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あらすじ
サクマは混乱している間にレベルアップした!
「皆、大義であった。どうやら一回りたくましく成長できたようじゃな。しばらくは各々好きに動いて構わん。どうか疲れを落としてくれ」
お城に戻ったあと、こんな感じで王様からお疲れ様って言われた。それに好きにしていていいと言われたからには、いろいろとできた疑問を解消しなければ!
「おーい先生、いるー?」
俺はお城の左側にある魔術棟といわれるところに来ていた。ここには俺に魔術の基礎を教えてくれた、先生が居るのだ。
「ここに居るよ。お帰り、サクマ君」
現れたのは中学生くらいの少年である。しかし銀髪でかなりのイケメンだ。皇太子のアルバートが爽やかなイケメンだとすれば、先生は中性的なイケメンである。俺も初めて会ったときは女子かと思った。
しかもこの人、この国の筆頭宮廷魔術師にして黒魔術師と時空魔術師の二つのジョブを持っている。レベルも50近くある、この国最強の魔術師なのだ。
「ダリアン先生、図書館に入れてくれない?」
「それは構わないけど、一体どうしたんだい?」
「気になるスキルが手に入ったからさ、それを調べたいんだよ」
あとはあの鳥のこととかも。
「それなら構わないよ。《オープン・ダンタリアンの魔導図書館》」
気付けば俺は、本に囲まれていた。本当に、つまれた本が壁になっているのだ。しかも明かりなんて見当たらないのに、なぜかよく見える。この図書館が、ダリアン先生の時空魔術、ダンタリアンの魔導図書館だ。ここには世界中の知識があると言われ、先生も知らない事がたくさんあるという。
まずはスキル《成長》と《不死鳥の加護》から調べよう。
スキルについて書いてある棚まで行き、それらしい本を片っ端から調べてみる。すると、
成長・・・・レベルが上がりやすくなる。また、レベルアップ時のステータスが大きく上昇する。レベルアップするとステータスポイントが手に入り、任意でステータスに振れるのも特徴。
不死鳥の加護・・・魔神フェネクスを倒した者に与えられる。一日に一度、HPが0になるダメージを無効にする。
というものだった。かなり便利、というかありがたいスキルだ。ステータスアップ系のスキルに致死ダメージをカットするスキル。
それに気になる言葉も見つけた。魔神フェネクス。あの鳥の名前だろうか。
フェネクス・・・七二の魔神の一柱。序列は三七。聖鳥、魔鳥の両面を持つ。再生能力が高く、倒すのは困難を極める。ドロップアイテムは、聖鳥の尾羽、魔鳥の羽ペン。