第11話 デートなんて肌に合わない
デートはつつがなく進行した。
何のことは無い。
コースはすでに父上の手の者が選んでくれていた。
逐次、次に行くべき場所をこっそり教えてくれた。
午前中は市場、港の視察。
昼食は有名な料理人のレストランで食事。
私と王子は和やかにデートを消化していった。
王子はデート慣れしていて、笑顔をはり付けて私に様々な話をして盛り上げてくれた。
蘊蓄や他の街の話、貴族の話……。
エスコートする隙なんてありゃしない。
おっと、付き人の一人が来た。
次の場所を教えてくれるらしい。
次は、街道の散歩……。
……散歩?
耳打ちされた内容に眉をひそめていると、説明してくれた。
どうやら手配していたサーカスが急な体調不良で開演を中止したらしい。
まあ、仕方ないだろう。
かの大国の王子が視察に来るとなれば、田舎町のサーカス団には荷が重い……。
しかし、散歩か……。
どう考えても間が持たない。
というか、私が嫌だ。
別に散歩自体は嫌いじゃない。
一人で考えをまとめたいときは散歩に出ることもある。
しかし、横に気を遣わなければならない相手がいるとなると話は別だ。
それはただの退屈な時間と化す。
なにかいい案は……。
あ、そうだ。
「ねえ、王子様」
私は王子に耳打ちした。
「次に行く場所をご存じですか?」
「ええ、湖沿いの街道を散策、と聞いています」
「行かなくちゃ、ダメかしら?」
「いいえ、必ずというわけではありません。
予定変更になった時間つぶしだと聞いていますが」
「私、行きたいところがあるんです」
「おや、それはいい。ぜひ行きましょう」
「いいんですか?」
「え?」
「ダンジョンなんですけど……?」
「ダンジョン!?」
「ダメでしょうか?」
「そ、それは……」
「そうですよね。王子様、それほど強くなさそうですし……。
怖いですよね? でも、危なければ私が守りますから……」
「かっ、構いません! 行きましょう!」
「……本当ですか?」
私は王子の手をつかんだ。
王子がひきつった笑みを浮かべる。
……よし。勝った。
「ありがとうございます、王子様」




