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火剣の姫はメッキの王子を焼き尽くす  作者: 甲斐柄ほたて
第2幕 このデートは私にとって、命がけの真剣勝負だ
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第10話 お茶を一杯

「おはようございます、王子」

「おはようございます、アリス姫」


 私が庭園でお茶を飲んでいると、王子がやってきた。

 ぺこりと例のごとく綺麗なお辞儀をする。


 王子は名目上、この街に視察に来ていることになっている。

 今日の私の役目はその案内。

 つまり、街中を見て回るのだ。


「それでは参りましょうか」

「その前にお茶を一杯どうですか?」

「是非、いただきます」


 すぐにメイドがポットから紅茶をいれた。

 私はメイドたちとウォールに合図して少し下がらせた。

 王子も同じように付き人を下がらせる。


「アリス姫ご自慢の紅茶、楽しみです」

「それはどうも。忘れられない味だといいですけれど。

 ……最初に聞いておきたかったのです」

「紅茶抜きでも忘れられそうにないです。

 何をですか?」

「あなたの目的を」


 王子のカップを持つ手が一瞬止まった。

 そのまま飲まずにカップを置く。


「目的、とは?」

「とぼけないでください。

 あなたのような大国の王子が私のような小国の姫と婚約したいなど……。

 到底信じられません。なにか裏があるのでしょう。

 せめて建前くらい、教えて下さらないかしら」

「……それを直に私に聞くのですか?」

「お嫌だったかしら?」

「世間一般の王子には、嫌われるでしょうね」

「世間一般に王子はいないわ」


 王子は紅茶を一口飲んだ。

 ただ、目線はじっと私を見ていた。


「この国は、我が国ゾンダークとソリスを結ぶ要衝です。ご存じでしょう?」

「うわあ……、つまらなさそうな話ね……」

「自分で聞いておいてそれ言いますか?」

「いいわ、どうぞ続けて」

「続きも何もお察しの通りです。

 ゾンダークはこの国を手に入れようと狙っている。

 私はそのための一手です」

「ずいぶん素直におっしゃるのね」

「ただの建前ですから」

「それにしてはずいぶんつまらない建前ですこと」


 よし。聞きたいことは聞けた。

 私が立ち上がると、王子も慌てて残っていた紅茶を飲み干し、立ち上がった。


「では、行きましょうか」

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