僕は君の兄です
さあ、準備を始めよう。
玄関を開ける音。
僕は兄だ。
素晴らしいことに弟を出迎える15年間の記録を撮っている。
照れながらも笑顔を見せる弟にハグの合図
合図と同時にハグをした。
屈んでハグを。
弟に大丈夫僕は君の兄だ。
なにがあっても兄だ。
これは僕の口癖だ。
きっと母から真っ赤に大きく生命の声を上げるその時よりずっと前から僕は君の兄だ
6年間の月日は早く弟からは反抗期が。
むむっ可愛くない。いつのまにか背も僕に近づいている。
それなにハグの合図する時は口を歪めながらもハグをする弟は可愛い。
そんな時間を過ごすことができたこの世界は素晴らしい。
いつのまにか体に違和感を覚えた。
熱が1週間続いた。
生まれつき体が弱く入退院を繰り返したが弟が産まれてからは無くなったと思った持病が再発したようだ。
きっと僕は長くない。
15歳も弟とは歳が離れているが
成長する弟を見ていたい。
まだ伝えられていないことが残っている。
兄として弟に残せる何かをまだ残せていないのだ。
弟は泣き虫。
音にびっくりするし転ぶと泣く試合に負ければ泣くし、負けず嫌いで成功しないと今は泣くことは減ったが顔を出る。
僕が旅立つ迄に注げるだけ注ごう
兄に愛されたのだと自覚してもらえるように
愛されていないなんて思わせないように。
最後の別れ
弟のぐぐもった泣き声が聴こえる。
ベットで横になっているがハグの合図を。
目を開けるのがしんどいや、
大丈夫、僕はなにがあっても君の兄だ。