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「よくぞ召喚に応じてくれた、勇者たちよ。突然のことに戸惑っているであろうが、安心せよ。出来る限り儂が説明するゆえ」
そう言って、玉座に座って俺たちを出迎えた王は話始めた。
「この国の名はエルスザント。五つある人間の国の一つである。この世界は二柱の神が管理しておる。我々人間を導く神であるルナルス様と、魔族共が崇める神ゲムラエスだ。
「ここ数年、我々人間は魔族共から侵攻を受けておる。これまでも小競り合いのようなものはあったが、それが戦争の形をとるようになったのは、三年前に魔王が誕生してから。
「魔王とは、ゲムラエスが自らの使徒として莫大な力を授けた魔族のことで、他の魔族はその使徒に従う。だから魔王というのだ。
「もともと魔族は人間に比べて大量の魔力を有しておる。それが魔王により統率されれば、本当に人間が滅びかねんのだ。
「だからこそ、魔族共に対抗するために君たちを召喚した。
ここまでで何か聞きたいことはあるかね?」
なるほど。この世界のこと、なぜ召喚されたのか、何をして欲しいのかはわかった。でもまだ肝心なことがわかっていない。
「あのー、俺たちがもとの世界に帰る方法ってあるんですか?」
やっぱり、大事なのはこれだろう。俺にだって家族がいるし、なんか魔法みたいなものまである世界なら、命の保証があるとも思えない。
「悪いが、この国には君たちを返す術はない。召喚術も、最近遺跡から見つかったものだ。返す術も遺跡にあるとみて間違いはないだろうが、数が多いゆえ発見できておらん」
まあだろうな。こういうのはラノベの定番だ。だからより問題なのは、俺たちにこの世界でいきる術があるかどうかだが……
「あのー、自分たちがその魔族? と戦えるだけの力があるとは思えないのですが……」
そう、俺たちでは戦えない。少し運動ができたところで戦争では戦力にはならないだろう。
拓武の質問には今まで黙っていたアルバートが答えた。
「さっきの箱はまだ持っていますね。その箱の錠の部分を指で叩いてください」
その言葉にしたがって、三人は箱を叩いてみる。すると……
[サクマ 白魔術師/黒魔術師 Lv1
HP 130
MP 245
SP 80
力 18
耐久 17
敏捷 21
器用 23
魔力 36
<スキル>
白魔術 黒魔術]
パッと見でわかるくらいそのまんまなステータス画面が出てきた。なにやら魔術師とか書いてあるので、MP、魔力が他に比べて高いのはそのせいだろう。
「皆様、御自分のステータスはご覧になられたようですね。よろしければ皆様のステータスを教えていただけませんか?」
ということでこれが拓武と梓のステータスだ。
[タクム 剣闘士 Lv1
HP 308
MP 100
SP 160
力 27
耐久 22
敏捷 27
器用 20
魔力 14
<スキル>
片手剣 剣技]
[アズサ 斥候技士 Lv1
HP 190
MP 160
SP 110
力 21
耐久 15
敏捷 29
器用 29
魔力 12
<スキル>
罠感知 罠設置]
サクマ は ステータス を 手に入れた!