九話 風vs盾と剣
前回フランメ、ブロンテ、ヴァントはグライド、アルボル達の計画を阻止しようと隠れていたがバレ、戦うことになる。果たしてルアームとヒュードルを助ることはできるのか
フランメが前に出た。倒れているルアームとヒュードルの前に立ちはだかる。「お前らの……」拳を握りしめる。「好きにはさせねぇ!」声が、坂道に響いた。アルボルが笑った。「ガハハハ!良い根性だ、ガキ」右手を高く掲げる。「なら……」その手を振り下ろした。
「開戦だ!」グライド、ソーボ、シーボが一斉に動き出した。ヴァントが構える。「三対四で数は不利でも……」手に風が集まる。「倒してやる!」シーボがヴァントを指差した。「おい、ソーボ」「この風の奴、やろうぜ」ソーボがにやりと笑う。「ああ。早くやっつけちゃおう」完全に舐めている。ヴァントが笑い返した。「てめぇら………」「ハンデいる?」挑発。シーボの顔が歪んだ。「ナメんな!」二人が同時に襲いかかった。
フランメがブロンテに叫んだ。「ブロンテ!」「ヴァントの相手は決まった!」ブロンテが頷く。「お前は……グライドを頼む!」「え⁉︎」ブロンテが戸惑う。グライドが笑った。「はぁ?俺の相手が……」「ヒュードルと互角にやり合ってた、この弱々しくてビビりな雷の小僧か?」馬鹿にした口調。「まぁ、いいか」グライドが構える。「さっさと終わらせて……」「あいつらにトドメを刺しに行く」ブロンテが拳を握った。(フランメが……僕を信じてくれた……)顔を上げる。(二人の命も……かかってる、なら応えないと!)フランメがアルボルを睨んだ。「俺は、こいつを倒す!」拳が手に宿る。アルボルが笑った。「ガキ……いい度胸だ!」
【こうして三つの戦いが始まった】
【場面は変わり】
シーボが突進してきた。巨体が迫る。「来るか!」ヴァントが拳を振るう。トゴッ!シーボの腹に叩き込むが………。「硬ぇ……!」まるで岩を殴ったような感触。拳が痛い。シーボがにやりと笑った。「効かねぇよ、雑魚が」その瞬間「⁉︎」ヴァントの背後に気配。振り返る……間に合わない。ソーボが飛び込んできた。「雑魚が」細身の体。そして速い。右手がヴァントに伸びる。「くっ……!」ヴァントがとっさに左腕でガードした。スバッ!「がっ……⁉︎」激痛。左腕から血が流れる。まるで刃物で切られたような傷。ヴァントが飛び退いた。左腕を押さえる。(なんだ……今の……)シーボが笑う。「どうした?もう終わりか?」ソーボも不気味に笑っている。「まだ始まったばっかなのに」ヴァントは二人の動きを思い出した。(シーボは硬い……殴っても効かない……)(ソーボは速い……そして触られると切れる……)息を整える。(まるで……盾と剣だな……)
シーボとソーボが、また同時に襲いかかってきた。シーボが前ソーボが横。挟み撃ちだ。ヴァントが後ろに飛ぶ。だが、ソーボが追いかけてくる。「斬手!」手刀が振り下ろされる。ヴァントが避けようとする………が。シーボが割り込んで来た。「鉄壁!」硬化した体で、ソーボを守る。ヴァントの視界が塞がれる。(しまっ……!)スバッ!ソーボの手刀が、ヴァントの肩を切り裂いた。「ぐあっ……!」深い傷。血が滲む。ヴァントが膝をつく。(やべぇ……手を狙ってきやがる……)シーボとソーボが笑っている。「どうした?もう立たないか?」「雑魚すぎて話にならねぇな」ヴァントは息を整えながら、考えた。(落ち着け……冷静に……)二人の動きを思い返す。(シーボは……盾役……)(ソーボを守りながら……動いている……)(ということは!)ヴァントの目が鋭くなった。(シーボはおそらく、筋肉を硬化している……)(でも、硬化しすぎたら関節が動かない……)(動きながら硬化しているってことは……)立ち上がる。(関節は、硬化できてない!)
「もう一回来い!」ヴァントが叫んだ。シーボとソーボが顔を見合わせる。「こいつ……まだやる気か……」「まあいい。トドメだ」二人が再び襲いかかる。ヴァントは足に風を集めた。ヒュオオォ!(できるかわかんねぇ……)(でも……一か八かだ!)「疾風幕ッ!」ヴァントが地面を蹴った。シュンッ!足のかかとから風を噴出する。その推進力で、一気に加速した。ヒュオオオォ!風が巻き起こる。砂埃が舞い上がった。「⁉︎」シーボとソーボの視界が奪われる。「くそ……見えねぇ……!」「どこだ⁉︎」ヴァントも……。視界が奪われる。(自滅した……!)だが……。(でも……これでいい……)目を閉じる。風を感じる。(俺の風は……触れたものがわかる……)「探風……」風が二人の位置を教えてくれる。(いた………!)砂埃の中、シーボの姿が見える。いや、見えてはいない。感じているだけだ。(盾の方……!)ヴァントが動いた。
砂埃が晴れ始めた。シーボとソーボの姿が見える。ヴァントが突進してきた。「⁉︎」ソーボが気づく。「シーボ!後ろ!」シーボが振り返るが………。遅い。ヴァントの手が、シーボに向かって突き出された。「風刃!」「!」シーボがとっさに全身を硬化させた。「鉄壁ッ!」筋肉が膨れ上がる。全身が岩のように硬くなる。だが、ヴァントは笑った。「狙いは……両膝だ!」風の刃がシーボの膝関節の裏を狙った。「⁉︎」ビュウゥゥンッ!シーボの目が見開かれる。猛烈な勢いと風圧で膝に当てる。膝に激痛が走る。「ぐっ……なんだ……これは……」足が崩れる。ドサッ。シーボが地面に倒れた。ヴァントが立ち上がる。「動いていると言うことは、最低限の可動域がある」「つまり、膝は硬めてねぇということだ」「どんな壁でも、ただの置物だ」もう一度、風刃を放つ。ビュウゥゥンッ!シーボの体に命中した。「がっ……!」シーバが完全に倒れる。動かない。ソーボが驚愕していた。「シーボ……⁉︎」「よく、俺の能力が筋肉硬化だと……わかったな……」シーボが苦しそうに呟き、意識を失った。
しかし、ヴァントの視線は両膝一点に集中する。
「狙いは両膝関節とその裏だ」そして、シーボが少し、動いた瞬間「来たぞ」ヴァントの口角が上がる。
そして「風斬」ヴァントは左手の痛みを耐えながら、右手で「関節をねらえば、どんなに硬い壁でもただの置物だ!」と言い周りの風がうねり、風の斬撃をシーボの膝関節と膝裏を狙い放つ。
【シーボ、リタイヤ 残りソーボ、グライドそしてアルボル】【意外とヴァントは分析力と知識がある】
ヴァントがソーボを見た。「やっと……一対一だな」傷だらけの体。左腕も肩も血が滲んでいる。でも(まだ……戦える……!)ソーボが、不気味に笑った。「お前を……」手が鋭くなる。「心も体も、ズタボロに切り裂いてやる」ヴァントが顔をしかめた。「……気持ち悪い」「なんだと⁉︎」ソーボが激しく怒った。「誰が気持ち悪いだ!」「何が気持ち悪いんだ!」怒鳴りながら突進してくる。ヴァントが構えた。(シーボがいない……)(今度は、まともに戦える……!)「来いよ!」
【ヴァントvsソーボ。一対一の戦いが始まった。】
一方、ブロンテとグライドは向き合っていた。グライドがにやりと笑う。「よう……雷の小僧」挑発的な視線。ブロンテは深呼吸した。(落ち着け……挑発に乗るな……)「よろしく」冷静に返す。グライドが少し驚いた顔をした。「へぇ……ビビらないのか」「まあ、いいか」グライドが構える。「ヒュードルと互角の勝負してたけど……」「あれはマグレだろ?」「俺に勝てる保証なんてねぇぞ」ブロンテの拳が、わずかに握りしめられた。グライドが続ける。「あの炎のバカ野郎は、お前に任せるとか言ってたけどよ………」「お前は俺に勝てない」その言葉にブロンテが顔を上げた。「……違う」小さいが、確かな声。「家族は……僕のことを認めなかった」拳を握る。「でも……」顔を上げる。「フランメは、信じてくれた」その目には、炎が宿っていた。「信じてくれた仲間がいる」「だから、僕は強くなれる」雷が手に宿る。バリバリッ!「僕は、君に勝つ!」宣言。グライドが一瞬、表情を歪めた。「仲間……ね……」拳を握りしめる。「よし……」「なら、あの炎野郎が間違ってたことを教えてやる!」グライドが地面を蹴った。「行くぞ!」ブロンテも構えた。「来い!」【ブロンテvsグライド。戦いが始まった】
次回 ブロンテ対グライド




