22
〔その言葉、忘れるなよ」
▼▼▼ソロモン▼▼▼
「いいねぇ、いいねぇ。久しぶりの体だ」
(お前! なんなんだよ! 俺の体に何した!?)
「怒んなよ、相棒。すぐに体は返すからさ」
とは言ったものの……不味いな。バラムのヤツ、もう居ないし。魔力の残滓がほとんど無いってことは、はじめから魔方陣を作ってやがったか。これじゃあ追跡も出来ない。
それにあの竜、竜宮城の門番竜だろ。竜宮城までたどり着いたことに感心すべきか、門までしか行けなかったことに呆れるべきか。
なんて事を考えてたら足元に霜が降り始めていた。さすがは北門の氷結竜、存在するだけで周囲一体を凍らせる。今の俺じゃあ一時的に止められても、倒すことは不可能か。仕方ない。
「《冷固之結界》
ダリアン! 転移だ! 行き先は未定、人数はお前に任せる、とにかく早く練れ! 直ぐに動き出すぞ!」
「この魔法は、ソロモン!? いや、それよりも行き先を決めないと何処に跳ぶかわかりませんよ!?」
「リスクよりもスピードだ! 俺の冷固之結界は結界内が冷たいほど動きを鈍くする。だがブレスが撃たれたら許容量を越えて結界が解けちまう!」
「! わかりました! ………………出来ました! ソロモン、タクム君、アズサさん! 何処に行っても必ず王城に帰ってきてください! 《転移》!」
……ここは。俺はどうやら寝転がっているようだ。
(な!? おい! ここは何処だ!)
そういえばこいつの事を忘れていたな。
「んなこと言われたって俺もわかんねえよ」
真っ暗で何も見えないが、声が反響したからそこそこ狭い所にいるみたいだ。空気が動いているのを感じるから、閉じ込められた訳じゃ
ないな。それにこの空気、……異臭もしないし湿りすぎても乾きすぎてもいない。
「《ライト》」
光属性が無いとMP効率が悪いな。
パッと見た感じここは洞窟か何かか? まああまり危険は無さそうだし、そろそろ体の主導権を返すかな。
「起きてるか、お前? 今から体返すわ」
▼▼▼咲真▼▼▼
「今から体返すわ〕
その言葉が終わらない内に感覚が甦ってきた。おお! 懐かしの体! 自由に顔も動く!
「にしてもあいつ、なんだったんだ? 急に出てきて、魔術がすごく上手いのはわかったけどそれ以外は不明だよな」
本当になんだったんだろう。さっきの《ライト》とか初めて見たし、あのドラゴン相手に使った技もわからない。
〔おいおいお前、わかんない事だらけかよ。確かに俺も急に出たとはいえ、もうちょっと推測とか無いわけ?〕
急に声が頭に響いた。お前居たのかよ、もうどっか行ったと思ったわ! てか居るならお前の事説明しろ!
〔あー、その、なんだ。お前この世界に召喚されたとき指輪手に入れただろ? 俺、あの指輪に憑いてた、幽霊? 的なもんだと思ってくれ〕
[ソロモンの指輪
<スキル>
結界創造【1/7】]
〔俺の名前はソロモン。今は亡き国の8代目の王であり、魔導皇帝のジョブを持っていたものだ〕
は? 幽霊ってことはお前実在してたの?
〔こういうアイテムって基本的に遺品なんだよな~。誰かが改造し過ぎて放置するのも危険なものは神が回収、管理してんの。それを箱から一人一つであげてるわけ。お前以外の二人のアイテムにも俺みたいなのがいると思うぞ〕
ちょ、なんか大事そうな話を軽く流さないでくれ。要するに、お前は昔実在した人間で、俺の指輪に憑いている? でこの指輪は元はお前の物で拓武と梓のアイテムにもお前みたいなのが憑いている? 訳わかんねぇよ!
〔別にそこまで意味不明な訳じゃないぞ。俺が出てきたのはお前のレベルが75を越えて結界創造のスキルが解放されたのにつられたんだと思う。結界創造は俺が使いまくってた技だし縁が深かったんだろ〕
結界創造? やっと見えるようになったスキルだよな。この横の【1/7】って何だろ。
〔そりゃ創れる結界の数だ。一回創った結界はMPの続く限り出せるけど、その創れる結界の種類数っていったとこだな。お前はあと6つの結界を創れる〕
それすごく便利じゃないか? というか既に創ってある結界ってあのドラゴン閉じ込めた結界だろ? あんな使い道の無い結界に容量使うなんて……。そういえばさっき俺のレベルが75越えたって言ってたよな。ステータス確認しとこ。
[サクマ 白魔導師/黒魔導師/【新しいジョブを選んでください】 Lv76
HP 2109/3064
MP 678/14060(+3800)
SP 739/1520
力 117
耐久 114
敏捷 130
器用 150
魔力 417(+86)
ステータスポイント<68>
《スキル》
白魔術 黒魔術 聖属性 闇属性 魔方陣作成 成長 不死鳥の加護 魔道 聖闇混合 灰魔術
《結界》
冷固之結界]




