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Fire Kings  作者: ワンシア
一章
7/9

七話 炎vs黒弾 其のニ

ついにフランメ対ルアームの決着

「そろそろ、終わらせる」ルアームが深く息を吸った。周りが静まり返る。両手を前に突き出す。ゴゴゴゴゴゴゴ……空間がうなり始めた。「な、なんだ……この音……」ヴァントが震える。ブロンテも青ざめている。「すごいエネルギー……」ルアームの手のひらに黒い渦が現れた。それは瞬く間に広がり、巨大な球体となる。直径3メートルはあるだろうか。その渦中には赤、橙、フランメの炎が渦巻いている。今までに吸収した、全ての炎のエネルギーが圧縮されている。

黒弾・轟ブラックホールブーミングッ!」ルアームが叫んだ。ゴオオオォォォッ!黒い渦が、さらにエネルギーを増していく。空気が重くなる。鋭い感覚が、会場を包む。その中で、赤色と橙色の炎が、激しく揺らめいている。フランメはそれを見て「っ……やべぇ……」思わず一歩、後ずさる。(さっきまでの比じゃねぇ……!)冷や汗が額を伝う。(あんなの……くらったら……)でもフランメは笑った。「でも、面白ぇ!」拳を握りしめる。「そうでなくちゃ!」


ルアームが静かに言った。「フランメ」黒い渦を残したまま、フランメを見る。「申し訳ないけど……」

その目は、真剣だった。「この技食らったら、立てない」沈黙。周りがざわつく。「おい、大丈夫なのか……」「あんなの食らったら……」コンパトーニが立ち上がった。「ルアーム、加減しろ!」だが、ルアームは止まらない。(ヒュードルもだけど、熱くなると冷静さが無くなるのが欠点だな)「それでももいい?」

ルアームがフランメに聞いた。「今なら、降参してもいい」フランメはにやりと笑った。「来いよ、ルアーム!」足を踏ん張る。「俺は、逃げねぇ!」ルアームが小さく微笑んだ。「……そうか」「なら、いくよ」


フランメはルアームの黒弾・(ブラックホール)(ブーミング)を見上げた。巨大な黒い渦。その中で渦巻く、自分の炎。「すげぇな……」思わず呟く。

「こんなの……出せんのか……」感心している。

でも、心の中では、意外と冷静に分析していた。

(ありゃやべぇ……)冷や汗が額を伝う。(当たったら……動けなくなる)(そうなったら、俺の負けだ)ブロンテの声が聞こえた。「フランメ!逃げて!」ヴァントも叫ぶ。「あんなの避けろ!」でも、フランメは笑った。

「逃げる?」拳を握りしめる。「そんなの……つまんねぇだろ!」地面を強く蹴った。「炎足跳(えんそくちょう)ッ!」ゴォッ!足に炎を宿す。その推進力で…フランメの体が、真上に跳び上がった。5メートル、10メートル。高く、高く。コンパトーニが小声で呟いた。「ルアームのあの技を初めて見て……逃げないのか」目を細める。「なかなかの……精神の持ち主だな」


ルアームがフランメを見上げた。空中に浮かぶフランメ。(逃げない……のか)ルアームが小さく笑った。

「なら、受け止めてみせろ」両手を前に突き出す。

黒い渦が、さらに膨れ上がる。ゴゴゴゴゴゴ……空間が唸る。「黒弾・轟ブラックホールブーミングッ!」ルアームが叫んだ。次の瞬間、ドゴォォォンッ!黒い渦が、砲弾のように発射された。ゴオオオォォッ!凄まじい速度で、フランメに向かって飛んでいく。直径3メートルの黒い渦。その中で、赤と橙の炎が激しく渦巻いている。観客らが悲鳴をあげる。「やばい!」「避けろ!」フランメは、空中で、それを見た。(速ぇ……!)だが、(落ち着け。ミロワールの訓練を思い出せ)『相手の動きを読め』『気配を感じ取れ』

(今だッ!)フランメが空中で、さらに炎を足に溜めた。ゴォッ!脚を横に蹴り出す。空気を蹴った。シュッ!フランメの体が、真横にずれた。黒弾・(ブラックホール)(ブーミング)が、フランメのいた場所を通り過ぎる。(避けた……!)フランメが安堵した、その瞬間。ゴォッ!「⁉︎」黒い渦の端が、フランメの左肩を掠った。(渦が……思ったよりデカい……!)ジュウウゥゥ……炎のエネルギーが、肩を焼く。「ぐあっ……!」痛みが走った。肩が焼ける。服が焦げる。皮膚が赤く腫れ上がる。「くっ……!」フランメが地面に着地した。膝をつきそうになるが……。「でも……まだ……!」歯を食いしばって立ち上がる。左肩を押さえる。痛い。でも、「まだ……動ける……!」ブロンテが立ち上がった。「フランメ!」ヴァントも心配そうに見ている。フランメが親指を立てた。「平気だ!」

嘘だ。無理をしている。(ここで……負けるわけにはいかない……!)(絶対優勝する、なら、こいつら(エリートナイツ)は通過点だ……!)


ルアームが手を上げた。「少し負傷したね」冷静な声。「でも、これはどう?」ルアームの手のひらに

黒い球体が現れた。さっきの巨大な渦とは違う。小さい。拳ほどの大きさ。でも…….ゴゴゴゴゴ……密度が、桁違いだ。空気が重くなる。「黒弾(ブラックホール)・圧縮弾ッ!」ルアームが手を振った。ヒュンッ!黒い弾丸が、凄まじい速度で飛んだ。フランメの目が見開かれる。(速い……!)避けられない。(なら……!)「赤炎拳(せきえんけん)ッ!」フランメが右手に赤い炎を宿した。静かに燃える、密度の高い炎。拳を振るう。ゴッ!炎の拳が、黒い弾丸に命中した。バキィッ!弾丸が割れる。だが、ドゴォンッ!

衝撃波が走った。「ぐあっ……!」フランメの体が吹き飛ぶ。地面を転がる。右腕が痺れている。ビリビリと電気が走るような感覚。「くそ……」立ち上がろうとするが……膝が震えて、ガクガクしている。(ダメだ……体が……)力が入らない。フランメが必死に立ち上がった。(諦めない……!)


ルアームが目を細めた。「この二発を受けて……」フランメを見る。傷だらけ。左肩は焼け、右腕は痺れている。膝は震え、息も荒い。それでも…立っている。

「よく立ってるね」ルアームが小さく笑った。「君は……本当にタフだ」フランメが顔を上げた。汗と埃で顔が汚れている。でも、その目は輝いていた。「確かに……」フランメが息を整えながら言った。「この技は……やばい……」拳を握りしめる。「でも……」顔を上げる。「俺は、モンスターハンターになる!」声が、会場に響いた。フランメが叫んだ。「諦めねぇ!」観客が沸く。「おおおおッ!」「すげぇ根性だ!」「あんな状態で……まだ諦めない……!」ブロンテが涙ぐんでいた。ヴァントも拳を握っている。「あいつ……強ぇ男だ……!」コンパトーニも息を飲んで見ている。「あの炎の少年……あいつに似ている」ある男を照らし合わせる。


ルアームが笑った。に「ははっ……」小さく、でも心から楽しそうに。「やっぱり……面白いね、フランメ」

両手を前に突き出す。ゴゴゴゴゴ……黒いエネルギーが集まり始めた。さっきの圧縮弾よりも大きい。拳の倍はある。そして、密度も桁違いだ。ズゥゥゥン……空気が重くなる。会場全体に、プレッシャーが走る。「これが……最後だ」ルアームが真剣な目でフランメを見た。「この一撃で決める!」フランメは構えを取った。傷だらけの体。フランメが笑った。「俺も…….全力で行く!」(落ち着け……)フランメが深呼吸した。

両手を体の前に持ってくる。(俺の全てを……この一撃に……)ゴォォ……手のひらに、炎が宿り始めた。最初は小さな炎。だが、徐々に大きくなっていく。赤い炎。静かに、でも確実に燃え上がる。フランメの腕、肩、背中……全身へと広がっていく。暴れることなく、静かに。炎は密度を増し、空間が赤く染まる。フランメの輪郭が、揺らめく。「これが……俺の全力……」

右腕に宿らせた炎が刃ように、フランメが燃え盛る閃光へと変わる。「紅蓮一閃(ぐれんいっせん)ッ!」

フランメが地面を蹴った。シュンッ!一気にルアームとの距離を詰める。ルアームも放った。「黒弾(ブラックホール)•圧縮(ブーミング)ッ!」黒い渦が、フランメに向かって飛んでいく。ゴオオオォォッ!二つの技が激突した。


ドゴオオオォォォンッ!衝撃波が走った。会場全体が揺れる。「うわっ⁉︎」観客たちが手で顔を覆う。

風が吹き荒れ、砂埃が舞い上がる。フランメの紅蓮一閃、赤い炎の閃光がルアームの黒弾(ブラックホール)・圧縮(ブーミング)に突き刺さった。

キィィィィンッ!空気が悲鳴をあげる。フランメが叫ぶ。「うおおおおッ!」炎の閃光が、黒い渦を切り裂いていく。ビリビリビリッ!黒弾が、ひび割れ始めた。「⁉︎」ルアームが目を見開く。(僕の黒弾(ブラックホール)が……割れる……⁉︎)バキィッ!黒い渦が真っ二つに割れた。赤い軌跡が、空間を走り抜ける。

そして次の瞬間。ドゴォォォォンッ!空間が……爆発した。いや、【爆ぜた】と言った方が正しい。バァァァンッ!一拍遅れて、衝撃が襲う。炎と黒弾(ブラックホール)のエネルギーが混ざり合い、巨大な爆発を起こした。ゴオオオォォォォッッ!熱風が吹き荒れる。

視界が真っ白にかすむ。煙と炎が、二人の姿を飲み込んだ。


轟音が……やんだ。静寂。煙が、ゆっくりと晴れていく。炎が消えていく。誰も、息をしていない。誰も、声を出せない。ただ、その場所を、見つめている。

煙が晴れた。そこには……⁉︎「……ッ!」コンパトーニが息を呑んだ。ヴァントが目を見開く。ブロンテが立ち上がる。エリートナイツの生徒たちが、凍りついたように動かない。そこには………。


誰も立っていなかった。


ルアームは膝をついたまま、前のめりに倒れている。

動かない。フランメは仰向けに、大の字で倒れている。ピクリとも動かない。二人とも完全に、力を使い果たしていた。能力量(エネルギー)が、空っぽになった。


観客の一人が「な、なんだよ…今の……」別の観客が

「どっちが…勝ったんだ?」ブロンテ、ヴァント、

ヒュードルの三人も何が起きたんだ、と一瞬迷い息を飲む。コンパトーニはゆっくりと二人に歩み寄り、様子を確認する。少し間をあけ、「……引き分けだ。両者、立てない」その瞬間、場内にざわめきと歓声が同時に広がる。


静寂。一秒、二秒、三秒。そして、「うおおおおおッ!」会場が驚きと歓声で爆発した。割れんばかりの拍手。歓声。足を踏み鳴らす音。「すげぇ!」「なんだ、今の戦い⁉︎」「引き分けだと⁉︎」「二人とも、化け物か⁉︎」エリートナイツの生徒たちも、拍手している。

「ルアーム……」「あんな戦い、初めて見た……」シーボが呟く。「体験生が……ルアームと引き分けだと……」グライドは複雑な表情をしていた。ヒュードルが微笑んだ。「これは……僕も負けられないねー」ざわつきと歓声が、いつまでも鳴り止まなかった。


倒れた二人の横で、コンパトーニが指示を出していた。「医務室に運べ!」生徒たちが駆け寄る。その時、ルアームの目が、わずかに開いた。「……ん」かすれた声。視界がぼやけている。天井が見える。

「……やっぱり……」ルアームが小さく呟いた。「……強いな……フランメ……」隣で、フランメも、うっすらと目を開けていた。「……ルアームも……な…」苦笑している。体が動かない。痛いわけじゃない。ただ、力が、全く残っていない。「……くそ……」フランメが笑った。「……楽しかったぜ……」そして、二人とも、再び目を閉じた。意識が、遠のいていく。でも、二人の顔には、満足そうな笑みが浮かんでいた。


数時間後。医務室。包帯の匂い。消毒液の匂い。

静かな部屋の中で、二人はベットに並んで寝かされていた。フランメとルアーム。二人とも、全身に包帯を巻いている。打撲、火傷、擦り傷。体中が傷だらけだった。ブロンテ、ヴァント、ヒュードルが…ベットの横で、心配そうに見守っている。「大丈夫かな……」

ブロンテが小声で言った。「あんな激しい戦いだったし……」ヴァントが頷く。「ああ……心配だな……」

その時、「うっ……」フランメがうめいた。目が開く。「あ……」ブロンテが顔を近づける。「フランメ!」

フランメがゆっくりと起き上がろうとするが……。

「痛ッ!」全身が痛む。「無理するな!」ヴァントが慌てて止める。フランメが周りを見回した。「ここは……」「医務室だよ」ブロンテが答える。「あの後、

君たち二人とも倒れて……」フランメの記憶が戻ってくる。ルアームとの戦い。最後の激突。そして「俺……勝ったのか?」ヒュードルがゆっくりと首を横に振った。「引き分けだよー」「引き分け……」フランメが呟いた。(そうか……倒せなかったのか……)少し悔しい。

でも、「ま、いいか」フランメが笑った。「楽しかったし」隣のベットで、ルアームも、目を覚ました。「ん……」ゆっくりと起き上がる。フランメと目が合った。二人は同時に、笑った。「よお」フランメが手を挙げる。「……やあ」ルアームも手を挙げた。少し気まずい沈黙。やがて、フランメが言った。「次は引き分けで終わらせないからな」真剣な目。ルアームが微笑んだ。「僕も負けない」二人の間に、小さな火花が散った。でも、それは敵意ではなく、好敵手としての敬意だった。


コンパトーニが部屋に入ってきた。「お、二人とも起きたか」フランメを見る。「炎の少年、もう体調は大丈夫か?」「ああ」フランメが元気よく答える。

コンパトーニが笑った。「ははっ、なら自分で帰れるな」フランメが急に立ち上がった。「そういや……」

ブロンテに聞く。「今、何時くらいだ?」「20時くらいだと思う」「もう夜じゃねぇか!」フランメが慌てて部屋を出ていく。ブロンテが追いかけながら「ありがとうございました!」コンパターニに頭を下げる。

ヴァントも続く。「あざした!」三人が去っていく。

ルアームが窓からその姿を見送った。「面白い人たちだね」小さく笑う。コンパトーニが隣に立った。ルアームは少し考えてから、「強い。そして…」微笑んだ。「いつか、超えたい相手だ」


しばらくして道中。練習場を出て、夜の街を歩く。

月が綺麗だった。「やー、楽しかったな」フランメが伸びをしながら言った。「楽しかった……って」ブロンテが呆れた顔をする。「君、ボロボロだったんだよ?」「ま、結果オーライだろ」フランメが笑う。

ヴァントが笑った。「でも、マジですごかったぜ」

「あんな戦い、初めて見た」三人が並んで歩く。

仲間としての絆が、確かに深まっていた。

その時、「あー!」ヴァントが突然叫んだ。二人が驚いて振り返る。「どうした⁉︎」「財布……」ヴァントが青ざめている。「財布、忘れた!」フランメとブロンテが顔を見合わせた。「……は?」【性格が正反対と言っていい二人が意気投合するなんて、ヴァントは相当

お金に対して執着しているのである】ヴァントが慌てて走り出す。「待って!取りに戻る!」【本当に、お金に目がない】「あー、もう……」フランメとブロンテも、仕方なく追いかける。


夜の練習場は静かだった。昼間の喧騒が嘘のように。

誰もいない。「財布、どこに置いたんだ?」フランメが聞く。「確か……控え室に……」ヴァントが慌てて走る。三人が控え室に近づいたその時……。「……ん?」

ブロンテが足を止めた。「どうした?」フランメが聞く。「なんか…話し声が聞こえる」耳を澄ます。確かに、控え室の奥から、声が聞こえる。「こんな時間に誰が?」三人は顔を見合わせた。そっと、声のする方へと近づく。「せっかくだし、なんか盗み聞きしよう・ZE☆ 」フランメがテンションがおかしくなったのか提案する。廊下の角。フランメが壁に背を押し付け、そっと覗き込んだ。部屋の中、数人の人影が見える。「あれって……」ブロンテが小声で呟いた。「グライドたちじゃない?」確かに。グライド、ソーボ、シーボの三人だ。でも、もう一人、見知らぬ男がいる。「誰だ、あいつ……」フランメが眉をひそめる。その男は、どこかで見た気がする。筋骨隆々とした体。鋭い目つき。そして……(あ……)フランメの目が見開かれた。(あいつ……!)脳裏に浮かぶ光景。都市リベルの食堂。木の能力で人々を襲った男。「アルベル……!」

フランメが小声で言ったが、ブロンテが「アルボル……ね」ブロンテが震える声で言った。「あの時の……モンスター……!」ヴァントも青ざめている。「なんで……あいつがここに……」フランメたちは息を殺して、会話を聞いた。


グライドが口を開いた。「頼みがある」この声は、低く、憎しみに満ちていた。アルボルが腕を組む。

「頼み?何だ」グライドが拳を握りしめた。「ヒュードルと……ルアームを……」一拍おいて「殺してほしい」


次回 ルアーム、ヒュードル救出作戦

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