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火剣の姫はメッキの王子を焼き尽くす  作者: 甲斐柄ほたて
第2幕 このデートは私にとって、命がけの真剣勝負だ
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第12話 水を得た魚

 街はずれにダンジョンがある。

 名前は【ルナリエのねぐら】。

 由来は不明だ。最初のボスの名前だったとも、単純に地名から来るものだともいわれている。


 私と王子は護衛や付き人をまき、適当な武器屋で武器と防具をそろえて【ねぐら】までやってきた。

 私は軽装の魔法剣士、王子様は鎧でガッチガチに固めた戦士だ。


 王子は剣術は習っていたそうだが、ダンジョンに潜ったことはなく、そもそも魔物との戦闘自体初めてらしい。

 よってフルアーマーに盾装備で決定。

 安物の剣も勝ったが、盾を構えて立ってればいいとだけ言ってある。


 私は行きつけの武器屋に預けていた装備を受けとった。

 いつもの装備だ。

 王子に合わせた装備ではない。


 武器屋に「連れは誰だ?」としつこく聞かれたが、知り合いの商人の息子、で通した。通った。

 王子だと知ったらきっとひっくり返るんだろうな、武器屋。



「じゃあ、行きましょうか」

「え、ええ……」


 私と王子は真っ暗な洞窟の中に足を踏み入れた。

【ねぐら】は自然発生したダンジョンだ。

 魔法使いが作った研究所や、太古の遺跡じゃない。

 だから壁や天井は補強されているだけで、地面にタイルが張られていたりはしない。


 少し湿った地面を歩いて進む。


「あ、そこにスライムがいるから、気をつけて」

「え!? どこですか!?」


 鎧の中からくぐもった声が聞こえる。


「そこ」


 私は王子の隣の壁を指さした。

 王子は目をむいてゆっくりと横を見た。

 鼻先30センチのところにスライムが張り付いている。


「う、うわあっ!?」


 王子がバランスを崩し、手をばたつかせて転んだ。

 私は笑いをこらえきれずに吹き出した。


「あははははは! ただのスライムでそんなに驚くなんて! 

 あははははは!」

「……。いやあ~……」


 王子は転んだ姿勢のまま後頭部をかいた。

 といっても鎧を着ているので意味は無い。

 ただのポーズだ。


「ビックリしましたよ、ホント……」

「さ! 立って立って! まだまだこれからだから!」

「わ、わかりました……」

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