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あらすじ
主人公たちは実戦を経験した!
与えられた寝室に行くと、窓の側が赤くなっていた。
「え、ちょ、なに?」
慌てて駆け寄ると、どうやら赤い鳥がいるらしい。近寄っても逃げないとは、人に慣れているのだろうか?
「おーい、お前。どっから来たんだよ? もしかして野生?」
声をかけて近寄る。こっちの世界に来てからは、親切な人ばかりだけど、それでも生き物を殺す訓練や実際に殺したりとあまり心が休まらなかった。何か餌になるような物はなかったか、そんなことを考えて、
その鳥が、血に染まっていることに気付いた。
「……、なッッッ!?」
手のひらに乗るようなサイズの鳥の体は、ズタズタに切り裂かれていた。赤くない、血の出ていない所が見つからないくらいなのに、白魔術師の効果か、鳥がまだ生きているとわかる。でも同時に、身体中の傷は致命傷で、血もほとんど流れてしまっているともわかった。
「な、なんだよこれ……。そ、そうだ、ヒール。『ヒール』! 『ヒール』! 『ヒール』!」
それでも、致命傷を塞ぐには、失った血を取り戻すには、回復量が足りなさすぎるとわかってしまう。
「くそっ! どうしたら……! 魔方陣!」
ありったけの魔方陣を取り出す。もしもの為にと作った十枚。一度に使うと回復量は360になる。
それでも、まだ、
「なんで、なんでだよ! 何で回復しねぇんだよ!?」
MPは使いきった。魔方陣も無くなった。それだけのことをして出来たのは、ほんの少しー白魔術師でもないとわからないくらいの傷が治っただけ。今もこの鳥は急速に死に向かっている。なのに、
『キュ……キュ』
その鳥は、俺の手に頭を擦り付けてきた。
「な………」
俺が撫でようとした、その時、
鳥は、光になって消えた。
あとには、赤、青、黒の箱が残っているだけ。この光景は知っている。今までさんざん見てきた。魔物は死ぬと光になって消え、後には箱を残す。赤の箱は、加工前の魔物の原料。青の箱は、魔物の面影を残した道具や武具。黒の箱は、スキルが手に入る。でも、青の箱すら滅多に出ず、黒の箱は、それこそLv100越えの魔物でないと出現しないという話なのに。
俺の手は、無意識に箱を開けていた。赤の箱からは聖鳥の尾羽。青の箱からは魔鳥の羽ペン。そして黒の箱からは《不死鳥の加護》《成長》のスキルを手に入れた。