで食べてるし」

「そっか」

「さくら、あおい、ちょっと」

「ごめん…行ってくるね」



「忙しそうだな」

「今年は招く側だから挨拶回りが厳しいんですのよ」

「宮島はいいの?」

「今年はね、去年は大変でしたけど」

「そうなんだ……あっ渉」

「あっちも挨拶回り大変そうね」







両親の挨拶が終わり、パーティが始まった

私とあおいは挨拶回りをしなければならないのでご飯は食べずに飲み物片手に動きまわる

悠人とゆきのは2人で話していた

たまにゆきのも呼ばれることもあったが、私達ほどではない

そして渉の父親の学長とも挨拶が交わされる



「いやいや白河さん、娘達がいつもお世話に」

「こちらこそ仲良くしてくださって」

「よっさくら」

「こらっ呼び捨てにするでない」

「あぁ……さくらさん」

「くすっメリークリスマス、渉さん」

「まぁまぁ2人が仲が良い証拠ですから」

「あははっそうですな」

「これからもよろしくお願いしますよ」

「こちらこそこれからもっとお世話になるかもしれませんし」

「あははははっ」




私達はこの言葉の意味を深く考えることはなかった




「さくらさん、渉さんと少し踊ってきたら?」

「え?」

「それはいいですな、渉行ってこい」

「はぁ…さくらさんさえよろしければ」

「構わないけど…足踏まないでね?」

「まかせとけよ」




両親達に促されるまま私達はオーケストラに合わせて踊り出した

渉はさすがというかなんというか私をリードする



「まぁ素敵」

「さすがさくらお嬢様ね、お相手の方は?」

「瀬田川高等学校の学長さんの御子息ですって」

「まぁまぁ…もしかしてこれって」





「へぇ~白河君踊れたの?」

「まぁあいつもそこそこの家柄だからな」

「そうね……でもこれって」

「何?」

「……」

「宮島?」

「いいえ、なんでもありませんわ」




パーティ中盤になると、私のビアノ披露が恒例となっている

2・3曲、クリスマスソングを弾いた

その後がいつも忙しくなる

というのも垣里家目当ての男達のダンスに誘われるから

正直めんどくさい

演奏が終わり、拍手される



「さくらさん、踊って頂けませんか?」

「いや、僕と」

「僕ともお願いします、さくらさん」



私はさわやかに作り笑顔で1人ずつ踊っていく

父のお客様……断ることはできない





「宮島、ちょっと外出てるわ」

「あら……頭に血でものぼったのかしら?」

「うるせぇよ」







私はようやく開放され、ゆきののとこへ行く



「はぁ~お腹すいたぁ」

「お疲れ様、何か持ってきましょうか」

「優しい♪お願いしまぁす」



私はふと庭を見ると悠人がいるのが目に入った

桜の木をじっと見てる

外は寒いから花なんて咲いてないけど








「悠人」

「さくら……もういいのか?」

「うん」

「コレ桜の木?」

「よくわかったね」

「うん……なんとなく」




「あっはい」

「何?」

「クリスマスプレゼント」

「えっ?」



私は細長い箱のリボンをゆっくりほどいていく

中には花の形で真ん中にピンクの石が埋め込まれているネックレスだった




「可愛い」

「良かった」

「あっでも私もらえると思わなかったし用意してない」

「うん、期待してないし」

「ありがとう…でもそれじゃ悪いし何か欲しいものない?」

「いいよ、無理言って招待状もらったし」

「いいからっなんでもいいよ?」




「じゃあ……さくら」

「え?」

「さくらが欲しい」

「……」



私達は見つめ合う

その様子をゆきのは見ていた



「せっかく料理持ってきてさしあげたのに……神崎悠人言うのかしら」





「さくら?」

「それってちょっと難しいかも」

「……」

「桜の木ってどこに売ってるのかしら?」




「え?」

「悠人桜に思い出あるって言ってたしね、あげたいけど」

「いや……」

「しかも当分咲かないよ?」

「もういいわ」

「ごめんね……」





「じゃあ……さくらの時間一日ちょうだい?」

「さくらって名前だったら何でもいいわけ?」





雪が振ってきた

私達は見つめ合ったままホワイトクリスマスを過ごした

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