表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
火剣の姫はメッキの王子を焼き尽くす  作者: 甲斐柄ほたて
第3幕 姫も時には嘘をつく
19/52

第19話 姫も時には心配する

「まあまあ、落ち着きなさい、妹君よ」


 騒いでいるライラをなだめるように父上が言った。

 ライラは素直に座った。

 恥ずかしそうに紅茶を飲みなおす。


「ところで王子は娘のことをどう言っていたのかね?」


 え、何聞いているんですか、父上。

 やめてくださいそんなこと聞くの。

 聞かないで、言わないで、私だけに教えて。

 それか、せめて私のいないところで話して。



「お兄様は姫のことを『あんな面白い人はなかなかいない』と言っていました。

 真っすぐで、正直で、フェアな―――」


 いやあ、ずいぶんと高く買ってくれたようだ。

 これは鼻が高いなぁ~……。


「おっちょこちょい、だと」




 ……。

 台無しである。

 っていうか、おっちょこちょい?

 私が?

 始めて言われた、そんなこと……。


 ライラは憮然として口を尖らせた。


「お兄様って、あまり人を褒めないんです。

 いつもニコニコしてるけど、人が好きなわけじゃないんです。

 悪口とか言うわけじゃないんですけど、人と会った後ため息をついてることは多いです」

「それは、意外だね。ずいぶんと上手に仮面をかぶっていたようだ」

「そうですか? けっこう、薄っぺらい仮面だったように思いますけど?」


 私が何気なく言うと、場が凍り付いた。

 父上は凄い目で私をにらんでいた。

 その目からは「空気を読め!」という叫びと、「薄っぺらかったか?」というかすかな驚愕が見て取れた。

 ウォールは後ろに立っているので顔は見えないが、息を飲む音は聞こえた。

 ライラはというと父上と同じように私をにらんでいる。


「そんなこと言うなんて、やっぱり、あなたがアリス姫なのでは……?」

「……っていうのを、アリス様が言ってたのよね!!」

「なるほど、そういうことですか」


 ごまかせた。よかった。

 しかし、本当に素直な子だ。

 心配になるくらいに。





「ところで君は何をしに来たのかな」

「アリス姫に会いに来ました!

 お兄様をたぶらかすのをやめさせるために!」

「……やめさせる?」

「はい! アリス姫に会って欠点を見つけます!

 そうすれば、きっとお兄様も目を覚まします!」

「えー……、残念ながらアリスは今、外出しているよ」

「そうなんですか、どちらへ?

 ……いえ、待ってください」


 ライラは不思議そうに私に目をやった。


「アリス姫がいないなら、どうして影武者さんはここにいるんですか?」

「……」


 私は紅茶を一口飲んだ。

 ……そうね、どうして影武者(私)はここにいるんでしょうね?


「アリス様は天下のおてんば姫ですからね。

 一人で外に出るのが好きなんです。私も置いてね」

「なるほど! 人の心配も知らないで、やっぱりろくでもない姫ですね!」

「……そうね」


 父上とウォールが笑いをこらえている気配がする。

 ……あとで覚えてなさいよ。


「そうですか、アリス姫はここにいないんですね……」

「ライラちゃん?」


 ライラはカップを置くと、立ち上がった。


「紅茶、ごちそうさまでした。私、アリス姫を探しに行きます」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ