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火剣の姫はメッキの王子を焼き尽くす  作者: 甲斐柄ほたて
第5幕 姫と王子は一緒に踊る
38/52

第38話 籠の鳥は歌わない

 私が投獄されてから一週間が経った。


 私はおそらくは、王城の地下深くのどこかに閉じ込められている。

 目隠しをされて連れてこられたので、ここがどこかはよくわからない。

 他に罪人は見当たらない。

 呼びかけても返事がない。

 ただ無視されているだけかもしれないが、少なくとも大勢はいない。


 当然だが剣はない。

 剣が無くても魔法は多少使えるが、鉄格子をどうにかするのは無理だ。

 食事は一日二回。

 おそらく朝食と夕食なのだろう。

 メイドがパンとスープを運んでくる。

 質素だが、囚人に与えるものとしては十分すぎると思う。

 私がルナエの姫だからだろう。


 食事以外にはこれといって時間を気にするようなことは無い。

 一日中放置されている。

 部屋には簡素なベッドと多少の小物があるだけで、他には何もない。

 ヒマをつぶせるようなものはない、ということだ。


 まがりなりにも尋問らしきものがあったのは初日だけ。

 それも極めて形式的なものだった。

 おそらく王子か、あの護衛騎士の口添えがあったのだろう。

『気まぐれでこの国に遊びに来たら王が戦争を宣言していたから斬りかかった』という供述が前提としてあり、そこへ誘導されるような尋問だった。

 正直内容に興味が無かったのでそれに乗った。

 王子が考えたのなら、大丈夫だろう。

 大丈夫じゃなくても、まあいい。


 ゾンダークが戦争を仕掛けたところで、あの父上が負けるはずはない。

 私がどんな供述をしたところで戦況に影響が出るとも思えなかった。

 父上よりも気になっているのは、ウォールだ。

 城に潜りこむ時に別れたきりだが、どうなったのだろう?

 ちゃんと逃げたのだろうか。

 まあ、大人しく捕まるとも思えないし、逃げおおせただろう。

 問題は……、私が戻っていないということだ。


 それをウォールはどう思っているのだろう。

 心配だ。

 おかしな真似をしでかさないといいが……。





 だが、父上よりウォールよりなにより、心配なのが王子のことだ。

 あの日のゾンダーク王と王子のやり取りを反芻して、王子の立場はなんとなくわかった。

 王子は先王の嫡子だ。

 彼は今の王にとって目の上のたんこぶ、というか邪魔な存在だが、大っぴらに殺すこともできないのだろう。

 だから憂さ晴らしにいじめているのだ。

 そんなところだろう。


 王子はソリス攻略を命じられていた。

 あのあとから準備を始めたのなら、今頃はもう戦っているのだろうか?

 私が捕まって時間が延びたりしていてほしいが、そう上手くいくだろうか……。


 王子は大丈夫だろうか。

 父上の軍に殺されたりしていないだろうか。

 逆に父上が王子に……、それはないな。いくら王子が才能を隠していたとしてもそれはない。

 父上は人を罠にはめる天才だ。

 戦の経験の浅い王子では手玉に取られるばかりだろう。

 父上も王子が憎いはずはないから、手心を加えてくれるだろうが、何が起こるかわからないのが戦場だ。

 無事ならいいけれど……。


 ライラちゃんも心配だ。

 王子がそばを離れられないほど寝込んでいると聞いたが、大丈夫だろうか?

 まさか王が毒とか盛っているんじゃないだろうな。

 もしそうなら、万死に値する。

 火剣姫の容赦のなさを披露する機会なんだが……。


 顔を上げると太い鉄格子が視界の半分をふさいでいる。

 この頑丈な鉄の棒をどうにかしない限り、王子に会うのも、ライラちゃんに会うのも、王を万死刑に処すのも、夢のまた夢だ。



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