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火剣の姫はメッキの王子を焼き尽くす  作者: 甲斐柄ほたて
第2幕 このデートは私にとって、命がけの真剣勝負だ
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第14話 漁夫と商人

 王子は急いで鎧を全部脱いだ。

 そして剣と盾だけ持って隙間を通ってきた。


「まずは、罠を取り外しましょう。明かりになるものはありますか?」

「ま、魔法は……、使えません。痛くて……」

「わかりました。このまま、外します」

「王子、すみません、やっぱり外で、隠れてた方が―――」

「もう遅い。気が散ります。黙ってて。見張りでもしててください」

「はい……」


 私はじっと耳をすませて、外の気配に集中した。

 といっても、王子が罠をいじるごとに足に食い込んだ歯が動くし、痛いし、罠はがちゃがちゃ鳴るし、全然当てにならなかった。

 だから、それが聞こえたのは偶然だった。


 びちゃっ。


 一度だけ、聞こえた。

 水たまりを踏むような音。

 そう遠くない。

 おそらく、外の通路で死んでいるスライムかゴブリンの血だまりを踏んだ音だ。


 私は王子の肩をそっと叩いた。


(来てます)

(わかりました。今から、外します。

 外したら、私と場所を代わって、盾で攻撃を防いでください)

(はい)


 王子が何を考えているかはわからなかったが、確認する時間は無い。

 足音は近づいてくる。


 余計な疑いは捨てる。

 彼が何を考えていようと、何を企んでいようと、

 今この時は信じる。

 信じよう。



(いきます)


 王子の囁き声とともにがちゃん、と音がして罠が外れた。

 いきなり足が自由になった。

 すかさず足を罠からどかす。

 王子と位置を入れ替えるべく、もう片方の無事な足で跳びあがる。

 王子を跳びこえ、王子と隙間の間に着地する。

 王子が持って来た盾を持ち、構える。


 そこで、タイムリミットだった。

『敵』が、隙間から顔をのぞかせた。

 覆面で顔を覆っているが、どことなく見覚えがあった。


「げっ……、罠を外してやがる……」

「何人だ?」


 二人分の声が聞こえた。

 一人は覆面の男のようだが、もう一人は姿を見せていない。


「一人みてえだ。多分な。奥にいるかもしれねえが」

「私は一人よ!」

「……一人じゃねえな」

「仕方ない。諦めよう」

「あ!」

「……なんだ?」


 私は大きな声を出した。

 覆面の男の顔を思い出したのだ。

 王子が来た日にぶっ飛ばしたいけ好かない男だ。


「あんたの顔、知ってるわよ! 最近病院送りになったでしょう!」

「! あ、あんときの女か!」

「答えるな、バカ!」


 覆面の男を押しのけてもう一人が顔を半分だけ見せ、すぐに引っ込んだ。


「最悪だ、火剣姫じゃねえか……」

「火剣姫!? こいつが!?」

「ふふん! 私の名声に怖れをなしたようね!」

「こいつを殺すと面倒だな……。

 父親がこいつを溺愛してる。ネズミ狩りはごめんだ」

「父上が私を溺愛!? まさか!」

「……いちいち割り込んでくるな!」

「ちょっと、いいかな」


 私の後ろで王子が立ち上がる気配がした。


「くそっ、今度は何だ!? 誰だお前!」

「これは失礼。

 私はゾンダークの第三王子、ゼブラ・ゼニス・ゾンダークと申します」

「っ……」


 外の男二人は絶句した様子だった。

 当然だ。

 この小国の姫だけではなく、隣の大国の王子まで罠にかかっていたのだから。


「どうでしょう。交渉がしたいのですが」

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