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inevitability  作者: fairy
12/23

ep11 夜長

「さくら」







「って呼んでいい?」

「…いいけど」

「呼んで?」

「え?」

「悠人」





眩しい日差しの中神崎君に言われた

その後、偶然春菜とゆきのが来たからその場から離れることができた

その日から神崎君を呼ぶことができない

彼はわざとらしく呼ぶけれど

名前を初めて皆の前で呼んだとき、誰も触れないようにしていたのを春菜は口を開いた



「なんだぁ2人仲直りしたんだ」

「え?」

「さくらと全然話さないし、ケンカしたのかと思った」

「今は仲良しだよ」

「良かった良かったぁ…あっ神崎君ここ教えてくれない?」



2人の会話が聞こえた

春菜がマイペースな性格で良かったと思う

修学旅行に来てから2週間が経った

春菜は部活で最後の試合があるから帰らなきゃならない

渉と一哉も帰らなきゃならないらしいが、わがままで残った

春菜との最後の夜、花火をした



「きゃあ~あはは」

「おいっくるなぁ」

「いけいけ」

「あはははは」



楽しい一時だった

花火がなくなり、残りの線香花火をしてそれぞれまったりとした

月が綺麗だった

私は1人海をみていた




「さくら」

「ゆきの…」

「ビックリしましたわ、神崎君と名前を呼び合う仲になっていたなんて」

「ははっ」

「でもさくらは呼ばないのね」

「別に…呼ぶ機会ないだけ」

「そう」

「……ゆきの、私帰ろうかな」

「え?」

「何か疲れちゃった」

「なら、私も帰ろうかしら」

「なんで?いればいいじゃん」

「さくらいないのならつまらないわよ」

「ふふっ」



ウッドハウスに戻ってリビングでババ抜きをして遊んでいた




「これっはいっどうぞ」

「これかなぁ」

「あっ私とゆきのも明日帰るから」

「え?」

「2人とも帰るの?」

「うん」

「なんでなんで?」

「春菜いないなら…ねぇ」

「えぇ~気にしなくていいのに」

「そうしたいだけだから気にしないで」

「女の子いないなんてつまんなぁい」

「別に私達いたっていつもと変わらないじゃない、あっあがり」

「うわっ!…まぁな~」



すると突然神崎君が立ち上がる


「あがり…さくら、ちょっと」

「え?」



私の腕を掴み、デッキに連れてかれる

皆ビックリしてゲームもそこそこにその様子をみている





「神崎君?」

「悠人でしょ」

「……で何?」

「何で帰るの?」

「だから、春菜いないならつまらないし」

「うそ」

「うそじゃない」

「うそ」




彼は私をずっと見ていた

空気が重い









「帰らないで」

「え?」

「このまま帰らせなくないんだ」

「神……悠…人?」



ふっと彼は可愛く笑った


「名前呼んでくれた」






私は心臓を鷲掴みにされた気分だった

戸惑いが隠せない

いつものクールな顔ができない

嬉しいとさえ思ってしまった






「さくら」



ゆきのが戸を開けた



「別に用があるわけじゃないんですし、まだいません?」

「え?」

「そういえば、私まだゴーヤチャンプル食べてないの」

「……こないだ食べないって言ったのゆきのじゃん」

「そうだったかしら」



私は笑顔になった

そのことにほっとしたのか神崎君………いや悠人も笑ってた








「借りにしておきますわ」

「……ありがとう」

「素直に礼言われると気持ちが悪いんですけど」

「うっせ」






次の日

春菜は元気に帰っていった

私はそれから普通でいられたと思う

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