表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
やられっぱなしの僕が聖女様のナイトに選ばれたんだけど、リミッター魔法解除って何?強すぎなので怖くて本気が出せません。  作者: 坂井ひいろ
第一章 覚醒

この作品ページにはなろうチアーズプログラム参加に伴う広告が設置されています。詳細はこちら

23/31

023 決勝戦控室

 次はいよいよ校内予選会の決勝戦。勝った方が『王立魔剣士高等学園入学選考武術大会』への出場切符を手に入れる。闘技場の端に作られた控室でフローラは独りで体を休めていた。


「タトのやつ。本当に決勝戦まで勝ち残ったか・・・」


 聖女ティア様の断言は嘘じゃなかった。予選会でみせてくれたタトの活躍は素晴らしかった。タトの成長を心から祝福した。


 だけど・・・。神童と呼ばれていたタトが私を救うために開放した怒りのパワーを思い出すと今でも全身に鳥肌が立つ。人知を超えた力に恐怖せずにはいられない。


 あれ程の力を人間が制御できるのだろうか。聖女ティア様の言う通り、タトはものすごい成長を続けている。信じてあけだいけど・・・。


 このままでは本当にタトはヤクル村を出て行ってしまう。平凡でつまらない村だけど、心穏やかに暮らすには最適ともいえる。


 だから私はタトを守るために、タトが本気で怒り出す前に相手を倒すだけの力を身につけようと努力してきた。


 今、その力をタト本人にぶつけなければいけない。手加減なんてしている余裕はないかも知れない。自分がタトを殺してしまう可能性だってゼロではないのだ。フローラの心は揺れていた。


「ずいぶんとお悩みみたいだね」


 声のする方を見ると何処から入ってきたのが、真っ黒な服を着た小学生くらいの少年がフローラを見上げていた。


 日の光を一度も浴びたことのないような透ける様な白い肌に目を奪われる。魔物なのか。言葉を離せるほど知能が発達しているとなるとレベルAクラス。フローラの力ではとうてい倒しきれない。


「僕の名前はプルト。お姉さんの戦い、カッコ良かったよ」


 そう言って屈託なく笑う少年の顔に危険な香りは消えていた。気のせいなのか。カシスとの激戦で感覚が鋭くなりすぎているのだろう。


「キミ、ここは子供の来るような場所じゃないよ」


「お姉ちゃんにプレゼントを持ってきたんだ。さっきの戦いの疲れがとれて元気になる思ってさ」


 少年が手の平を広げると黒々と光る大粒の魔石クリスタルが乗っていた。


「それを私に・・・」


「うん。僕、お姉ちゃんのファンになったんだ。応援したいんだよ」


 少年は黒い魔石クリスタルをフローラの手の平にチョコンと乗せた。


「ありがとう。でも、キミ。それ、回復の魔石クリスタルじゃないよ。回復の魔石クリスタルは純白なんだよ」


 さとすように教えてあげる。少年は神童だったタトのようなあどけない顔をフローラに差し向けてくる。


 タトの背中を追っていた懐かしい思い出がよみがえってくる。身長も魔法も剣の技もタトを追い越し、無能と呼ばれ、やられっぱなしのタトを守るようになった自分。本当は自分が守って欲しかったのに・・・。


 でもタトの力を開放してはいけない。優しいタトがタトじゃなくなってしまう。次の試合で何があってもタトに勝つ。タトの幸せはヤクルの村にあるのだ。


 少年に魔石クリスタルを返そうとするフローラだったが体が動かない。しまったと思うフローラに黒服の少年は告げだ。


「そうだよ。この魔石クリスタルの名はマリオネット。持つものの限界を超えた能力を引き出す石。そして、それを与えし者の命令に従わせる石。フローラよ。タトを倒すと言う望みをかなえるがいい」


 フローラは体に残った力を使って黒服の少年を睨みつける。少年の顔がしわがれた老人の顔に変化していく。


「あなたは何者・・・」


 最後までたずねる前に、体に満ちてくる黒いエネルギーに耐え切れず意識がもうろうとしてくるフローラ。


「ふふっ。会うのはこれが二度目だよ。プルトだって言ったよね。僕は死神プルト。また会えて嬉しいよ。よろしくね、フローラ」


 少年の顔に戻ったプルトは、眠っているフローラを置いて楽しそうに部屋を出ていた。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ